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『Twitterと比較しても意味がない!Threadsが音楽を扱うことの狙いと、その先に何を目指しているのかを推測』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.8
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■Metaの「Threads」、JASRAC利用許諾契約を締結――管理楽曲を利用した動画や歌詞を投稿可能に
日本音楽著作権協会(JASRAC)は、サービス全体で利用許諾契約を締結しているサービス一覧に、MetaのSNS「Threads」を追加した。ユーザーは、個別の許諾なく「Threads」でJASRAC管理楽曲を活用したものをアップロードできるようになる。
ユーザー数が7000万人を超えたと発表された、注目の「Threads(スレッズ)」。
Twitterとの違いは?というまとめ記事がいくつも作られていますが、ハッシュタグ検索ができない、DM機能がないなど「TwitterにあってThreadsにないもの」という違いについては、後から追加されてTwitter並みにはなると予想しています。
今回のニュースは「Twitterに元々なく、Threadsではできること」のひとつであるJASRAC管理楽曲を使った動画や歌詞をユーザーがアップロード可能になったというものです。
今公表されるということは、かなり以前からJASRACと交渉していたということで、初めからThreadsでは音楽を扱うことが念頭にあったことの証左です。
今回は、Threadsが音楽を扱うことの狙いと、その先に何を目指しているのかを推測してみたいと思います。
Threadsではインスタ写真&短文テキストに加え、音楽によるショート動画市場も狙う
TikTokやYouTubeでもJASRACとの契約があるおかげで楽曲を使ったコンテンツをアップロードすることができます。特にTikTokでは流行曲の発信基地のポジションを確立しており、音楽が使えることの重要性は非常に高いものです。
Instagramで写真中心のコミュニケーションを確立したMeta社。ThreadsでTwitter同様の短文テキストのポジションを奪いに来たと思いきや、TikTokが占める音楽を中心としたショート動画の市場も同時に取りに来たと見えます。
TikTokが使えなくなるエリアでの後釜戦略
Twitterの閲覧制限で本格的にユーザーが離反し始めたタイミングを狙って公開されたThreadsですが、TikTokも利用を禁止する国・州・エリアが発生しだしています。
政府系機関や業務用スマホでの利用を禁じているところが多いものの、米モンタナ州では一般ユーザーレベルの利用を禁止する州法が可決、州知事が署名すれば来年1月から市民レベルでもTikTokの利用が違法となります。
禁止されても使いたいのが人のサガ。とはいえ違法なことはやりたくない。
そこに代替品としてThreadsが登場すれば、TikTokユーザーの乗り換えを期待できます。
Threadsは徹底した後釜戦略を採っていると言えるかもしれません。
次はライブコマース&EC市場か
TikTokショップは2021年、インドネシアで始まった。以来、ショートビデオとアプリ内ショッピングの組み合わせを楽しむモバイルに精通した若者たちに助けられ、今も同ショップにとってインドネシアが最大の市場となっている。
TikTokショップの流通取引総額(GMV)は今年末までに200億ドル(約2兆8800億円)に達し、1年前の4倍になると予想されている。
日本では未実装なのであまり知られていませんが、TikTokの中でライブコマースを行える機能「TikTok Shopping」が2021年にインドネシアから始まり東南アジアを中心に展開されています。
商品を直接掲載し決済までTikTok内で完結できる完全なECサイト機能「Direct Integration(ダイレクトインテグレーション)」
外部のECサイト上の商品を紹介する「Partner Integration(パートナーインテグレーション)」
商品詳細ページへ案内するだけで決済はさせない「Product Links(プロダクトリンクス)」
生配信で販売するライブコマース「LIVE Shopping(ライブショッピング)」
そしてこれらを広告型動画としてターゲティングして配信する各種Ad機能を持っています。
東南アジアに限定されていながらも流通取引総額は200億ドル(2兆8800億円)にも及びます。
楽天市場の2022年度(2022年1月~12月期)の流通総額が5.6兆円ですから、そのおよそ半分くらいの規模感です。
Twitterよりスーパーアプリ化実現に近い
Instagramとユーザーを融合させ、TwitterとTikTokの後釜としてユーザーを奪い、昨日の記事でご紹介した通りWordPressなどブログと融合し、さらにライブコマース市場やAmazonなどECサイトのシェアも奪おうという、壮大な戦略がThreadsの動きから見えてきます。
とすると、さらにその向こう側にあるのはスーパーアプリ化です。
最大のハードルは決済の統合だ。WeChatの成功の鍵の1つは、モバイル決済の利用が普遍的な中国で、最大の2つの決済プラットフォームのうちの1つであったことだ(もう1つはアント・ファイナンシャルのアリペイ)。WeChatの他サービス統合の多くは、その決済機能を中心に構築されており、中国の銀行口座を持つ人なら誰でも利用することができる。
マスクはこのことを認識しているようで、ツイッターをPayPal(ペイパル)のライバルに変え、さらにはそれを「世界最大の金融機関」にしたいと発言している。
スーパーアプリ化の要はウォレット機能を内蔵させ決済を融合させることにあります。
Twitterのレプリカとして短文テキストSNSに留まることなく、音楽対応でTikTokからシェアを奪うことでユーザー数の規模を拡大することが今のステージの位置づけ。
次に、その市場規模を活用してライブコマースやECを展開。
その際に、アプリ自体にウォレット機能を持たせることは違和感がなく容易になります。
Twitterが米国3州で送金業者ラインセスを取得しスーパーアプリ化を引き続き目指していることが報道されましたが、ユーザーの離反が本格的になりそうな今、かなり厳しいのではないかと思います。
アクセス数制限は業者の不正なスクレイピングを理由として挙げていますが、大方は「サーバ代が払えなくなったのでアクセス数を制限してコストダウンせざるを得なくなった」という見方です。
そんな先行きが怪しいサービスのウォレットは安心して使えません。
徹底した後釜戦略でユーザーをThreadsひとつにまとめ上げることができたなら、スーパーアプリ化に最も近い存在になり得そうです。
Twitterの代わりとして「どこが違う?」と比較することに意味がないほど、壮大な未来を見ていそうなMetaのThreads。JASRAC登録のニュースからここまで推測してみましたが、あながち間違っていないんじゃないかと思っています。