顔が浮かぶモノを選ぶ。
「作り手の顔がわかる商品を使いたい」
気が付いたら、そんなことを言うようになっていた。価格重視で、とにかく安いモノを買っていた頃からしたらあり得ない考え方だなぁ、と思う。昔の自分が見たら、無駄遣いだと怒るかもしれない。
これといったきっかけがあるわけではないのだけど、縁が合って作り手の方と話をしたりすると、応援したい気持ちがむくむくと湧いてくるもので。特に、食卓を彩るものは作り手の顔がわかるモノが増えてきた。
箸は漆塗り作家の中野さんのものだし、お酢は戸塚醸造店、みりんは三河みりん、醤油はミツル醸造や南蔵、料理酒は澤田酒造と、どれも作り手の顔が浮かぶものばかり。
気のせいかもしれないけど、こういうモノを使った方が美味しく感じるんだよね。良いモノを使っているというのはもちろんあるんだろうけど、やっぱり気持ちの問題もあると思う。
「情報を食べている」
と言っていたのは『ラーメン発見伝』の芹沢さん。あれは、消費者を馬鹿にしたような意味合いだったけど、作り手の想いも一緒に食べて、美味しさが増すのであれば、情報だって立派な調味料になりえるのかもしれない。
まだまだ、素晴らしい商品とそれを作っている作り手の方は大勢いるのだろうと思うとワクワクする。気のいい人達に出会って、作り手の想いと一緒に生活していきたい。