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『佐賀の古民家からSolidityエンジニアを育成。web3&メタバース黎明期の今だからできる地方活性化のアイディア』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.11.25

■佐賀の古民家から世界で戦えるweb3エンジニアを育成、「ソリディティハウス」とは?

イーサリアムのスマートコントラクト開発言語であるソリディティ(Solidity )の学べるスクールプロジェクトです。佐賀県で古民家を教室に改築し、そこでブロックチェーンエンジニアになるための教育プログラムを提供しています。

web3やメタバースがこれから来る、と思いつつも、例えばスマホアプリのように日々新しいサービスが大量にリリースされるようになるにはもう少し時間がかかりそうなタイミングでは、一番確実なビジネスは「教育」や「セミナー」つまり講師業じゃないかと思います。

今回ご紹介するのは、「エンジニアとしてだけでなく、思想家として、研究者としてマルチに活躍する」と紹介される落合渉悟さんの運営するSolidityエンジニア育成プロジェクトです。

日本という世界から見ると遠い島国のweb3による活性化につながる施策ですし、ミクロにみると日本の地方活性化の有力な方法じゃないかと思います。


■佐賀の古民家で最新のSolidityを学ぶ

5ヶ月間、田舎でみんなで共同生活のように学ぶ場を提供しているのも特徴ですね。実際には住み込みという形ではなく、今の段階では生徒さんに近くに部屋を賃貸して毎日教室に通っていただいてますが、自然豊かな環境は学びに集中でき、ノイズが少なく、ピアラーニングに最適な環境が整っています。

圧倒的スーパーエンジニアのブランドを持つ落合さんだからこそ成立するモデルかもしれませんが、佐賀の古民家に5か月間平日は通って学ぶスタイルを採っています。

学習に集中できることはもちろん、5か月の間のコミュニケーション相手が受講者や講師陣に偏ることも副次的に良い効果を発揮するのではないかと思います。

Solidityを使うEVMブロックチェーン系の開発プロジェクトの多くは海外のものです。どんな田舎で学んでも技能習得後の仕事場は「世界」なので場所を問いません。

5か月間で濃く関わった受講生や講師とは引き続き仕事上でも関わっていくでしょうから、オンライン受講ではなくリアルで住み込みに近いかたちで対面していることはむしろ、オンラインがメインで働き始めた後に「効く」と思います。


■受講生が運営を引き継いでいくモデル

「ソリディティハウス」はサミーさんと共同事業なのですが、その事業担当者の方は、実はファーストシーズンの生徒さんだった方です。
ちなみにそのサミーの方も、新規事業関連の部署でこれまでプログラムなんかしたことがなかったのですが、今ではスマートコントラクトを書けるようになっています。

Solidityエンジニアが圧倒的に少ないからこそ成立しやすいのが卒業生による事業継続です。

例えばNFTガチャや、OpenSeaのようなNFTマーケットプレイス、分散型取引所(DEX)や自動マーケットメーカー(AMM)などが作れるようになります。またアップグレーダビリティ、つまりデプロイしたプログラムにアップデートしていけるスキルも身につけられます。現在のweb3領域の企業の一般的なニーズに、一通り応えられるエンジニアになっていただけると思います。

「ソリディティハウス」での受講内容は卒業後にしっかり仕事で使えるレベルだと謳われていますが、それでも卒業直後に突然年収数千万円レベルのオファーを受けられるレベルにはならないでしょう。受講生ももう少し緩やかな滑走路での助走が必要だと思います。

その助走には、卒業後のチューターとしての関わりが役立ちそうです。

もっと枯れた技能であればチューターは必ずしも卒業生だけに限る必要はなく広く技能を持った人を集めることができますが、Solidityは技能習得者が少なすぎるので卒業生が真っ先に就業チャンスを得ます。

受講生にも運営にも需給のバランスがよい今だからこそ、受講生は多額の受講料を払っても回収できそうだと感じられるんじゃないかと思います。


■自治体も関与しやすい

実際には住み込みという形ではなく、今の段階では生徒さんに近くに部屋を賃貸して毎日教室に通っていただいてます

どんなに田舎でも、食・住が提供されれば「教室」は成立します。
この食・住の部分を自治体を巻き込んで展開できれば地方活性化に直結できると思います。

補助金という金銭的な援助だけでなく、地域物産による食の支援、空き家問題解消や移住推進のためのお試し住空間の提供など、「Solidityを学び世界で働く」という強力なコンテンツを自治体や地域が乗っかり応援する関わり方には可能性を感じます。


■住み続けるインセンティブでweb3ブランディング

先述の通り、卒業後の職場はチューターで居残るか、リモートワークで「世界」と仕事をするかのケースがあり得るため、そのまま受講した田舎に住み続ける人も生まれそうです。

住み続ける人が増えればSolidityエンジニア村として技術交換や協業がしやすい環境もできてきて、一層そのまま住み続けた方が得だと感じるようにもなります。

これを自治体や国が戦略的に取り組めば「web3で地方活性化・日本の世界向けブランディング」ができるはずです。web3を主要な国家政策に、のひとつの体現になります。

先々はこの地域コミュニティで「Alga」を使ったDAOを実装する場にするという目的もあるんです。
(中略)
畑作業を公共サービスと見立てて町内会費から支払うような実験もできますし、区道の劣化や山水の排水など自身が直面する公共財の必要性についてリーダーなしでアプリ経由で参政もできるので、それもまた新しい体験になると思ってるんですよね。

派生してこのSolidityエンジニア村をweb3特区指定して暗号資産での決済実験をやったり、地方自治体のDAO化の実験を行い、その成果を世界に向けてPRするのも有効だと思います。


■web3黎明期の今だからこそ効果的なこと

これらはweb3黎明期の今だからより効果的だとも考えられます。Solidityエンジニアがそこそこ充足してくると目新しさはありませんし価格競争も起きます。日本や地方への集客フックの効果も薄れてきます。

IT化やDXもままならずキャッシュレス決済すらできない田舎ではweb3なんてやれっこない、なんてことはありません。ギャップがあればあるほど需要も喚起できるかもしれません。

リモートワークが当たり前になったからこそ5か月間住み込みに近い状態で顔合わせし続けてweb3やる、というのも大きなギャップ的魅力だと思います。

これのメタバース版、たとえばワールド構築の専門家であるアンビルド建築家の育成やアバターウェアのデザイン&モデリングの専門デザイナーの育成なども同じスキームでやれると思います。

実行には魅力的な講師の確保が一番の課題になるとは思いますが、そこがクリアできればどんな田舎にもweb3やメタバースで大逆転が狙えるチャンスが今、来ています。

IT産業誘致したけどローコストオペレーションのオフショアばかりで地元も潤わないし優秀な若者は県外流出が止まらないし若干の地元雇用が生まれた程度だった。なんていうのはやり方がよくない。年俸数千万円のエンジニアを地方から育成するweb3施策なら行けますよきっと。

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