#493 言葉を学びなおす
一体自分は、過去の学びから何を活かせているのだろうかと思う。
近頃、引っ越しをした。といっても、もう引っ越してから一ヶ月が経ったが。引っ越しの際に自室の本棚を整理していると、過去に購入して読んだ本の中から「言葉」についての本が出てきた。出てきたというか、ずっと見えるところにはあったのだけれど、本棚に眠らせっぱなしになっていた本だ。
購入したのはもう随分前だ。そのころから、言葉がけや心の在り様によって人の成長の仕方は変わってくると思っていて、それで手にとって購入した本だと記憶している。しかし、そのころ学んで実践していたはずのことは、今の自分はできているだろうか。いい機会だと思い、もう一度読み直してみることにした。
手始めに読み始めたのが、ペップトークの本だ。
ペップトークのことは、かねてよりお世話になっている埼玉県の間庭さんから教えてもらった。とても良い考え方だから、ペップトークについては学んでおいた方がいい、と。言われてすぐ、この本を買った。とても感銘を受けて、当時はまだコロナ禍前で定期的に行っていた守山ジュニアのミーティングでも、この本の内容をまとめた話を共有させてもらったことがある。
時は流れて。今、自分が子どもたちをはじめとした周りの方々と関わっているとき、その言葉はペップトークになっているだろうか。残念ながら、我が身を振り返ってみてもとてもそのようには思えない。なので、まずはペップトークから学び直すことにした。以下、今回読んだ部分から得られた学びについてまとめる。
「実践!PEPTALK」からの学び
人は環境の生き物であると言われる。ポジティブな言葉が多い環境に身を置けばポジティブになるし、ネガティブな環境にいればネガティブになる。
昔はネガティブな言葉でも相手への期待を込めて発破をかける意味で使われていたし、実際にそれで奮起してがんばってきた人も多いだろう。しかし、我々を取り巻く状況は変わった。
子どもたちを取り巻く状況は
選択肢が増えた
我慢の必要がなくなった(社会が豊かになった)
という変化をした。指導者やリーダーにとっては
気合だけでは成果が出なくなった
経験してきたことが正しいとは限らなくなった(社会の変化のスピードが速くなった)
という変化が起こった。なので、厳しいことを言えば「じゃあもういいです」と言って離れてしまうこともできるようになったし、それで本当に離れていってしまうと困るから、言う方も厳しいことを言えば済むという世界ではなくなってしまった。もちろん、本気で向かい合っている人は、厳しいことを言ってくれる人を求めていたりするし、あくまでも、以前はそういう人が多数だったものが変化してきている、という話である。
だから、言葉を変えることで対応しよう、ということになるのだが、これを邪魔する3つの思い込みがあるという。
1.褒めるとつけ上がるのではないか、という思い込み
「褒める」と「甘やかす」を混同しなければいい。
「褒める」というのは、目標やそれに対する到達度に対して、相手が受け取りやすい言葉で、心を前向きにする言葉を投げかけることである。
対して「甘やかす」というのは、やるべきことをやっていないのにそれを容認することを指す。こちらになってしまうと、つけ上がってしまう。
2.楽しいだけでは成果が出ないのではないか
「楽しむ」と「楽をする」を混同しなければいい。
「楽しむ」というのは、前向きな気持で取り組むことを指す。
対して「楽をする」というのは、やるべきことをやらずに手を抜くことを指す。
3.ダメ出ししないと成長しないのではないか
ミスの指摘、改善点の伝え方への一工夫が重要。
「〇〇がダメ」「〇〇ができていない」などのダメ出しで伝えるのではなく、「ここは良いから、さらにこうするともっと良くなる」など、その先に向けて前向きになれる言葉がけを意識すると良い。
加えて、指導者・リーダー側にとってもっともありがちな障壁は「今更変わるのはカッコ悪い」という思い込みである。実際にカッコ悪いのは、変わったほうが良いとわかっているのに変わらないことである。いい大人でも、変わろうとして努力する姿がカッコ悪いわけがない。
ペップトークの反対となるネガティブな言葉がけを、本書では「プッペトーク」と呼んでいる。まずは、自分が今プッペトークになってしまっているなら、それを自覚するところから始めるといい。ありがちなのが、指導者・リーダーの承認欲求を満たすことが優先されてしまっている、ということだ。自分の言う通りにメンバーや子どもたちが動くことによって、成果が出るかどうかばかりが大切になってしまっていないか。そんな自分がいるなら、そのことに気づき認めることが大切だ。そして、自らの承認欲求は自らで満たし、相手に対しては貢献欲求で接することを意識する。
今のチームはこれまでの言葉で作られ、この先のチームはこれから使う言葉で作られる。周りの人たちも、これまで自分が使ってきた言葉に影響を受けてきた。これから使う言葉で、違う影響を与えることができる。リーダーの言葉がメンバーを育て、メンバーの言葉がリーダーを育てる。これまで使ってきた言葉で自分は育てられてきた。そして、これから使う言葉で自分は育てられていくのである。
変わるのは怖さが伴う。今、怖くても変わるのか、そのままにして変わらない未来へ向かうのか。バンジージャンプは飛ぶ前が一番怖い。飛んでしまったら、なんとかなるものである。
以上が、この本の第一章を読み終えてのまとめである。そう、これでもまだ第一章なのだ。すでに心構えの部分ではかなり大きな学びがあるが、この本はここから実際のペップトークの考え方や技術の話に入っていく。今はまだ第一章までしか読み終えていないので、次の機会で実践の部分についての学びを共有する回を設けたいと思う。
(了)
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