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『Friend.tech、短期間で大きな収益。ファンとの新しい関係を独自トークンで』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.8.24


■Friend.tech、短期間で大きな収益──新たなキラーアプリに

暗号資産(仮想通貨)の最新のキラーアプリはソーシャル・トークナイゼーション・プロトコル「Friend.tech」のようだ。今のところ、開発者に多額の収益をもたらしている。

キラーアプリと呼ぶには世間的な影響力を及ぼすほどのユーザー数はまだいないのですが、8月10日に始まったばかりなのに取引額がすごいことになっているということで注目を集めているのが「Friend.tech」というDApps、つまりブロックチェーン上のサービスです。


Friend.techとは?

Friend.techは、X(旧ツイッター)のインフルエンサーなどが独自トークンを発行でき、ユーザーはトークンを購入するとクローズド・グループ・チャットにアクセスできるようになる。

もう少し補足すると、

・有料のファンクラブを作れる
・会費は、インフルエンサーが発行した独自トークンをETH建てで買うことで支払う
・独自トークンが会員権替わりになるが、NFTではなくFTにしている
・インフルエンサーは会員権である独自トークン=FTがユーザー間で売買されるたびに手数料をもらえる
・インフルエンサーは、得た収益をユーザーにレベニューシェアすることで会員を増やすこともできる

というサービスです。


自分の価値を株式のように売買できるサービス

Friend.techの意義はこちらのサイトでは

自分の価値を株式のように売買できるサービス

と称しています。言い得て妙です。
かつてあった「VALU」に似ているとも指摘しています。

カウンターパーティーとはビットコインに実装されている機能のひとつで、この機能を用いることでビットコインと互換性のある独自通貨を発行することができる。堀江はこのときすでに「ホリエモンカード」という名称で独自通貨を発行していた。三人はアイデアを出しあっていくうちに、この独自通貨を自由に売買できる仕組みを整えれば、個人が株式会社のようにふるまって資金調達を行うことができる可能性に気づいていった。

まさしく個人が株式会社のようにふるまって資金調達を行うようなモデルです。とすると日本では株式発行や取引に関する各種法律の規制がかかるはずですが、Friend.techは海外のサービスで運営者も秘匿されているので、かなりギリギリのサービスには見えます。

2016年11月1日、株式会社VALU設立。中村が設立者の一人でありクリエイティブディレクターを務める広告・デザイン企業PARTYが出資を行っている[6]。その他出資者には家入一真もいる[7]。堀江は取締役に名を連ねた[5]

中村は「このサービスは、使い方によっては破壊的になりえる」と認識しており、開発にあたってはクローズドベータで何回もテストを重ねたという[8]。また金融庁にも頻繁に足を運び、1つ1つの機能について法律面の問題がないか確認を行ったとしている[8]

しかし、19年5月末に成立した改正資金決済法への対応が困難とのことからサービス終了となった[9]

の通り、改正資金決済法が壁となりサービスは終了してしまいました。日本で同様のサービスを立ち上げることは困難なようです。


取引額と利用者数

当記事執筆時点、DefiLlamaによると、過去24時間で各トークンの5%に設定された取引手数料は142万ドル(約1億5000万円、1ドル145円換算)以上にのぼる。収益は約71万ドル(約1億300万円)。

1日あたり5%=1億5000万円の手数料が発生しているということで、総取引ボリュームは20倍の30億円相当になります。そして運営側は毎日1億円以上の収益を得ているとしています。

Friend.techの招待制のベータ版は8月10日にスタートし、初日だけで約4400ETH(約810万ドル)の取引高を記録した。

8月10日の初日は取引高で810万ドル。5%の手数料は40万5000ドル、つまり5872万円です。今は上記の通り1億5000万円規模ですから、3.5倍の取引額に伸びたということになります。

ただし金額ばかりに注目してもよくありません。金額の大きさはどうしても目が行ってしまいますが、マーケティング予算を自己投資して大きな金額を演出するサービスもありますし。

Friend.techはまた、Base人気を牽引している。先週、Baseは1日あたりのアクティブユーザー数が13万6000人に達し、既存のレイヤー2ネットワーク、アービトラム(Arbitrum)とオプティズム(Optimism)を抜いた。

キラーアプリと称するにはDAU13万6000人とまだ少なく、「みんなが使っている」ような規模ではありません。しかしFriend.techのユーザーは基本的に全員「インフルエンサーのトークンを買ったログがブロックチェーンに残っている人」をカウントしているので、お金を払った人が13万6000人いると考えると相当なものです。

1日の総取引額30億円をDAU13万6000人で割ると、1人あたり平均2万2058円です。あながちアリエナイ金額じゃないことがわかります。


ファンの定着と二次流通の活性化が矛盾する?

Friend.techは「インフルエンサーの有料ファンクラブを作れるサービス」ではあるのですが、そのインフルエンサーは会員権である独自トークンが二次流通で頻繁に売買される状態が儲かるわけです。

ファンが増えることも重要ですが、ファンが長く居続けることも重要なはずです。限られた会員権を奪い合うから値段が上がるわけで、ファンでもない投機家が売り買いしている状態が一番儲かるという矛盾をはらみます。

インフルエンサーはファンでもない投機家に対してファンクラブでメッセージを発信することになるため空虚な気分にもなりそうです。


独自トークンと株式との違い

VALUの「個人が株式会社のようにふるまって資金調達を行うことができる」というコンセプトを振り返れば、ファンでもない株式投資のみが目的の人が売買することはあり得ます。その際の取引手数料が証券会社に入っていたところを、インフルエンサーがもらえることにしたとも言えます。

独自トークンを発行したインフルエンサーが「業績」を伸ばし「時価総額」を上げることを表現できているかというと、微妙かもしれません。会社のBSのようにインフルエンサーが資産を増やす様子を可視化するわけでもないのでPBR何倍みたいなことも表現できません。

需給のみで値段が付く仕組みなので、もう少し株式のように業績や資産との連動があるとソレっぽいのかもしれません。


個人の応援で食っていくファントークンの可能性

マスマーケティングが分散化によって置き換えられていく現在。

たとえばミュージシャンがメジャー契約しテレビのタイアップを取り全国的な人気を獲得する、ような中央集権的なやり方は成立しづらくなっています。もともとこの方法はごく少数の成功者と、食っていけない大半のミュージシャンにわかれる構造でもあります。

これが、あまり多くなくてよい一定数のファンに支えられて音楽活動ができるような分散型のファンコミュニティにシフトしていっているのが現代なのだろうと思います。

まだきちんと仕組み化できていないし成功例も多くないと思いますが、Friend.techのような発想が広まってくれば、かつてVALUが頓挫したような法律の壁も徐々に取り払われていくのかもしれません。

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