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1976年、工業高校卒の僕がICUに合格

 1975年夏、新聞を読んでいたら、フランスで教鞭を執っていた森有正氏が来年帰国して国際基督教大学、ICUの教授に赴任するという小さな記事を見つける。

 翌年の受験まで半年しかないがICUを受験することに決め、それから猛烈な受験勉強が始まる。

 当時は赤本などは無く、大学に過去問を請求して対策を練っていた。

 結論として、国立大学の受験科目、英語は長文読解、リスニング問題、数学は数3まで、その他化学、歴史などを勉強しておかなければならなかった。

 英語は高校生の時から読んでいたラッセル卿の哲学書を原文で読んでいたし、数学は高校で高等数学を学んでいたのでもう一度数3まで復習した。化学、歴史などはざっと教科書を復習した程度だった。

 実際の試験は予想していたものとは違ってとても難しいものだった。

 一般能力考査は数学、化学、歴史、国語、IQテストなどを含む100問を70分で回答する時間と闘う試験だった。

 人文科学考査、社会科学考査、自然科学考査は15~25分程度の講義を聴き、その講義の内容についての問題に答えるというもの。読解力と記憶力を問う問題で比較的簡単だった。

 英語は、A4で5~6ページ程度の長文を読み、問題に答えるというもの、そして15分程度の英語の講義を聴いてその内容について答えるものと記憶している。どちらも始めて経験する難しいものだった。

 一般能力考査と人文、社会科学考査はできたが、英語は難しかったので合格はほとんど諦めていた。

 なので、合格発表は見に行かず家にいて昼過ぎまで寝ていた。

 すると、母親が「お兄ちゃん、手紙が来てるわよ。」と言って寝ている2階の僕の部屋まで来て手紙を手渡した。

 封を開けると。合格の文字があった。

 

 

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