![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159193217/rectangle_large_type_2_51ebefd232e8814ba298112d61c6fe8e.png?width=1200)
帝王切開になっちゃったって言いたくない
今年の7月に第一子を出産。
痛みに対する恐怖心が人一倍強い私は、もともと無痛分娩で産む予定だったけれど、定期検診時に“妊娠高血圧症候群”だと診断され即入院。その2日後の朝には緊急帝王切開にて我が子を産んだ。
手術日直前まで「私は無痛分娩で産むんだ」と思っていたから、入院する日までいきみ方をYoutubeで勉強しまくったり、赤ちゃんが下までおりてきて子宮口が開くように毎日8,000〜10,000歩歩いたり、マタニティヨガをやったり……陣痛バッグの中には、いきむときに必要だという情報をもとにテニスボールやハンディファン、冷えピタを入れていたし、会陰切開したときようにドーナツクッションも買っていた。
妊娠後期に手足のむくみがひどく、顔も少しむくむようになってきたなあとは思っていたけど、いつもどおりの検診で引っかかってしまうなんて。妊娠高血圧症候群のはっきりとした原因はわかっていないらしく、遺伝による影響が大きいのだとか。そうだとしても、塩分をしっかりコントロールできなかった私のせいだと思ってしまった。
我が子は体重も身体状況もなんの問題もなく育ってくれていたからなおさらだ。
入院してから1〜2日間は血圧を下げる薬を飲むも一向に下がらず。このまま経腟分娩でいくと母子ともに危険だから、帝王切開かな……と告げられたとき、一番に頭に浮かんだのは「帝王切開ってどういう流れでやるんだっけ……?なんの勉強もしてないや」ということ。
無痛分娩のことしか調べていなかった私は焦り、手術日前日にスマホで帝王切開に関することを調べまくった(高血圧だったので本当はスマホやテレビの画面を見るのはあまり良くないけど、気持ちを落ち着かせたくて休み休み見てた)。
とりあえず手術時の痛みはほぼないらしいことを知り(麻酔の痛みはあるけど)、一安心。前日の夜、12時くらいには眠りにつけた。
ここまでは割と落ち着いていたなあと思うんだけど、当日の朝、人生で手術どころか入院もしたことがなかった私は、手術室に入ると少しずつ恐怖心が強くなっていった。
麻酔を打ったあとに効いてるか調べるため、脚を触って「触ってるのわかる?」とか聞かれても、「感覚ない気もするけど、これもしあったらどうしよう」と考えてしまい判断能力が鈍る。
手術用の器具をもってカチャカチャ音がしてるのも怖いし、「メスいれるよ」と言われたときが多分パニック度最高潮で、そこからあんまり覚えてない。私がしっかり息ができてなかったのか、酸素マスクをずっとされていたのだけは覚えている。
母が混乱状態の中でも我が子は落ち着いて腹から出てきて、暗いお腹の中から一転、眩しい明かりがついた手術室で元気な産声を上げてくれた。たしか最初は羊水を口に含んだ状態で泣いていたから「ぐるるるるおぎゃあああ」と喉を鳴らしているような泣き方だった気がする。
無事に手術が終わり、放心状態に。すぐに抱っこすることはできなかったけど、看護師さんが生まれたばかりの我が子を顔の直ぐ側に連れてきてくれた。コンタクトを外していてぼやぼやしていた中でもとんでもなく可愛いのはわかった。
術後の痛みは、いろんな動画や記事で経験者が言っていたとおり、とてつもない痛みで。それでも「早く回復して育児したい」という気持ちがあったから頑張れた。
ついに退院。
家族や親族、友達に出産報告をするとき
「妊娠高血圧症で“帝王切開になっちゃった”」
と毎度報告している自分に違和感があった。
「なっちゃった」って、なんでこんなマイナスな言い方してるんだ?どんな産み方も立派だし、産み方なんてどうでもよくて無事に産まれてくることが一番のはずなのに。
そう思い始めてから、いろんなところで見聞きする出産報告にもやもやし始めた。「帝王切開になってしまった」「帝王切開になるかもって言われてそうならないように頑張って歩いたら経腟分娩で産めた。良かった」という言葉を見るたびに、心が傷んだ。
“100人いたら100とおりの出産がある”
というのはよく聞くけど、どの出産方法にも良い悪いはないはず。約10ヶ月間お腹の中に生命を宿しながら赤ちゃんと生活をともにして、体内から体外へ命を誕生させたという事実はどんな産み方でも変わらない。
少なくとも私は、自分が帝王切開で産んだことに誇りを持っていこうと思うし、出産報告をするときは「帝王切開になっちゃった」ではなく、「帝王切開で無事に産まれてきてくれたよ」と、笑顔で伝えていこうと思う。