会社において個人目標は必要なのか?

前書き

私の所属している会社では毎月「月例会議」が行われています。これは、毎月一人ずつ今月の結果と目標を社員の前で読み上げ、それに対して社員全員がコメントをするというものです。そして、その内容を元に意見を交換し、事業部の内容としてまとめます。

もし私が会議をコントロールできる立場にあったら、どのように設計するでしょうか?

① 個人目標は必要か?

個人目標を立てる目的とその成果を考えてみます。

管理のしやすさ

目標を設定することで、管理者が成果を目視しやすくなります。例えば、成約率〇%以上を目指すといった具体的な目標です。これにより、評価が見えやすくなり、手を抜いた場合もすぐに分かるようになります。

努力の基準が明確になる

目標が明確になることで、社員がどこまで頑張ればいいのかを理解できます。

これらの点は、大企業で特に効果を発揮します。多くの社員がいる中で、賞与や昇給を決める基準として明確な線引きが重要だからです。

しかし、小さい会社ではどうでしょうか?集団の大きなメリットは、全員が同じ方向を向き、リソースや注意を集中することで素晴らしい結果を得ることです。そのためには、チームで達成すべき目標を考え、リソースを集中するために目標を絞り、達成のための計画を練る必要があります。

個人目標がその効果を阻害する可能性はないでしょうか?

チーム目標の方が柔軟性がある

チームの目標は全体で成果を計測するため、一人一人のミスはカバーできます。しかし、個人目標を立てると誰がどのくらい劣っているのかが如実に現れます。その結果、多くの社員がチーム目標の優先順位を下げて個人目標を優先し、利己的な集団になってしまうのではないかと考えられます。

小さいチームには「柔軟性」が求められます。新しいことに挑戦し、その挑戦から出た課題を解決するには、前例主義者や失敗を恐れる組織では難しいでしょう。ならば、必要なのはチーム目標だけではないでしょうか?

② 目標を立てるには価値観が足りない

目標を立てるテクニックの中には、「その目標を達成することは自分の価値観を満たせるだろうか?」と自問するプロセスが多く存在します。

果たして、会社で立てる個人目標は個人の価値観を満たしているのでしょうか?

価値観の多様性

例えば、チームでの目標が「売上を伸ばす」ならば理解できます。会社は利益を追求するものだからです。他にも顧客満足度や社員満足度を指標にしても良いでしょう。

しかし、個人の目標が「売上を伸ばす」だった場合はどうでしょうか?成長志向が高く、出世意欲が強い人なら価値観を満たせるでしょう。しかし、全員が同じ価値観を持っているとは限りません。生活していくための十分なお金があればいいという人もいれば、休日の趣味を楽しめればいいという人もいます。

そのような人たちに「会社のために頑張るのがあなたの価値観だ」と押し付けるのは正しいでしょうか?

それならば、チーム目標を「高い営業利益率を達成し、会社の休日を増やす」とし、その手段として「売上〇%アップ」とした方が良いでしょう。

③ 目標が多すぎる

私たちの会社ではチーム目標が10個以上、個人目標は5個以上ありますが、これは多すぎると思います。

集中と効率

アップルに戻ってきたスティーブ・ジョブズが、顧客のニーズに応えるためにハードウェアを一つに絞ったように、目標も一つに絞る必要があります。

多すぎる目標は何から手を付けていいか分からず、何もかもが中途半端になり、時間や集中力が分散するなどデメリットが多いです。

「ここ三ヶ月で英語を話せるようになり、簿記3級に合格し、ダイエットのために一日1時間走り、将来のために本も読むぞ!」なんて目標を立てたら挫折するでしょう。一つずつやるべきです。

目標は可能な限り少なくし、集中して取り組むべきです。

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