Be yourself〜立命の記憶I~⑯
◆第11章:妄想の裏側
バンコクに出発する当日の朝、私は、ドキドキが止まらなくなった。
昨日はあんなに落ち着いていたのに。
メッセージらしきものを感じ取って、メモして、もう彼に対しての使命は果たせるでしょう?
なのに、なんで、こんなに落ち着かなくて、胸がドキドキするんだろう・・・。
ハッ!これがまさか恋??
いやぁ、ホントこの歳になって、やめて欲しい。
いや、でも待って、私、どうしたかったんだっけ?
(20年も好きだったんだからチューぐらいさせてくれよー!)
ハッ!皆の前でこんな事言ってた?言ってたな・・・。
いやいやいや、ダメですよ、ダメですって。昨日、なんて結論出てたんだっけ?
えーと、えーと、彼の事がこうだったんでは?って思ったんでしたね。
彼が私の事が忘れられなくて、高校を中退して追いかけようとした。
でも、行けなくて大学に進学して会おうとしたのに、私にヒドい事言われた。
で、傷心の彼は海外へ。
で、今は彼女が居るけど、私からの連絡により、同じように恋心の蓋開いちゃた???
・・・・
あ、そういえば、なんか、昔見えたイメージがあったなぁ。
私、自分と他の人の過去とか未来とかイメージでフラッシュバックする事があるので。
なんか、彼が高校の先生だか、誰かから、
「あいつはお前が思ってるような女じゃないよ」
って言われているシーン。
あとは、私の電話番号かな?誰かから聞いた時に、彼が、
「でかした!」
って言っているシーン。
ん?て事は、こういう事??
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高校を中退すると言って、彼は親にかなり反対された。
自分で学校に辞めると伝えた時には、先生に、東京に行きたいんだと伝えたが、
「あいつはお前の思ってるような女じゃないよ」と言われた。←ここ見えたとこ。
↓
勝手に辞めた彼に、親がお金を出してくれるはずもなく、大学に行くのなら良いと言われた。
↓
関東を選んで進学、群馬大学に入ったものの、私の連絡先が分からない。
男友達の誰かに聞いた時には、「でかした!」と彼言った。←ここ見えたとこ。
↓
満を持して私に電話するも、ご存知の展開。
↓
東京にいる意味を見失った彼は、就職した後、進んで海外勤務を希望。
↓
海外在住の辞令も喜んで承諾。
↓
で、バンコクに12年在住。恋心再燃。
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コレ―?こういう事???
そうなの?そうかも!いやそうでしょう!!!
て、事は、私、まず、彼になんて言わないといけない?
えーと、まず、
「なんで、あなたがバンコクに居るのかの理由が分かりました。」
そんでそんで、
「今まで傷つけてしまってごめんなさい。」
そんでそんで、
「私達、すれ違ってばかりだったね。」
・・・・その後、どうしよう。
あ、いやいや、彼のお母さんからのメッセージがあるでしょうよ。
その話もしなきゃね。
でも、信じてくれるかなぁ・・・、高校の時、私、不思議ちゃんだったかなぁ・・・。
大人になってからは、不思議ちゃんって言われた事あったけど、音楽業界ではこんなヘンな子いっぱいいたから、別におかしいと思ってなかったんだけどな。
いや、でも普通の人は、こんな事理解出来ないよね、たぶん。
彼、理系な上に、理性的な人だから。
あ、たぶんウチの主人も分からんだろな・・・。
て、ゆーか、主人にはなんて説明すればいいのよ、この状況・・・。
どうしよう・・・。
お互いに恋の炎が燃え上がったらどうしよう・・・。
(恋の炎でヤケドしないでくださいねー。ハハハハ。)
ハッ!金さんの声が聞こえる!
そうよ、そうよ、ヤケドどころじゃすまないよ、離婚だよ、訴訟だよ、養育費だよ。ウチ子供3人居るんだよ?
でも、彼のほうがその気だったらどうしよう・・・。
あ、イヤイヤ、図解の結果を思い出せ!
彼=理性的
私=感情的
ほら、私が止めなきゃいけないでしょ?やっぱ!!
つーか、私が盛り上がっちゃダメなんだってば!
もーぅ、じゃぁ、このドキドキなんとかしてよー、誰か~・・・。
あ・・・ん???あれ???
何か違う気がする・・・。
あれ?あの手紙、違うの?何か違いましたか?
私は、部屋を出る前に、また、何かを感じ取った。
そうこうしている間に、チェックアウトして空港に向かう時間になってしまった。
ホテルの前で、ドアマンの人がタクシーを呼んでくれた。
私が乗り込むと、「行き先は?」みたいな事を聞くので、「タンソンニャット国際空港ね。」と英語で伝えて、ドアを閉める。
ドアマンが窓からドライバーに、なんとかかんとか、言って、車は走り出した。
はー、後、何時間後に会っちゃうの?私。
14時40分着って事は、今が11時だから、3時間半くらいか・・・。
あと3時間!!!
いやー、もうドキドキがマックスです!
なにこれなにこれなにこれ。
とりあえず、誤解を解きに行きたいだけなんだってば。
このなんか、こう、ドキドキしてるのは、間違いなんですってば。
久しぶりで、私が緊張しちゃってるだけなんだってば。
落ち着けー、落ち着けー。
うーんと落ち着く時は何をすればいい?
人の字を3回書いて、飲み込む?
1,2,3・・・効かねーわ!!!
あー、もうダメ。というか、私が疲れた。
あー、疲れたー!自分で盛り上がっちゃダメでしょー。
よし、このくらいやる気ない感じで行こう。
相変わらず、頭ポワポワだから、ちょっとおかしいって先に伝えよ。
あ、あと私たぶんADHDだから、嘘はつかないでって言おう。そうしないと、また嘘つかれたり、隠されたりして、誤解がとけなくなっちゃう。
そんで、高校中退した理由から、聞いてみようかな。