COVID-19の医学情報をどう扱い行動するか(6)ビタミンCの多彩な役割と注意点

 

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抗酸化物質の代表選手・ビタミンC 

抗酸化物資として代表的なものといえば、やはりビタミンC(VC)が有名でしょう。
 前の記事でも書きましたが、抗酸化とは還元する力、電子を与えることができる能力を指します。VC(アスコルビン酸)にほ「エンジオール基」という反応性に富む部分があり、ここが還元力を発揮するのです。VCは水溶性ですから、細胞の中ではおもに細胞質などの水溶性の部分の抗酸化を担っています。そしてVCは単純な抗酸化だけではなく、体内での様々な重要なプロセスのカギを握っているのです。ここでは粘膜の感染防御に関係が深いものをお話しします。

様々な機能で免疫をサポート

◎インターフェロンの合成
 前の記事で「自然免疫」について書きましたが、そこで大きな役割を果たすとしてあげたインターフェロンの合成にもVCは関わります。
◎免疫細胞のはたらきを上げる
 細胞性免疫でもVCは大事な役割を果たします。白血球などの免疫細胞は病原体があるところに集まってきますが、この能力(遊走能)はVCによって向上します。また病原体を無効化する武器として活性酸素を使いますが、その反応にもVCは必要です。
◎コラーゲンの合成
 VC発見のきっか けがその欠乏症である「壊血病」であること は有名ですが、その代表的な症状である「歯肉出血」の本質は、コラーゲンの合成障害です。VCと鉄が欠乏するとコラーゲンを完成させることができず、皮膚や粘膜の強度が落ち、防御機能も低下してしまいます。
◎ステロイドホルモンの合成 
 副腎髄質ホルモンのノルアドレナリン合成には、VCが必要です。副腎の機能に大きく関係し、「抗ストレスビタミン」といわれます。感染症は身体に大きなストレスをかけます。その意味でもVCは欠かせません。 
◎重要ミネラルの吸収を助ける
免疫力を上げるために欠かせないミネラルである亜鉛はもともと、吸収率があまり高くありません。その吸収を促進するのがVCです。

ビタミンCを摂取するときの注意点

◎ヒトはビタミンCを合成できない
 ヒトやサル、モルモットなどは、たった一つの酵素を欠いているため にビタミンCを体内で合成できませんが、動物全体でみればこれはむしろ例外的です。マウスなどの他の哺乳類は、強いストレスを感じたり、 感染症にかかったりといったとき、必要に応じて体内で大量のビタミン Cを合成することができます。ですから ヒトの場合は体外からの補充が必要になりますが、その方法には工夫が必要です。
◎感染防御には量をクリアする必要がある
今回の新型コロナ感染への対策として今年1月に国際オーソモレキュラー医学会が出した提言では、VCの推奨摂取量は成人で1日当たり3,000mgです。これを食品から摂ろうとすると、アセロラやケールなどのVC含有量が豊富な食品でも2~3kgの摂取が必要な計算になり現実的ではありません。やはりサプリメントからの摂取を考えざるを得ないでしょう。
◎頻回少量摂取が原則
 ビタミンCは腸管から吸収されますが、摂取量が多くなるに従って吸収率は下がっていきます。健常人のボランティアのデータによれば、ビ タミンCの摂取量が250㎎程度までは摂取量が増えるに従い急速に血中 濃度が上がりますが、500㎎を超えると吸収量の増加は鈍り、1,000㎎ を超えるとほとんど増加しません。
 ですから、サプリメントなどで摂取する際には一度に多量を摂るので はなく、200~300mgを数時間おきに摂る「少量・頻回摂取」が有効です。しかし、stay homeならともかく実践が困難な場合もあり、そんな時は体内で徐々に吸収される性質(徐放性)をもつものや、リン脂質で被包(リポ ソーム化)して吸収率を高めた製品などが開発されていますので検討に値するでしょう。

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