材力のエッセンス&考え方がわかる!身につく!――近刊『例題と演習で学ぶ 材料力学』まえがき公開
2022年11月下旬発行予定の新刊書籍、『例題と演習で学ぶ 材料力学』のご紹介です。
同書の「まえがき」を、発行に先駆けて公開します。
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まえがき
材料力学は、材料に力が加わったときに、材料が「どの程度変形するか」、「壊れないか」などを決定できるため、材料を安全に使用したものづくりのためには欠かすことができない重要な学問である。そのため、機械系の学生のほとんどが大学の学部1、2年生もしくは高専の後半学年の授業で必須科目として学んでいる。ところが、材料力学は高校物理で学んだ質点や剛体の力学とは異なり、連続した物体(連続体)の「変形」を扱う力学であるため、高校物理では学ばなかった概念が多く登場する。たとえば、材料力学では、実際には3次元形状をした材料を実用上問題のない範囲で1次元に近似してその変形を求めるが、そのために、断面二次モーメントや断面係数といった新しい物理量が登場する。また、材料内部に生じた力(内力)を求める際には、材料を仮想的に切断した切断面での力の作用・反作用を考え、材料の破損や破壊を判断する基準として応力という新しい概念を学ぶ。
このように、材料力学ではさまざまな新しい知識や概念を学ばなくてはならないせいか、多くの学生は材料力学を難しいものと感じている。そこで本書では、はじめて材料力学を学ぶ読者を想定し、材料力学で新しく学ばなくてはならない物理量や概念について、多くの図を用いて親しみやすく丁寧な解説を心がけ、しっかり理解できるように工夫した。そして、数式による計算過程も紙面の許す限り丁重に記載した。
また、多くの例題と演習問題を解いていくことで、材料力学の考え方を理解できるように心がけた。章のはじめにある「確認しておこう!」には、その章を学ぶうえで基礎となる知識について記載してある。予習として取り組み、わからない問題については前の章、あるいは高校の数学や物理の教科書で復習し直して基礎を固めてほしい。例題の前後では材料力学の理解に必要な原理を説明し、「理論を理解したうえで、演習問題に取り組む」というスタイルをとっている。そして、例題や演習課題は実際の機械設計で出会うであろう現実的な問題とし、数値で解答する形式にした。本書に記載した多くの図から目に見えない内力や変形をイメージできるように、そして、演習問題で求めた値を実際の機械材料に生じる具体的な数値としてとらえることができるように、何度も繰り返し解いてほしい。そうすることで、今後、読者の皆さんが機械設計を行う際に、自分が計算した値の妥当性の判断ができるようになると期待している。
読者の皆さんが本書で材料力学を学ばれて、将来は機械設計エンジニアとして活躍していただければ望外の喜びである。
(以下略)
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ひずみ、引張・圧縮、せん断、ねじり、曲げ、たわみ、座屈…など、初学者が理解に苦戦しがちな、材料力学の重要な物理量や概念について、多くの図を用いてわかりやすく丁寧に解説します。
各章はじめの「確認しておこう!」で基礎知識を確認しておくことで、スムーズに解説を読んでいけます。
また、例題や演習問題(全100題)を解いていくことで、理解を深めながら材料力学の考え方を着実に身につけられます。