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重要技術の原理・動向・活用例がわかる!――近刊『IoT/5G/DXのネットワーク技術・セキュリティ技術-発展動向から知財戦略まで-』はじめに公開

2022年5月下旬発行予定の新刊書籍、『IoT/5G/DXのネットワーク技術・セキュリティ技術-発展動向から知財戦略まで-』のご紹介です。
同書の「はじめに」を、発行に先駆けて公開します。

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はじめに

本書はICT(information and communication technology)に関する技術解説書として、特に最新の情報ネットワーク技術とセキュリティ技術を俯瞰し、Society5.0に着眼した技術の啓蒙を図ることを目的としている。また、第1章で触れたコンピュータ技術の発展とネットワーク技術とが相互に関連し、次世代のネットワークサービスの開発が可能なことを、各種の事例をもとに解説する。

大学や企業の研究機関がSociety5.0に向けた基盤技術の研究開発を推進している状況に鑑み、これまで実用化されてきたICTが、どのような個々の技術の連携のもとでその基盤を形成するに至ったか、その技術変遷の本質を理解していただきたい。さらに、今後のICTの技術動向についての知見を修得していただくことも目的の一つである。

具体的には、Society5.0が目指す広範な情報技術の中でICTエンジニアにとって必須のIoT(internet of things)、LPWA(low power wide area)、5G(5th generation)、クラウド、NGN(next generation network)、AI(artificial intelligence)、サイバーセキュリティ等に関連したネットワーク技術や情報セキュリティ技術等を、筆者らの技術・研究体験をもとに解説している。ここで、ネットワーク技術の中には、高速スイッチング技術、高速暗号技術、仮想化技術等が含まれる。一方、セキュリティ技術としては、サイバー攻撃の分析技術・可視化技術やAIを活用したサイバー攻撃対策技術が含まれる。

本書では、大学の学部4年次生・大学院生の研究活動支援や技術系の新入社員教育向けに、ICT技術の理解に役立つ技術の解説を行い、発展的かつ戦略的な思考法の修得を目指している。従来は研究論文の執筆に主眼を置き、特許権の取得を第一の目的とはしていなかった大学院生や企業の研究者が一般的であった。しかしながら、新技術の実現性や、その応用により高い社会的な効用が期待できる場合には、すみやかに実現のための技術課題を具体的かつ論理的に明確化できる思考法を身につけることは、望ましい技術者の姿勢と考える。

この観点に立って、本書の第2章から第5章の技術解説の随所に「実用化上の課題」や「権利化に向けた示唆」を盛り込んだ。第6章ではインターネットサービスに従事する企業の特許係争が世界中で繰り広げられる状況に鑑み、Society5.0全体を俯瞰したときのコンピュータソフトウェア技術を中心に、発明の権利化や、権利行使の方法について解説する。さらに、今後の知的財産の発掘に向けた技術戦略に関わる実践的な思考法を併せて解説する。本書により、読者が次世代の情報化社会の基盤を形成するための思考法を理解し、Society5.0の基盤技術を修得できることを心より願っている。

特に、Society5.0で対象とする技術の発展につながるアイデアを創発するための論理的な思考法を中心に解説した。このような観点で執筆された技術書はほかにはないと考えられる。解説にあたって、多くの読者の理解を促すために、直感的に理解しやすい図面を活用するとともに、数式記述による説明は最小限にとどめた。

本書の理解には、理工系の大学学部の2年次程度で修得するコンピュータや情報通信、デジタル回路等の基礎知識は必要である。これらの技術素養をベースに、さらに一歩踏み込んで、革新的な付加価値に結び付けるためのアプローチ手法を身に付けてほしい。また、Society5.0全体を俯瞰したときの知的財産権の取得、権利行使についても理解を深めることは、今後の日本の技術発展にますます必要になると思われる。

ネットワーク、クラウド、セキュリティ、AIを連携したデジタルトランスフォーメーション(DX:「デジタル技術の徹底活用によるビジネス変革」ともよばれる)の概念は、各章の記述と関わりが深く、きわめて重要である。しかしながら、多くの企業では、その実現意義に十分気付いてはいるものの、実際の変革は、まだ始まったばかりの段階と考えられる。このため、第1章において考え方の基礎を、いくつかの実例を交えて解説した。これらは、Society5.0が目指す情報伝達サービスや各種サービスの連携法等の理解に役立つと思われる。

本書における各章の執筆担当箇所は以下のとおりであり、全体監修は宮保が担当した。
 
第1~4章:宮保憲治
第5章:笠間貴弘
第6章:岡田賢治
 
(以下略)
 
 
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著:宮保 憲治(東京電機大 名誉教授) 
  岡田 賢治(アイル知財事務所 代表)
  笠間 貴弘(情報通信研究機構 研究マネージャー)

Society5.0に向けた技術の研究開発が推進されています。この状況を踏まえ、本書では、これからのICTのエンジニアに必須となるネットワーク技術やセキュリティ技術を解説します。具体的には、Society5.0の基盤となるIoT、LPWA、5G、クラウド、NGN、AI、サイバーセキュリティ等の技術について、原理や動向、応用事例を解説しています。
 
また、技術発展のアイデア創発や研究開発の戦略に役立つよう、上記の技術の実用化に向けた課題や、特許権利化への示唆にも随所で触れています。

〈このような方におすすめ〉
・IoT人材・DX人材を目指す方、企業の新入社員
・技術の概要をつかみ、活用したいエンジニア
・関連分野を研究する学生


【目次】
第1章 序
 1.1 サイバー・フィジカル空間
 1.2 DXの基本概念
 1.3 DXの実例
 1.4 コンピュータ技術の進展とネットワーク仮想化の関連
 1.5 本書の構成

第2章 IoT技術の概要と今後の課題
 2.1 IoTの発展経緯と技術動向
 2.2 センサ通信とアドホックネットワーク
 2.3 可視光通信技術
 2.4 LPWA技術
 2.5 携帯電話公衆網と4G/5G技術
 2.6 応用例

第3章 インターネットとパケット交換技術
 3.1 インターネットの技術動向
 3.2 回線交換とISDN・デジタル移動通信技術
 3.3 ハイブリッド交換方式
 3.4 ATM交換とNGN
 3.5 次世代のIPルータ
 3.6 次世代IPルータと既存ルータの併用技術

第4章 次世代のセキュアなクラウド技術
 4.1 クラウドコンピューティングの技術
 4.2 セキュアなデータ分散保管技術
 4.3 ネットワーク仮想化技術
 4.4 応用例

第5章 サイバーセキュリティ技術
 5.1 サイバー攻撃の変遷
 5.2 サイバー攻撃の観測技術
 5.3 サイバー攻撃の解析技術
 5.4 サイバー攻撃の対策技術
 5.5 AI技術とサイバーセキュリティ技術
 5.6 応用例

第6章 Society5.0を俯瞰したときの知的財産権を巡る特許戦略
 6.1 Society5.0での知的財産の特徴
 6.2 特許上のコンピュータソフトウェア関連発明の特徴
 6.3 コンピュータソフトウェア関連発明の権利化の課題
 6.4 コンピュータソフトウェア関連発明の権利行使
 6.5 コンピュータソフトウェア関連発明の権利化の留意点

おわりに
参考文献
索引 

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