『リップル、不動産取引にNFTを活用したサービスを開始』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.11.11
■リップル社パートナー、XRPLで不動産取引サービスを開始
FTX事件で相場は大混乱していますが、web3はFTだけでできているわけじゃありません。分散型台帳技術を使った課題解決に本質があるわけで、今回はその大きな一例をご紹介したいと思います。
ブロックチェーン技術を最大活用した不動産取引の事例です。
としていますが、これまでの不動産取引のどんな課題をブロックチェーン技術で解決しようとしているのでしょうか。
■共通規格としての賃貸借契約証明NFTで住所変更が簡単に
デジタルプロパティ証明書、「digital property certificates(DOCs)」と原文でも書かれていてDPCじゃないんだと不思議に思いましたが、DOCというNFTが設定されています。
不動産の賃貸借契約を済ませたことを証明するNFTという位置づけです。証明書をNFT化することは多いですが、面白いのはDOC NFTを各種公共料金の管理に使おうとしている点です。
家を借りたあと、役所への住所変更から始まり、電気・ガス・水道・インターネットなど公共料金の住所変更を個別の手続き書類でやらなければならないのが今の普通です。これ面倒ですよね。
なぜ個別の手続き書類を使わなければならないかといえば、デジタル的に帳票の規格が統一されていないからです。そして規格を各社間で統一しようとすると、Web2以前では大きな中央組織が管理するシステムが必要、という発想をしがちでした。
それをDOC NFTを提示することで利用者情報、利用開始日、契約期間などが伝達できるようにするのだろうと思います。確かにセンターシステムなしでウォレット接続~NFTの所有確認とNFTのメタ情報の読み込み開示をすることで実現できそうです。
もちろん電気ガス水道など各社側がNFTの読み込み確認のシステムを作る必要はありますが、各社のシステムをカスタマイズするやり方であって中央のひとつのシステムに統合するような無理はありません。
住所変更の手続きが必要なものは公共料金だけでなく、職場への申告、車の車検証の記載変更、免許証や各種身分証明書の記載変更、銀行への申告などなど本当に多数あります。ダイレクトメールをアナログに送ってくる美容院やケーブルテレビなどもありますね。これらがウォレット接続によるNFT提示だけで済めば最高にラクチンです。
住所変更手続きが面倒なので引っ越さない、という人もいるとすれば、住所変更手続きをNFTで簡単にしてあげることで不動産取引の流動性を上げ活性化することにもつながりそうです。
■誠実にふるまうとオーナーにユーティリティトークンが付与される
不動産オーナーが誠実にふるまうとPRPというユーティリティトークンが付与され、仲介プラットフォーム上で広告が打てるようになったり高評価の証となったりするようです。
オーナーに限らず借り手側も滞納しない・近隣トラブルを起こさないなどを証明するというユーティリティがあってもいいように感じましたが、ポルトガルではオーナー側に課題が多いのかもしれません。
日本の場合は家を借りる際に保証会社にお金を払って契約するケースが多いので、もしPRPトークンを付与された実績が多ければ保証会社への支払額を減らせたりPRPトークンで支払えたりするとよさそうです。
■売買の登記までできるようになると最高
不動産取引は時間とお金と手続きに課題があります。
つまり「遅くて高くて面倒」です。
各社で手続き帳票がバラバラなのをシステム的に統一するのは現実的ではなく、そのせいで時間とお金が余分にかかり手続きが面倒になります。
そして前述の通り住所変更をすると同時に変更手続きをしなければならない相手先が非常に多いことも面倒です。
これをブロックチェーン技術で「早くて安くて簡単」にできれば助かる人がとても多いでしょうし、削減できる時間とお金と負担が大きいぶん経済効果も非常に大きいと考えられます。
不動産では賃貸よりももっとコストが大きいのが売買です。
売買までブロックチェーン技術で課題解決できれば不動産への海外マネーの流入なども進み、お金の流動性がかなり上がるんじゃないでしょうか。海外からの買い占め・買い進め問題は別に対策が必要ですが、XRPの国際間の資金移動に適しているという特長と不動産へのブロックチェーン技術導入の相性は非常によさそうです。
遅い・高い・面倒という課題がある以上、不可逆的に解決される方向に進むと思います。あとは導入がいつになるか。日本でもweb3を国策にと謳うのであれば、大きなお金が動く不動産から手を付けてみるのはいかがでしょうか?