『平将明議員がラジオ出演。DAOを日本の国家戦略にしたら何が起きる?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.9.4
■「NFT政策検討プロジェクトチーム」の座長・平将明議員が語る「Web3.0」
先週金曜の早朝に平将明議員が「Web3.0」について説明していました。
具体的な今後の立法方針のような話ではなく「Web3.0」自体の考え方を馴染みのないラジオリスナーに向けて丁寧に説明するような内容が多かったのですが、言葉表現から理解の深さと今後の方向性のようなものが垣間見れる内容でした。
上記のヤフーの記事はweb3について話している部分を文字起こししたものになっていて内容をサックリ知るには手軽でよいのですが、radikoで平議員が実際に話している声を聴くとかなり印象が変わると思います。
今度の金曜日、9月9日の29時(9月10日土曜日の午前5時)まで上記リンクから聴くことができます。
web3だけでなく番組内で取り上げられた各種ニュースにもひと通りコメントしているのもちょっと興味深いので、お時間がある方は通しで聴いてみてください。
■平議員の考え「DAOが本命」発言をどう読み取るか?
平議員の考えるweb3の本命は「DAO」だと明言しています。
まだプロダクト産業的に勝敗が決していない黎明期のweb3を国家として今支援すれば、日本が再びテクノロジーで世界に台頭できる、のでweb3をやりやすいように立法整備して投資誘致したり産業育成しよう、というのが大きな方針ではあります。
その中でも「DAO」に注目しているということから、これから起きそうなこと、起きるといいなということを妄想してみたいと思います。
1.DAOの報酬=独自トークンの発行を世界一やりやすくする。
web3なことをやろうとした時に問題になる「独自トークン発行」を、日本が世界一発行しやすい国になる。
としたら間違いなく世界中からweb3企業、web3投資マネーが集まってくるはずです。
今だとシンガポールなどがweb3企業のメッカのように言われていますが、実際は別にシンガポールが特別トークン発行がやりやすい国というわけではなく、ルールが比較的明確なことが好まれているのだそうです。
会議で弁護士に訊けばやっていい・いけないがかなりハッキリすると。
ルールを明確にしたうえで、大規模投資が世界中から集まる前提でリーズナブルな税制とセットであれば、タックスヘイブンなマイナー国に無理やり法人設立してトークン発行するよりも日本でやろう、というweb3企業やweb3投資家・VCが多く集まるのは確実です。
2.DAOに法人格を与え契約主体にできるようにする
DAOを運営するのに独自トークンを発行できるようになったら次は、DAOの法人格認定です。
DAOには特定できる明確な運営者が不在です。DAOは総意は取れても責任主体が不在なので、株式会社などその他法人と契約を結ぶことが難しいのが現状。
しかし株式会社でもその時々の代表者・責任者はいるものの、取締役会承認や株主承認を経て法人格としての決定をしているわけで、DAOのガバナンス投票と大きな違いはないとも言えます。
そして株式会社もDAOも「法人格」というバーチャルな存在であることも概念的には同じです。
会社法のようにルールが法律で整備されればDAOも法人格としてのバーチャルな人格を持てて契約主体になることができるはずです。
従来型の株式会社や社団法人などとDAOが契約できるようになれば、既存産業のweb3化やweb3ソリューションによる既存産業の革新や活性化が進みます。
DAOの法人格認定は国家税収にも寄与します。
日本の一般会計に占める法人所得税の税額および占める割合は、波はあるものの長期トレンドでは低下傾向です。特に税額については国家全体の経済成長率が低迷していることでも明らかな通り、このままだとさらに下がり続けるでしょう。
DAOを法人格化したうえでDAO法人税のルールを明確化することで、伸びる産業からの新たな税収を確保することが期待できます。
納税もトレジャリーウォレットからスマートコントラクトで実行されるなら申告手続きも不要で楽かもしれません。
3.ジョブ型ワークの推進により人材の流動性を高める
トークンを法人格で発行・所有ができる会計ルール・監査ルール、トークン税制のリーズナブル化、トークンによる報酬支払いの合法化がなされれば、お金とヒトが大量に日本に集まってきます。
スマートコントラクトによる成果報酬的な契約のほか、先述のようにDAOの法人格認定がなされればDAOを契約主体とした労働契約・請負契約も可能になります。
現在のDAOと呼ばれているものは労働内容も報酬も不明確で、生活の収益基盤にすることは多くの人にとって困難だと思います。
かといって時給と労働時間で報酬設定するのもDAOでは難しい。
DAOではジョブ型の請負契約または成果報酬契約が中心になるはずで、しかも複数のDAOから仕事を得るのも当たり前になります。
つまりジョブ型の働き方が広がる。フリーランス、副業、リモートワークなどこれまで「いわゆるサラリーマン」から見ると特別・異質な働き方がDAOの広まりによって一般化していく流れとなるでしょう。
■グローバルマネーとグローバル人材を移民問題なしで日本に集める
これから日本の人口が長期にわたり減少する中で、外国からの投資=外貨獲得と世界からの労働力の獲得を、DAOによって実現できるならば積極的に導入しない手はありません。
グローバルリモートワークが中心であれば移民問題の議論も紛糾しませんし、暗号資産ベースでの取引であれば円安の影響を少し遠ざけることができます。(それどころか暗号資産で報酬を受け取り日本円に換金すると日本国内ではむしろ儲かります。)
投資マネーが海外から莫大に入る、移民問題に触らず労働人口を増やせる、国家税収が増える、国内でもDAOを通じたweb3長者が国内消費することで非web3分野も潤う(かどうかはトリクルダウンが起きなかったことを考えるとちょっと疑問)など、わりと良いことづくめだと思います。
■スピードが大事!
今年度中に独自トークン発行に関する未確定利益課税を見直すのではないかと言われていますが、さらにその向こう側にはこんなことを考えているのではないかな、という妄想でした。
細かいところは違っても、大きな流れはこんな感じだろうと思います。
あとは実現時期・スピードが大事!
国の動きにもスピード感を期待したいですが、我々国民もこの動きを先取りしてスピード感をもって動いていきたいところです。