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「あの坂をのぼれば」/「氷壁」

仕事や人間関係、恋愛、お金、育児、介護など現実は自分が思い描いていたようにいかないことって多いですよね。

悩みもそれぞれ

思い切って行動してみてもうまくいかなかったり...

努力して続けてもなかなか結果として現れない...

ワンオペ育児に疲れはてて誰か助けて欲しい...

お金が足りなくて生活苦...

この状態がいつまで続くのか...

考えると不安に襲われおかしくなりそう...

いわゆる壁や限界を感じてしまい希望や意味を見出せなくなると、疲弊し精神状態も判断力も鈍り、自分を見失ってしまうことがあります。

そんな時に大切なのは、支えてくれる人や何でも話せる人がいるかどうか


一人でも周りにそんな人がいれば自分を見失わずにすむのかもしれません。

偉そうなこと言ってすみません💦そういうボクも日々悩み不安を感じながらも、楽しくやって行こうと前を向いて歩いています。

そんなことを考えながら今日は二つの短編作品をご紹介します。

すぐ読める短い作品ですのでもし良ければ読んで見て下さい。

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ボクがたしか小学校の頃、国語の教科書に載ってていて何回も朗読した記憶がある文章があります。

「あの坂をのぼれば海が見える」と そのフレーズだけ覚えていましたが、大人になってから読み直すと、夢と現実と希望のリアルな作品だなぁと感心させられました。

では一つ目の作品


「あの坂をのぼれば」   著:杉みき子


あの坂をのぼれば、海が見える。

少年は、朝から歩いていた。
草いきれがむっとたちこめる山道である。
顔も背すじも汗にまみれ、休まず歩く息づかいがあらい。

あの坂をのぼれば、海が見える。

それは、幼いころ、添い寝の祖母から、いつも子守歌のように聞かされたことだった。
うちの裏の、あの山を一つこえれば、海が見えるんだよ、と。


その、山一つ、という言葉を、少年は正直にそのまま受けとめていたのだが、
それはどうやら、しごく大ざっぱな言葉のあやだったらしい。
現に、今こうして、峠を二つ三つとこえても、まだ海は見えてこないのだから。
それでも少年は、呪文のように心に唱えて、のぼってゆく。

あの坂をのぼれば、海が見える。

のぼりきるまで、あと数歩。半ばかけだすようにして、少年はその頂きに立つ。
しかし、見下ろす行く手は、またも波のように、くだってのぼって、その先の見えない、長い長い山道だった。
少年は、がくがくする足をふみしめて、もう一度気力を奮い起こす。

あの坂をのぼれば、海が見える。

少年は、今、どうしても海を見たいのだった。
細かくいえばきりもないが、やりたくてやれないことの数々の重荷が背に積もり積もったとき、
少年は、磁石が北を指すように、まっすぐに海を思ったのである。
自分の足で、海を見てこよう。山一つこえたら、本当に海があるのを確かめてこよう、と。

あの坂をのぼれば、海が見える。

しかし、まだ海は見えなかった。はうようにしてのぼってきたこの坂の行く手も、
やはり今までと同じ、果てしない上り下りの繰り返しだったのである。

もう、やめよう。

急に、道ばたに座りこんで、少年はうめくようにそう思った。
こんなにつらい思いをして、坂をのぼったりおりたりして、いったいなんの得があるのか。
この先、山をいくつこえたところで、本当に海へ出られるのかどうか、わかったものじゃない……。


額ににじみ出る汗をそのままに、草の上に座って、通りぬける山風にふかれていると、
なにもかも、どうでもよくなっている。
じわじわと、疲労が胸につきあげてきた。

日は次第に高くなる。これから帰る道のりの長さを思って、重いため息をついたとき、
少年はふと、生きものの声を耳にしたと思った。
声は、上から来る。ふりあおぐと、すぐ頭上を、光が走った。
翼の長い、真っ白い鳥が一羽、ゆっくりと羽ばたいて、先導するように次の峠をこえてゆく。

あれは、海鳥だ!

少年はとっさに立ち上がった。
海鳥がいる。海が近いのにちがいない。
そういえば、あの坂の上の空の色は、確かに海へと続くあさぎ色だ。
今度こそ、海に着けるのか。


それでも、ややためらって、行く手を見はるかす少年の目の前を、ちょうのようにひらひらと、白いものが舞い落ちる。
てのひらをすぼめて受けとめると、それは、雪のようなひとひらの羽毛だった。

あの鳥の、おくりものだ。

ただ、一片の羽根だけれど、
それはたちまち少年の心に、白い大きな翼となって羽ばたいた。

あの坂をのぼれば、海が見える。

少年はもう一度、力をこめてつぶやく。
しかし、そうでなくともよかった。
今はたとえ、このあと三つの坂、四つの坂をこえることになろうとも、
必ず海に行き着くことができる、行き着いてみせる。

白い小さな羽根をてのひらにしっかりとくるんで、
ゆっくりと坂をのぼってゆく少年の耳にあるいは心の奥にか
かすかなしおざいのひびきが聞こえ始めていた。

*杉みきこ著「ちいさな町の風景」より引用
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物語はここで終わっているので、少年が海を見ることができたのかは定かではないです。海にたどり着いたかもしれないし、たどり着けなかったかもしれない。作者以外誰もわかりません。

けれどもなぜか、たどり着けたんじゃないかという感じがするところがいいですね。


話は最初に戻って、壁にぶち当たった際に 壁を乗り越えられるかなんて誰にもわからないものです。

このまま登り続けてホントに壁を超えることができるのか?と心が折れそうになったそんな時に欲しいのが「希望」ですよね。


それでは二つ目の作品


「氷壁」               著:もりもり


「 はぁ はぁ  はぁ  」

酸素が薄く息苦しい...

辺りは霧で真っ白だ

頭が痛い...高山病か...

疲れた...

どこを歩いてるんだよォォォ

さっきからずっと斜面を上っている

ようやく斜面を上がると、目の前に見えるは巨大な氷壁

ここを登るんかいぃぃぃー

ダブルアックスで登攀するもの途中で力尽きる

大丈夫だ!そのまま登って来い!誰かの声が聞こえてきてロープを引っ張ってくれる

もはや登るのにテクやハウツーはいらない

ただ登らないといけないという環境と仲間の人の手助けが登らせてくれる

そして登れた...


氷壁を登りきれば 一気に視界が開ける!

氷壁よ... ありがとう...  

最高だ!👍

実際の壁は登ってしまえば可能性は広がりを見せ、充実感を感じ、壁にありがとうと言ってしまうものです。

生きていく中でぶつかる壁に対して

ありがとうと言えるように!

一歩一歩  前へ  上へ !

前へ 上へ行けばやがて稜線となりいずれは頂上にたどり着く

一人では危険でとても登れなかった。途中で諦めていた。

お互いに見守り・助け合い・励ましあう人達がいるからこそ登ってこれたんです。

人は一人では生きていけない。

誰かに助けられて生きている。そして誰かの力になって助けることで生かされている。

だからこそ人にそっと手を差し伸べることが自然にできるように...

人を応援して、人に応援されるような人になりたいですね!

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*もりもり著 「おっさんの謎のポエム(妄想出版)」より引用

注意:上記の出発物は実際にはありません(笑)


写真の山は🇧🇴ワイナポトシ、山頂は6088m

世界にある6000m峰の中で一番登頂しやすい山と言われています。興味ある方はチャレンジしてみてください。山登りすると自分の存在や悩みがちっぽけな事のように思えますから...。

ではまた!












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