
【マネジメント】ROICって難しそう、実は自然と考えている人生戦略と同じかも
はじめに
最近会社でよく聞くようになった財務指標「ROIC」
「ROIC」って聞いただけで、難しそうと感じませんか。
みなさんが日常的に無意識に行っている「投資」と「リターン」の考え方と、実は似ているんです。
ROICって何?簡単に言うと…
ROICとは「Return on Invested Capital」の略語です。
日本語に翻訳すると「投下資本利益率」となります。
難しそうな名前ですが、実は概念は簡単です。
「お金を預けたら、どれだけ効率的に増えるか」
あなたが1万円を投資したとして、それがどれだけ効率的に増えるかを考える感覚に近いです。
この「効率」を考える視点は、経営に限らず、日常生活の中でも誰もが実行していることと思います。
他の指標と何が違うの?
他の財務指標と比べると、ROICの特徴がよくわかります。
ROE(自己資本利益率)
「株主が出したお金が、どれだけ効率的に増えるか」
ROA(総資産利益率)
「会社が持っている全ての資産が、どれだけ稼いでいるか」
営業利益率
「売上に対して、どれだけ儲けが出ているか」
全ての指標は「効率性」と「稼ぐ力」を見ています
しかしROEとROAは現在の問題の量的で短期的な視点となっています。
ROICの特徴は、これらの指標を包括的に見られること。
単に「いくら儲けたか」ではなく、「投資した資本をどれだけ効率的に使ったか」を見ます。
日常生活につながるROIC
筋トレの場合
投資:時間、トレーニング費用、サプリ代
リターン:筋肉量、健康、自信
勉強の場合
投資:学習時間、教材費
リターン:知識、スキル、キャリア
キャリアの場合
投資:スキル開発、ネットワーキング
リターン:昇進、収入、満足度
なぜROICが注目されているの?
1. 短期的利益より長期的価値を重視
従来のROEやROAは短期的な利益に焦点を当てる傾向がありました。
一方、ROICは「投資した資本がどれだけ効率的に価値を生み出しているか」を測定するため、長期的な視点から会社の持続可能な成長を評価できます。
2. 経営効率の改善への寄与
ROICは資本効率を向上させる指標として役立ちます。
企業は不要な投資を削減し、より効率的な資本配分を行うことで、長期的な利益を最大化する戦略を立てやすくなります。
3. 投資家への説得力
ROICは、株主や投資家に対して会社の投資効率を示す重要な指標です。
高いROICを維持する企業は、資本を効率的に使い続けていることを示し、投資先としての魅力を高めます。
4. 経済環境の変化
グローバルな競争が激化する中、ROICは企業がどれだけ効果的に資本を活用して競争優位を保っているかを示します。
特に、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が注目される現在、資本効率を示すROICの重要性が高まっています。
経営者の意識の変化をまとめると
短期的な利益追求から、長期的な価値創造へ
「量」より「質」を重視
持続可能な成長への意識
参考:レストラン経営で見る財務指標の違い
初期投資
厨房設備:1000万円
テーブル・椅子:500万円
合計初期投資:1500万円
ROS(売上高利益率)で見る場合
月の売上:200万円
総費用:150万円
純利益:50万円
ROS計算:(50万円 ÷ 200万円) × 100 = 25%
特徴:売上に対する利益の割合を示す
見えること:収益性(儲けの効率)
ROA(総資産利益率)で見る場合
総資産:2000万円(初期投資+ 運転資金)
純利益:600万円
ROA計算:(600万円 ÷ 2000万円) × 100 = 30%
特徴:全資産がどれだけ利益を生み出しているか
見えること:資産の運用効率
ROIC(投下資本利益率)で見る場合
投下資本:1500万円
純利益:600万円
ROIC計算:(600万円 ÷ 1500万円) × 100 = 40%
特徴:投資した資本がどれだけ効率的に利益を生み出しているか
見えること:投資の効率性、価値創造能力
比較のポイント
ROS:儲けの割合「売上のどれくらいが利益になるか」
ROA:全資産の効率「持っている資産全体でどれだけ稼いでいるか」
ROIC:投資した資本の効率「持っている資産全体でどれだけ稼いでいるか」
まとめ
ROICは難しい経営用語ではありませんでした。
日常的に無意識に行っている「投資」と「リターン」の考え方そのものです。
自分の時間、お金、エネルギーをどう効率的に使うか。
それがROICの本質であり、人生の戦略と同じではないかという気づきでした。
これで幹部の方からの経営状況の話にも理解が進みますね。