Be yourself〜立命の記憶I~24
◆第15章:必然の遠回り(3)
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ニノ
2016/11/1 10:34
どの辺?
愛
2016/11/1 10:35
(アイスコーヒーのカップの写真)
愛
2016/11/1 10:35
このお店。
高架のある道をまっすぐ歩いてきた。
なんか大きくてキレイな銀行で両替して、戻ってくる途中よ。
あれ?帰れるのか、私??
1回道路渡って曲がってるから、
どこかで渡らなきゃ。
あれ?ヤバイ。。
ニノ
2016/11/1 10:39
ホテルから高架のある通りに出て右側?
愛
2016/11/1 10:39
ホテルから、左に曲がった。
ニノ
2016/11/1 10:40
左側にそのカフェあったかな?
愛
2016/11/1 10:41
で真っ直ぐいったけど、銀行なくて、向かい側にあったから、渡ろうと思ったけど、横断歩道なくて、すごい歩いて、
やっと渡って戻ろうと思ってたのに、あれ?最初に見た向かい側の銀行じゃないとこで両替してる!
ニノ
2016/11/1 10:42
わからん。。。
愛
2016/11/1 10:42
でも、途中でこのカフェおしゃれーて思ったから、引き返してきたんだけど…
ニノ
2016/11/1 10:43
モールの中にあるカフェ?
愛
2016/11/1 10:43
これ、モールなのかしら?
ニノ
2016/11/1 10:44
写真送って
(私、建物と通りの写真を数点連続で送った)
ニノ
2016/11/1 10:45
オッケー!分かった
緑の銀行で両替したでしょ?
愛
2016/11/1 10:46
のつもりだったけど…
近づいたら青い感じの内装だったよ。
ニノ
2016/11/1 10:47
よく分からんが現在地は分かった
愛
2016/11/1 10:48
とりあえず、何時にホテルに戻ればいいんだっけ?
ニノ
2016/11/1 10:48
12時ぐらい
朝飯たべた?
愛
2016/11/1 10:49
食べてない、お腹すいた。
ニノ
2016/11/1 10:49
買い物は?
愛
2016/11/1 10:49
してない。とゆーか出来てない。
ニノ
2016/11/1 10:50
来る途中にでかいデパートがあったでしょ?
愛
2016/11/1 10:50
え…
??
まったく気付いてなかった。
あ、ブランドのお店あったね!
ニノ
2016/11/1 10:51
駅直結のところ
愛
2016/11/1 10:51
ディオールとかティファニーがあったね!
あれ、駅か!
ニノ
2016/11/1 10:51
そうそう
愛
2016/11/1 10:53
ねぇ、私、サービス精神旺盛だから、色んな人にお土産買わなきゃって思ってるんだけど、
本当はそんな時間使いたくないの。
お土産買えなかった、ごめーん!て許されるもの??
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ここで、返事が止まってしまった。うーん忙しかったのだろうか。
後で謝ろう・・・。
とにかく、まずは戻ろうっと!
そう思って、私は、こっちなはず、と思った通りに歩き出した。
たぶんここまっすぐだと思うんだよなー。
あ、彼の言ったとおりだ。OK!
旅慣れない私が愛おしくて心配しているであろう彼(してない)に念のため報告。
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愛
2016/11/1 11:03
戻れそうな予感!
ニノ
2016/11/1 11:08
最悪、空港で買えばいいよ
てかあのバックにお土産入らないんじゃない?
愛
2016/11/1 11:08
ショッピングバッグ買うつもりだった。
主人は空港で買えばいいよと言っていた
デパート着いた!
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あ、また返信止まったね・・・。やっぱ別に心配してねーか。だよなー。
いや、デパート着いたからもう心配してないの?分かんない・・・。
(うん、確かにデパートだね。お土産すぐ買えるかなぁ・・・。)
そう思う私の右手に、大きな百貨店らしき建物があった。ティファニーとか高級ブランドの看板がある。
子供産んでからはまったく疎遠になってしまった高級ブランド達。
人にあげる物を買う時にしか、デパートには行かなくなってしまっていた私。
目の前の扉を開けようとしたら、警備員にこっちじゃねーよ、と目配せされた。
あら?入口と出口って扉がしっかり別れてる。なんで?
入口側から入ってやっと気がついた。
入る時にセキュリティゲートを通るんだね。タイ、やっぱ危ないのかな。コワイ。。
そして、ゲートをくぐって中に入った私。
(いやー、時間無いのに、広いなココー!キレイだなー!)
私、笑顔。ちょっとテンション上がってたと思う。
女は買い物が好き。
とりあえず、タイシルク売ってるか確認しよう。あ、でも案内図、英語かタイ語だよなー・・・
と思ってたら、カワイイ女の子3人組が待ち合わせしてて、日本語喋ってる!やった!
「すみませーん、日本の方ですよね?ちょっと聞いても良いですか?
タイシルクのお店がこの中にありますか?」
「あー、ジム・トンプソン?とか、あと他にあったかなー。」
「あ、そんなにブランドの高いのじゃなくていいんです。お土産にタイシルクのパジャマがあったら見てきてと言われていて。」
タイだったら、シルクのパジャマはスーパーみたいなとこにでも安く売っているんじゃないかと思っていた、私。
「他にあったかなー。」
「なんかお土産屋さんとかにもあったかもね」
「でもパジャマは無いよね」
「ジム・トンプソンのアウトレットとかは、ここから2駅のところとかにあるけど・・」
あ、それ彼から聞いてたから知ってる、と思った私。
「あー、アウトレットがありますよね!それは友達から聞きました!」
「ここの駅を出て2駅離れたとこでー・・・」
それを聞いて、時間無いから、無理だなーと思った私。
「あー、そうか、ちょっと遠いのであれば、友達と待ち合わせしてから行こうと思います!
教えてくれてどうもありがとう!日本語助かりました!」
そう言って、お礼を伝え、帰ろうとした私は、ふと、立ち止まって、振り返って聞いた。
初めて会う人には、「住んでいるところと、名前を言う」のが礼儀、と思っている私。
でも、いきなりそんな事言ったらヘンだよね。
「あ、皆さん、日本のどちらからいらしてるんですか?」
「あ、私達こっちに住んでるんですー。」
「あ、そうでしたか!それはそれは失礼いたしました、地元の方なんですね!私、東京から来ました、森川愛と申します。ご親切にありがとうございました。」
「あ、いえいえー。」(バカ丁寧に変わった人だと思われただろうな)
「それでは、本当にありがとうございました。あ、観光客丸出しで失礼しました~。w」
「あははは、いえいえ。」
本当は、ジム・トンプソンのシルクは高そうだからお土産にはちょっと買えないかなーとか思っていた。(実際は全然高く無い。むしろ安い。)
アウトレットならいいかも知れないけど、2駅移動するには時間が足りないな・・・。
そう思って、私、とっさに嘘をついてしまった。
その後ろめたさが、こんなバカ丁寧に自己紹介をして挨拶するに至ったんだと思う。
私は嘘をついてるけど、怪しい人間ではありませんよー、って。
とりあえず、会社のみんなに「パジャマを選びながらLINEで連絡する」という約束が守れなくなったので、主人の言うとおり、最悪空港で買う事にして、デパートを出た。
あれ?私、上手に嘘付けてるじゃん。