「天使的」よりも「悪魔的」に魅力を感じるのは、煩悩(ぼんのう)のせい。
出典:人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学|松本健太郎(著)|毎日新聞出版
煩悩(ぼんのう)。
仏教用語。
簡単に言うと、人間のよくない本能、欲望、欲求のこと。
煩悩には様々な種類があるが、「根本煩悩」と呼ばれるものは下記6つ。
貪(とん) = 欲望
瞋(しん) = 怒り
痴(ち) = 愚かさ
慢(まん) = 怠情
疑(ぎ) = 不信
悪見(あっけん) = 偏見
人間はこれらの煩悩に、魅力や親しみを感じ、時に熱狂する。
例えるなら、出川哲朗さん、こち亀の両津勘吉、ドラえもんののび太、エヴァのシンジ…これらのいわゆる「不完全な愛されキャラ」は「痴」や「慢」に分類され、共感を呼ぶことでファンの心を掴んでいる。
映画カイジでは、藤原竜也さんがキンキンに冷えやがったビールを飲み「悪魔的だ~!」と叫ぶ。
美味しいのは良いこと。だから「天使的だ~!」と言った方が適切。
しかし「天使的」よりも「悪魔的」の方が、なぜか見ている側としては魅力を感じる。これが「貪」。
このように煩悩は、人間の心を強く揺さぶる。
煩悩に負けてしまう心と、負けまいと修行する心。
人間はこの双方を行き来しながら、悩み苦しんで日々を生きている。