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【農業×テクノロジー体験ツアー】茨城の食と最新の科学技術を、熱い大人たちから学ぶ-2日目-

首都圏中学校を対象に希望者を募り実施した、特別企画「ミライの食を拓く!農業×テクノロジー体験ツアー」。
本格的な農業体験や最新テクノロジーへの理解、課題解決に向かって熱く動く大人たちに触れることで、探究の楽しさを知ってもらいたいと実施したものです。

1泊2日のツアーの2日目の様子をレポートにてお届けします。

【2日目】ドローンの技術で課題解決に尽力(株式会社revot systems)

2日目は、つくば研究支援センターにて、最新のテクノロジーについて学んでいきます。

最初にお話を伺ったのは、株式会社revot systems・代表取締役の霜村瞭さん。株式会社revot systemsは、ドローンを中心にIoT機器の開発や提供を行っている会社です。

市販のドローンで対応できない場合、オーダーメイドでドローンを作り、課題解決に尽力されています。

霜村さんからは、農業分野において、ドローンを使用した農薬散布が実現するなど、農業の自動化や効率化が進んでいることが語られました。

霜村さんのお話を聞き参加者からは、

将来的に研究者を目指す上での心構え
日本と世界のドローンの現状
ドローンやロボットを使用することでどの程度自動化できるのか
会社を立ち上げてドローンを研究する中で苦労したことは何か
日本の安全保障にドローンを活用することについてどう思うか

など、具体的な質問がなされ、参加者のドローンに対する興味関心の高さが伺えました。

【2日目】身近な廃熱を電気に変える(株式会社モッタイナイ・エナジー)

次にお話を伺ったのは、株式会社モッタイナイ・エナジー代表取締役の西当弘隆さん。

もったいないの言葉の通り、身近な捨てられている熱を電気に変える、熱電発電という分野において、材料の開発やオリジナル装置を用いた測定などを行うエネルギーの会社です。

「東日本大震災の原発事故の際、『私たちの技術は何もできなかった』とつらい思いをしたんです。こんなことは二度とあってはいけないと思いました。技術的には使えると分かっていたのですが、使ってもらうというアクションには至らず、提案もできなかったんです。そのときの悔しい思いが原動力です」と語ってくれた西当さん。

地熱や太陽熱に代表される自然熱などはほとんど利用されず捨てられてしまっているのが現状だそう。

同社では、温泉や工場から出てくる廃熱水など地産地消エネルギーを使用した発電など行っており、実際にデモ機を持って説明してくださいました。

これからも、未利用のまま廃棄されている、「もったいない」全ての廃熱を電気に変えることを目標に、熱電発電の市場を創出することも目指しています。

生徒からは、太陽光発電システムのメリットとデメリット、災害時にどんな影響があるのかといった質問がありました。さらに、西当さんの回答から気になる点を深堀りしていく様子も見られ、熱い議論が交わされていました。

【2日目】自分なりの付加価値を生み出す(株式会社つくば研究支援センター)

最後にお話を伺ったのは、株式会社つくば研究支援センターの大塚和慶さん。

ロースクールを経て、新卒で金融庁の職員を経験するなど、多岐にわたる経歴をお持ちの大塚さんからは、主に将来のキャリア設計についてお話をしていただきました。

これまでは学校での学びを経て就職し、職を全うして引退するというのが一般的な流れでした。
しかし、人生100年時代。さまざまなライフステージを自由に組み合わせる「ライフシフト」という概念が提唱されているのだそう。仕事や学び、遊びのバランスをとりながら、柔軟に人生を組み立てていくことで、単に長生きするだけでなく、活動的で生産的な時間が増えることが期待されていると話してくれました。

特に人生の大半を占める仕事について、単にお金を稼ぐことだけが目的ではないとも語る大塚さん。

仕事とは、自分の興味や強みに基づいて、付加価値を生み出すことが大切であり、その幅は広く、選択肢も多いのだそう。
企業に就職するだけでなく、起業や副業などもその道の一つ。ある程度の収入は必要ですが、豊かな人生を送るために、自分なりの付加価値を生み出す仕事や活動に取り組んでほしいと熱い思いを語ってくださいました。

中学生にとってはまだまだ先の未来かもしれませんが、大塚さんの講話はこれからの時代のキャリア設計について考えさせられる時間となったことでしょう。

【2日目】知識と経験を生かし、できることから一歩ずつ

いよいよ本ツアーも最後のプログラム。最後は初日と同じco-enに戻り、全体の振り返りを行いました。

ツアーに参加して印象に残ったことや驚いたこと、学んだことなどについて各グループで話し合った後、代表者がグループ内で上がった意見を発表をしてくれました。

農園によって規模がかなり異なることや外国人実習生の活用、6次産業化への取り組みについて印象深かったようです。

また、農業の実情を自らの目で見て体験したことで、私たちの食卓に届くまでの過程への理解を深めることができ、今後はウェブサイトで調べるなどして、食生活に気を付けていきたいという感想もありました。

茨城の食と最新の科学技術を体験した1泊2日のツアー。ツアーで得た知識や経験を生かし、まずは自分たちができることから実践していくことと思います。

2回目以降の開催にもご期待ください。

写真 佐野匠
取材・文 谷部文香

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