『暗号資産と国内銀行の振込手数料を比較。面白いが真に必要なのはマクロ視点』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.3.22
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■安いのはどれ? イーサリアムやソラナ、XRPなど主要ブロックチェーンと国内銀行の振込手数料を比較
暗号資産(仮想通貨)のメリットのひとつは、伝統的な銀行での送金よりも手数料が安いことが挙げられていました。銀行のように店舗を構えず、人を雇わず、ブロックチェーンだけで処理するので安いのだと説明されてきました。
安い以外にも、「早い」「確実」「透明性が高い」などの利点があるとされていますが、最近では銀行も振込手数料をネットバンキングで回数上限はありながら無料化したり値下げしたりしています。
今回ご紹介するのは暗号資産の決済手数料は銀行と比べて本当に安いのか?を調べた記事です。
最近ガス代が高騰している
逆に暗号資産はブロックチェーンのガス代が非常に高騰し、特にETHのガス代は凄まじいことになっています。
CoinGekkoのETHガス代グラフによると、現在のETHのガス代は0.0018332371ETH、日本円で974.22円です。
上記の24時間グラフでは高騰方向に進んでいる印象を与えます。
しかし3カ月トレンドではガス代は下げトレンドです。
2018年までレンジを広げれば、ゼロに近づいていると言えるほどです。
しかし、ETHの法定通貨換算が上がっているため、円換算では先述の通り「1回1000円」みたいな超高額の手数料がかかる状態が今です。
EIP-4844導入でL2なら1回100円感覚に
1/10になったら1回100円、ドルベースだと66円みたいな感覚でしょうか。これなら銀行より安いと感じられます。ただしこれは「レイヤー2のロールアップチェーン上」という注釈付きで、イーサリアムL1の手数料はやっぱり「1回1000円」です。
SOLなら6.8円、XRPなら0.91円
BTCとETHが高騰しているだけで、暗号資産は今でも十分安いと言えます。SOLは3月18日に一時1SOL=3万円を超えたほど急騰していますが、ガス代は上記記事によると6.8円とされています。
また、送金や決済に実際に使われることが多いリップルXRPは圧倒的に安く、0.91円とのこと。
特にXRPは国際送金で現在でも頻繁に使われるため、銀行の国際送金手数料と比べて超激安です。まさしく「早い・安い・確実」の暗号資産のよいところを体現していると言えます。
中央集権型の決済システムは極めて効率的という見方
暗号資産決済の手数料が安いと「誤解」されるのは、
・顧客の本人確認やマネーロンダリング防止対策をしておらず、本来必要なコストをかけていないだけ。将来対策をするようになるとコストは上がる。
・店舗に決済端末を設置し、決済システムネットワークのラストワンマイルを整備するコストが暗号資産決済では未整備。同じことをやれば暗号資産の決済手数料は高くなる。
・シンプルな振込処理は中央集権型の決済システムのほうが効率的。店舗運営、ATM、人件費などのコストはあれど、システムとしては中央集権システムのほうが分散型システムよりローコスト。
などという見方があります。
中央集権型の決済システムそのものは実はとても合理的で、分散型の決済システムが安いのはやるべきことをやっていないだけ。
という考え方です。これも一理あります。
ビジネスプロセス全体でのコスト削減効果が重要
少し長く引用しましたが、要するに
・決済そのものは中央集権型の決済システムのほうが安い。
・しかし分散型システムとスマートコントラクトは周辺の人件費を大幅に削減する。
・結果、ビジネスプロセス全体のコストで見れば、分散型システムのほうが安くなる。
ということです。ETHやXRPなど単体のチェーンや通貨の決済手数料だけを銀行と比較しても意味がなく、ビジネスシステム全体でコストを下げるように暗号資産決済を社会にインストールすることに価値があると説いています。
既存の金融システムは、社会との調整、人々の理解、法整備などを経て今のかたちになっています。部分的に法定通貨から暗号資産に置き換えて手数料が安くなることを訴求してもあまり意味がありません。
冒頭のように手数料を銀行と比較するのは分かりやすく面白いのですが、真に必要なのはビジネスプロセス全体で無駄な人件費がかからなくなる、マクロな視点で暗号資産の社会実装を図ることが重要です。