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#14 応援

僕には行きつけの担々麺屋さんがある。かれこれ5年くらい通っていて、今でも月に2、3回は必ず行く。
その店のファンである僕は、自分なりにその店を応援しているのだ。

パッと食べてすぐに店を出る。

これこそが最大の応援だと信じて毎回実行している。
店の回転率を少しでも上げる為に、フードファイターになった気持ちで早食いしている。

もう食べ終わっているのに世間話をしている2人組のことを積極的に睨みつけたり、3人以上で来店してくるグループに対して「いや、この店に大人数でくるかね?」という表情を作って見せつけたりもしている。

我ながらファンの鑑だ。
とにかく店の利益を考えている。

別に僕の応援の仕方が1番だとは思わない。
ファンの在り方に正解はない。

例えばこないだ隣の席に座った男は、店員さんに結構話しかけるタイプの男だった。
「とてもおいしい」と素直に伝える。それも応援の1つだ。
僕の流派とは違うがそれも正解だ。
まぁまぁ忙しい時間帯だったが1つの正解なのだ。
よくよく話を聞くと3ヶ月に1度くらいのペースでしか通ってないらしいのだが正解は正解だ。

でも、その男よりも僕の方が良いファンと思われたいのが本心だ!
もしも日本一の麺類を決める大会(MEN-1グランプリ)通称M-1があったとして、1回戦のエントリーシールをその男には渡して欲しくない!
何も僕にくれとは言っていない!
僕より通ってる人に渡してくれていい!
ただその男にあげるのは違う!
それが本心だ!

ファンの鑑である僕はこの本心を伝えるべきでないと知ってる。大好きな担々麺屋には余計なことを考えず過ごしてほしい。
だから今日も本心をぐっと堪え、その男にエントリーシールが渡る恐怖に怯えながら、素早く麺を啜るのだ。

所詮はただの自己満足。
誰が評価してくれるでもない。
でも心の奥底で担々麺屋が気付いてくれるのを待ってる…。






※麺-1グランプリ、ほんまにある大会でした!
群馬県の館林市で行われていて、10回以上開催されてました!

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