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桜野綺(はなのいろ)さんのフォニイをオススメするだけの記事
11月28日、私の推しである桜野綺(はなのいろ)さんが初めての歌ってみたを投稿した。私は寡聞にして「フォニイ」という曲名を知らなかったのですが、予想以上の動画の完成度に驚いて桜野さん以外のフォニイもめちゃくちゃ聞きました。
私は決してこの界隈に詳しくはないのですが、自分のできる範囲で調べたこの曲の情報をまとめてみようと思います。
1.「フォニイ」という曲について
![](https://assets.st-note.com/img/1639937275114-zSFBmytdMA.png?width=1200)
21年6月5日に投稿。作詞作曲編曲動画を担当したのは「ツミキ」さん。vocalは「可不」。
「可不(かふ)」とは、公式サイトによると、「バーチャルシンガー花譜の音楽的同位体として生まれた人工歌唱ソフトウェア」。
声のモデルとなった花譜(かふ)さんをビジュアル面でもモデルにしており、いわゆるボーカロイドとはまた異なる類のものでしょうか?
そしてこのフォニイは、これらの可不が抱えるドラマ性をうまく活かした構成になっていると思われます。
2.フォニイの曲としての構成
花譜さんの「音楽的同位体」として作り出された可不ということで、この曲のテーマは「偽物」のようです。
イラストの少女は物憂げな顔をしながらも仮面を被り、耳を作るようなポーズをしている。少女は画面の中央からほぼ動くことはなく、この曲は彼女の主張であることが推察されます。
A.イントロ〜サビまで
静かに語りかけるように「造花より綺麗な花は無い」と始まり、そこからはハードだが陰鬱なメロディが始まる。
さらに語りかけるように詩的な表現
「絶望の雨はあたしの傘を突いて 湿らす前髪とこころの裏面」
傘をさして雨の中にいるのに前髪が濡れてしまう。同じように、絶望は私の心を湿らせ、陰鬱な気持ちにさせる。
「言の葉は疾うに枯れきって 事の実があたしに熟れている」
語るべき言葉などなく、惨憺たる事実だけが突きつけられている。「言葉」「事実」という言葉遊びがめっちゃオシャレ。
次のパートでは、可不の独特な声質で悲喜劇的なセリフ回し(謎々→何故何故)が行われ、サビへと向かう。
「あたしって何だっけ」「愛のように消える」「さようならも言えぬ儘泣いた」という直接的だが詩的な悲しいワードをたたみかけるように歌い上げ、間奏へ。
B.間奏から2番まで
まず、1番との違いを比較する。1番はゆったりした語り(絶望は…)から入るのだがその部分は省略されている。
2番は、リズミカルに「何時しかそらの音が…」と1番を踏襲した詩的表現を置く。
次の「如何して愛なんてものに群がり それを欲して生きるのだ」こそがこの曲の裏テーマなのではないか、と思います。
とはいえ、「それを欲して」の音階が前後の予定調和を絶妙に外していてすごく気持ちいいです。
C.大サビ〜end
「さんざんな…」は1番サビの「簡単な…」との押韻でしょう。
「さよならも言えぬ儘泣いた」もサビからの繰り返しです。
そして転調して一気にクライマックスです。
歌詞が変わっているのは一ヶ所「さよならまたねと呟いた」だけです。
さよならも言えぬ儘泣いた少女はさよならまたねと呟くことはできたようです。ただそれは何に?
この曲の冒頭で出てきたのに、そのあと一度も触れられていないワードがありました。「造花」です。造花は彼女の心象風景を映すものに過ぎなかったからでしょう。ですが、「造花だけが知っている秘密のフォニイ」というフレーズは、陰鬱で悲痛な曲の緊張感を和らげてくれる素晴らしい表現だと思いました。
3.フォニイのカバー
さまざまな活動者がフォニイをカバーしていますが、個人的に目を引いたものを以下に挙げます。
花譜さんによるセルフ?カバー(テーマ的にとても大きな意味を持つと思います)
星街すいせいさんによるカバー(「シンガー」として自分の曲にしている印象)
P丸様。によるカバー(可不の声質に寄せるという彼女の器用さが窺える取り組み)
![](https://assets.st-note.com/img/1639943069793-CjHdpGjCBe.png?width=1200)
4.桜野綺さんのフォニイ
もう100回以上聞いてるのでつい長く書きたくなりますが、なるべく簡潔にまとめます。
前提として、担当してくださったミキサー・コーラス担当の方が桜野さんと旧知だったおかげで、初めてにもかかわらずスムーズに収録することができたそうです。(大変感謝です)
そのお話を聞いてから歌を聞くと、ミキサーさんがすごくこだわりを持って作ってくれたのではないか?と思う部分がいくつかありましたので、そこを中心に触れたいと思います。
A.基本的な歌声、声質について
桜野さんのお声は芯がしっかりしていて、強い加工をかけても桜野さんの声だとわかるタイプだと思うので、場面によって強い加工を入れてくれたミキサーさんの采配にはめちゃくちゃ喜んでます。
一方で訥々と語るような場面ではしっかり桜野さんの普段のお声をそのまま使ってくださり、普段から聞いてるトーンでの語りはとても心に沁み入りました。
あと!開幕のブレスが最高です!本当にありがとうございます!
B.部分部分について
「謎謎 何故何故」のところの加工がめちゃくちゃカッコいいです!
サビの高音部分が本当にエモいです!転調後はさらにエモいです!!
勾玉ざくろさんのイラストが曲の世界観と桜野さんの少女らしさを絶妙にマッチさせていて驚きました… 造花?のイラストも非常に味があります。
上のフォニイ全体についてでも触れましたが、「それを欲して生きるのだ」のところ最高に好きです。
最後に「造花だけが知っている 秘密のフォニイ」のフォニイの言い方がめちゃくちゃかわいくて最高です。(ディレクションがあったらしいです)
C.最後に
他の方を見ていると「シンガーとして」上手く歌おうとする方や、曲の持つメッセージ性を表現するために声を作って歌う方が多い印象のこの曲でしたが、桜野さんが「桜野綺として」歌ってくれたことが何よりの解釈一致でした。
普段の声の良さを活かしながら曲に合わせてくれたミキサーさん、ディレクターさんには最大の感謝を送りたいです。
桜野さんの環境的に歌ってみたを出すには非常にコストがかかってしまうと伺いましたので、ゆるーい気持ちで次回作を楽しみにしておきます…!
5.おわりに
長くなってしまいましたが、一つの楽曲にどハマりして1ヶ月近くずっと聞いているという久々の体験をしたので、記事という形でまとめました。思えばアイマスにガッツリハマっていた頃は、ときどきこのような経験をしていたような気がします。
ほんとに自分は調べるまで知らなかったのですが、「フォニイ」は今めちゃくちゃ人気で大手・個人問わず様々な方がこれからも歌うと聞いて驚いています。
今回こうして素晴らしい楽曲を知る機会をいただけたことに、製作に携わってくださった皆様、特に桜野さんに最大の感謝を述べて結びといたします。
長い上にあまり推敲もしておらず、オタク的な勢いで書いてしまった文をここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。それでは。