『「QRメニューより紙のメニューがいい!」最新技術好きがよく陥る罠』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.6.22
■「QRメニューより紙のメニューがいい!」 アナログ式に戻す店が相次ぐ「いくつもの理由」
アメリカでの状況ですが、自分のスマホでQRコードを読み込んでメニューを見る・注文するという方式を、アナログな紙のメニューに戻す飲食店が増えているというニュースです。
日本ではむしろメニューのQRコード化はまだまだこれからかなという印象すらあり、据え置き設置された1台のタブレットで注文するタイプのお店の方が多いですし、タブレット型のお店では「各自のスマホで注文できるようにしてくれないかな」とすら思っていました。
しかしアメリカではいったんQRメニューが急速に普及し、現在では減少し始めているようです。
アメリカでQRメニューが嫌われる理由
アナログに戻す一番の理由は「顧客の多くがQRメニューを嫌っているから」だとしていますが、この記事の中ではアメリカでQRメニューが嫌われる興味深い理由が挙げられています。
たとえば
レストランでスマホを出すこと自体がマナー違反だという理由を挙げています。
確かにお店の種類やグレードによってはそうだろうと思いますが、日本で日常で見かける飲食店ではスマホを見ながら食べている人が大勢いますし、家庭の食卓でも「食事中はスマホを見るのをやめなさい」というマナーがなくなっているところも多いように感じます。
アメリカでは食事にマナーとムードをより強く求める人が日本より多いのでしょうね。高級店に限った話ではなく、食事シーンでスマホを使うのはムードを壊すという発想が多くの人に定着しているように感じます。
電子化が合理化にならない経済的理由も
注文係の人件費削減ができるのはその通りでしょうが、日本では「おかわりはいかがですか」をレコメンドする飲食店は大衆店に関しては多くないと思います。熱心な居酒屋ではたまに見かけますが、チェーン店では店員は呼ばないと来ませんし、呼んでもなかなか来ないくらいですよね。
日本に多いタブレットメニューでは、トップページにシズル感のある写真や動画を使ってオススメ品を訴求したり、凝ったところだと注文内容や在店時間を見てオススメの内容を変えたりと、アルバイト店員より細やかに「お勧め」してくれます。
顧客側もタブレットに表示される「お勧め」を受け入れて注文することに冷たさなど感じることもないように思います。先ほどの文化的な違いが大きいのでしょう。
ここはちょっと発想が違うなぁと感じます。
そもそも数万円のボトルワインが提供されるような店でQRメニューを導入しようとは、日本では考えないのではないでしょうか。
仲居さんがいる高級料亭で、タブレットや食券券売機を導入しようとは絶対思わないはずです。非接触が求められるとしても、検討すらしなかったはず。ここがアメリカちょっと不思議です。
いずれにせよアメリカの飲食店では経済合理性を考えてもQRメニューは避けられて始めているようです。
隠しARデータで飛び出すメニューをAdobeが開発
ARマーカーを近赤外線(NIR)インクで人間の目には見えないように印刷し、スマホで「紙のメニュー」をかざすと料理が飛び出して見えたり補足説明や魅力訴求動画などを表示させられるという技術をAdobe社が開発したそう。
こういう最新技術系ニュースを見ると単純に面白そうだと思ってしまう癖があるのですが、今回のアメリカの「飲食店でスマホを出すのはマナー違反」という発想が大衆店レベルでも共有されているということを知るにつけ、技術は文化の理解なくしては普及しないのだなぁと痛感します。
それでも、普段使いできるARグラスが普及すれば、スマホを取り出す無礼なくアナログな紙のメニューを見るだけで美味しそうな動画が出るとか良さそう、と思ってしまうのですが。
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