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【空想人物File】#1 日麻吏市長 細山田望

架空の街・日麻吏(ひまり)市。人口15万人程度のこの都市には、東京ディズニーリゾート、ユニバーサルスタジオジャパンに次ぐほどの入場者数を誇る「まほらワンダーパーク」がある。
第7代市長の細山田望(ほそやまだ・のぞむ)は、政界に入る2010年まで「まほらワンダーパーク」のパーク統括最高責任者であった。

第7代日麻吏市市長 細山田望
(生成AIで作成)

そんな細山田がなぜ、政界に進出したのか?
彼は2015年の第一期市長就任記者会見で、こんな発言をしている。

私は生まれてから現在まで日麻吏市を出たことがありません。
もちろん、国内外の旅行や出張には出かけますが、大抵のことは日麻吏市で済んでしまいます。
エンターテインメントでいえば「まほらワンダーパーク」がありますし、商業施設はもちろんのこと、文化施設や教育施設も充実している。昨年度のデータでは、日麻吏市在住の子育て世代は休日でも76%「日麻吏市内で過ごしている」と回答しています。
私はそんな日麻吏市を誇りに思っています。そこで私は市民の皆さんにお約束します。皆さんがより日麻吏市を愛し、豊かに暮らしていくために、日麻吏市にお金を落としてくれる観光客を増やしていくと。

「広報ひまり」2015年7月号「市長就任記者会見」記事より

細山田の「日麻吏ファースト」は、市政を飛び越え、全国区のその日の夜のニュースで報じられた。
大半の視聴者は「へえ」と聞き流したが、一部の悪意を持て余した人々はSNSで「日麻吏へは一生行かない」と細山田の政策を非難した。

現在2期目の細山田。一貫して「日麻吏市にお金を落としてくれる観光客を増やす」政策を推進している。

細山田の政策は、働く世代と一部の富裕層の高齢者にはウケがいい。
しかし障がいを持つ人々とその家族や、定年退職後の高齢者世帯からの支持は薄い。
彼らからの支持をいかに集めるかが、今後の市政を占うだろう。


「まほらワンダーパーク」のコンセプトアートの一部(1985年制作)
生成AI使用

ところで、細山田が「まほらワンダーパーク」オープン当初から1999年までの12年間、パークのダンサーとして活躍していたのはご存知だろうか?
彼は中学1年の時、家族旅行で訪れたニューヨークの本場ブロードウェイミュージカルを観劇し、ダンサーを志す。

パークのダンサーは狭き門であるが、細山田は地元で踊りたいと目標を立て、毎日就寝時間と学校の時間以外はすべてダンスに奉げた。休日は1日17時間以上練習した甲斐もあり、幼少期からダンスを習っていた者を押しのけて「まほらワンダーパーク」のダンサーの一人として社会人生活をスタートさせた。

2000年からはエンターテイメント部門でショーの演出を担当するようになる。ここから彼の潜在的にあった政治力がいかんなく発揮される。地元や都内の優良企業から多額のスポンサー料を得て、潤沢な資金でショーの演出ができるようになった。
その実績を買われ、2004年にパーク統括責任者、2007年から2010年までパーク統括最高責任者として「まほらワンダーパーク」全体を取りしきった。

それからの活躍はご存知の通り。
地元内外の有力者からの後押しの元、現在2期目である。

柔和な細山田の表情は多くの支持者を虜にするようだ。
一方で細山田の近くにいる人々の中には、その鉄壁なまでの笑顔の裏で何を企んでいるかわからないと慄いている者も少なくはない。
果たして細山田にはダークな裏の顔があるのか、有権者は見抜かなければならない。



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