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香取さんのセリフ「鳥が種をまく」ってどういうこと?/新CM放映記念note
サントリーの新しいCM見ましたか?
愛鳥活動50周年を記念して、稲垣さん、草彅さん、香取さんが鳥となって、森を飛んでいるやつ。
わたしは、このCMで香取さんのとあるセリフが気になっています。
「あれは僕のおじいちゃんが種をまいた樹だよ!!」
どっかで聞いた話だな、と思ったら、わたしの森の師匠が前に言っていたことでした。
(わたしの森の師匠というのは、「サントリー 天然水の森」を始めた、山田健さんのことです!師匠についての記事もあるので、よければ読んでみてください。)
※動画公開期限:2023年9月30日
ということで、本日は「鳥が種をまく」このことについて書きたいと思います。
サントリーの愛鳥活動って?
わたしが「サントリー 天然水の森」の活動に関わらせていただくようになって、1番最初に知ったこと。
それは、森に降り注いだ雨の一部は、地中の奥深くに染み込み、20年もの歳月をかけて磨かれ、私たちが普段飲んでいる天然水になる、ということ。
そして、どんな状態の森であっても水を磨くことができるわけではなく、森に元気がないと水を磨く力だって衰えてしまうこと。
だから、わたしの森の師匠は、森の元気さ、豊かさを守るために「天然水の森」の活動をしている、ということ。
そして、その活動をするにあたり、鳥の存在はとても大きく関わってきます。
「あ〜〜〜〜鳥になって自由に空を飛びたい〜〜どっか行きたい〜〜〜」なんて一瞬でも思ったことはありませんか?
もうちょっと技術が発展すればできそうな話ですが、まだね、まだそこまではいかないということで、夢見るだけで終わるんですけど。
言いたいことは、鳥は自由に飛べる。自由に移動できるということです!
鳥がすむ環境である森に、木の実や虫、水など生きる糧が豊富にあったら、ずっとすみ続けることができるでしょう。でも逆に、草木も枯れ、虫もいないような荒廃した森になってしまったら、すぐに飛び去って別の場所へ行ってしまいますよね。
鳥がいる、ということは豊かな森、ということ。つまり、鳥は「環境のバロメーター」なのです。
サントリーはそのことに気がついて、1973年に鳥がすめる環境を守る活動として愛鳥活動を始めました。
もちろん、鳥がすめる環境を守る、ということは、「天然水の森」の活動と一致するので、師匠の仕事でもあります。
サントリーの愛鳥活動について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
師匠も出てくるし、以前noteで鳥について教えてくださった(公)日本鳥類保護連盟・元理事 栁澤先生も登場するので、少し古い動画にはなりますが、ぜひ見てみてください。ちなみに、栁澤先生は1973年から愛鳥活動のアドバイザーとして参画しているらしいので、ものすごく長い付き合いですね。
「僕のおじいちゃんが種をまいた樹」の意味
さて、今日の本題。この香取さんのセリフの意味についてお話ししていきます。
これは、香取さんの本当のおじいさんがまいた、わけではありません。
香取さん扮する鳥のおじいちゃん、つまり、鳥がまいた、ということですね。
(そんなことは知ってるよー!ですね。すみません。)
植物も子孫を残していかないといけないわけですが、自分で移動して種をまくことはできません。
本当に自然はよくできている、とつくづく感心しますが、植物は鳥や獣、時には人間に種をまいてもらうことがあります。
例えば、ひっつき虫。
草むらに足を踏み入れた時、足にやたらとひっつく種を見たことはありませんか?
ベタベタしていて、なかなか取れなくて困るんですよね。
これは最近師匠に教えてもらったことですが、あれ実は、むやみやたらに取らなくても、1~2時間くらいすると落ちるらしいです。
植物にとっては、ずーーっと人間にくっついている意味ないですよね。土の上に落ちないと発芽できないですし。だから、ちゃんと落ちるようになっているんですって。
あの時の苦労はなんだったんだって、もっと早く知りたかったと思った・・・のはどうでもいいのですが、そんな風にして、誰かに種をまいてもらえるようにできています。
他にも、風に乗って遠くに旅する種や、川に流されて岸辺に辿りつく種とか、何しろ、色んな方法で、植物はかわいい子に遠くまで旅をさせます。
で、鳥はどうやって、種をまくのかというと、糞(フン)です。
(厳密には、糞だけではなくて、ドングリを地面に埋めたりする鳥もいますが。)
鳥は木の実を食べます。種も一緒に食べます。
鳥に食べられた種は、消化しきらずに、鳥の糞と一緒に外に出されます。
運よく土の上に落とされた(まかれた)その種がやがて、芽生えて、成長し、花をつけ、実をつけ、また鳥が食べて、糞をして・・・と、そんな風に生命をつなげていきます。
「あれは僕のおじいちゃんが種をまいた樹だよ!」
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このシーンで映っているのは、「天然水の森」。
そして、師匠に確認したところ、香取さん(鳥)のおじいちゃんが種をまいた樹は、開花時期やヤマザクラのような濃紅色の葉の色が見えないことから、カスミザクラだそう。
「きっとこれは鳥、おそらくヒヨドリあたりがどこかでサクランボを頬張って、ここに糞を落としたのでしょう。」とのこと。それが、これだけ成長し、見事に咲き誇っている。
そして、今、CMに出演している。あの香取さんたちと共演している。おめでとう、カスミザクラ。ありがとう、当時の鳥。
こんな風にして、鳥が運んできた樹は実は森にはたくさんあります。
サントリーの愛鳥活動が始まった1973年、白州蒸溜所の工場の敷地内に野鳥の聖域として「バードサンクチュアリ」を開園しました。
当時は、鳥がすみつきにくいような小さなマツしか生えていない林だったそうですが、開園に合わせて鳥がすみやすくなるように間伐などの整備を重ねてきました。
50年経った今、当時背の低かったアカマツは背丈の高い立派な樹に育ち、マツの下にはヤマザクラやソヨゴ、ナナカマド、コナラなど多様な樹々が大きく育っています。
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それも50年の間に、ヒヨドリやムクドリ、アオゲラ、イカルなどが木の実を食べて、ここに糞を落とした結果。
そして、ここに鳥が来るようになった、すむようになった、ということでもあります。
50年前に、鳥がすむ環境を守ると決めて、森を整備して、そしたら鳥が種を運んできてくれて、豊かな森になっていく。
森の中で見られる樹々は、数十年前に鳥が実を食べて、糞をしたり土に埋めたりして運んだ種が成長したものだったりします。
ここで、森にすむ種子散布者を一部ご紹介します。
まずは、越冬のため、食物を蓄える「貯食」の習性を持つカケス。
山にどんぐりの木(コナラなど)が絶えないのは、カケスが「貯食」のために、種であるどんぐりを地面に植えて回っているおかげだとか。
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こちらは、イソノキの実をついばむメジロ。その名の通り、目の周りが白いから”メジロ”。
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多様な木の実を食べ、種子散布に貢献しているアオゲラ。
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昆虫などを捕食するキビタキは、秋になると、ミズキなどの木の実も食べます。
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![](https://assets.st-note.com/img/1685096520328-SOAd6zu19N.jpg?width=1200)
その他にも、ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミなどなど、たくさんの鳥たちが種子を散布し、森を豊かにしてくれています。
「まちがいなく、人間は鳥に守られているよ」
と、師匠はわたしに鳥の話をする時、必ず言います。鳥がいることで、樹にとっての害虫を食べてくれたり、実を食べて糞をすることで、森を育んでくれたり・・・
人間が森を守るなんておこがましくて、森の全ての生物がバランスをとって、生きている。一緒に成長していっているんだな、と思います。
愛鳥活動50周年。これまでも、そしてこれからもずっと鳥と共に生きていけますように。
ここでご紹介した鳥たちは、愛鳥活動の取り組みのひとつ「日本の鳥百科」に掲載されています。他の鳥もたくさん掲載されているので、気になる鳥を見つけたら、ここで調べてみてください!
余談 わたしの父の密かなたのしみ
ちょいちょい登場するわたしの父ですが、自然をこよなく愛しています。
散歩をしていて、新しい花が咲いていたら、絶対に気付きます。愛でます。
Facebookには植物とか自然に関する投稿がほとんどを占めています。
そんな父の投稿を見て知ったことですが、わが家にも鳥の種まきが行われているようです。
わが家にはちょっとした植栽スペースがあります。
そこには、新築時は生えていなかった、クスノキ、ムクノキ、エゴノキなどが元気に生えています。
(通常のお宅であればきれいに刈ると思うのですが、わが家は自然現状を楽しんでしまうため、ボーボーに色々と生えています。母は正直困っているので、静かな攻防戦がくり広げられています。)
こちらはプロが撮った写真ですが、こんな風にヒヨドリなどが実をついばみ、わが家に運んできたのでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1685085578679-FAT1N3eXnX.jpg?width=1200)
そしてそれがやがて、芽吹いて、花を咲かせ、実をつけて、そしてまたヒヨドリなどがやってきて、森と同じ循環がこの小さな空間でも起こっているわけです。
そしてそれを、父がまたFacebookに投稿する。密かな楽しみになっているわけです。
ありがとう、鳥。
とても大きな敷地を持っているわけではないですから、これが森になるわけではないですが、こうやって都内にいても鳥とのつながりを感じることができます。
まずは鳥に目を向けてみることから始めてみるもの、密かなたのしみにできるかもしれません。