ジャパニーズスマイル
“ジャパニーズ・スマイル”とは、コンプレックスの裏返しで日本人が外国人と目が合ったときについ見せてしまう、日本人特有の笑顔のことだ。
海外に出かけていった黒澤さん(黒澤明)は、外国人と目が合うと面白くもない場面であっても笑みをたたえ、まわりの外国人から「なんで黒澤はあんなにニコニコしているのか?」と訝しがられていた。それは日本人であることのコンプレックスから“ジャパニーズ・スマイルが黒澤さんの身についていたという証拠だ。
”世界の黒澤“と称される大先輩ですら、肌の色の違いと敗戦国日本の監督であるということにはコンプレックスを抱かざるをえなかった。
大林宣彦「キネマの玉手箱」