不動産を売る女
永住権を必死に取ろうと試みたが
なかなか取れずに日本へ帰国しては
再度帰ってきたりとした時期があった
不動産には興味はなかったものの
インテリアコーデネーター補助として採用された
そこでデザインが学べるか?と思いきや
営業一課に業界初の女性営業マンとして
配属されてしまった
入社早々会社のハワイ旅行に通訳として
行かされる
社長は私より少し上の方だったが
社長の妾としてインテリアコーデネーターと称する女性がいた
仕事はマンションの販売の時にちょっとだけ手伝う事のみで架空のポジションだったと後で知った
旅行から帰ると人事の方がマンションを安い値段で借りないか?という話をされ、家賃が安いのにきちんとしたライオンズマンションだった為、借りてみた
とにかく通勤が実家からは大変だったからだ
勤務地横浜
通えない事はなかったが、不動産業界という物はとにかく汚い業界だという事を徐々に知っていく
どの会社も女性を営業で使うなどの発想がなかった為、初めて営業をしてみる
車一台を渡され、横浜を走り廻る
ふと気づくと夜中の3時まで働いていたり、この業界は闇の闇だと思った
もちろん夜中まで働かされた日は、会社隣のホテルが用意されていた
気付けば私は2ヶ月で売り上げトップ
平均2億を売り上げていた
本人は言われるがままに仕事を一生懸命やっているだけだったが、良いお客様に恵まれただけだ
新しく部長が入社
その部長はいかにもダンディなイケメンだったが
私は苦手だった
いつのまにか女性営業マンを増やし
そこのリーダーにならないか?と言われた
嫌だと断る。それでも新人育てにっと、女性一人と新人男子をつけられた
ひたすら業績を伸ばす一方で
生理が止まった
睡眠時間が足りなく、忙しすぎる自分の生活に
ほとほと疲れを感じていた
新しく入ってきた部長に食事に誘われる
嫌な予感はしたが、この部長はすぐに自分の会社を始めるから一緒に来て欲しいと
この方の口説き方が、まるで私を商売の女の様な口説き方だった
汚らわしい
この男、そこまで自分がかっこいいと思っているのか?
その場ですぐに断り失礼した
次に社長に招待される社長は女性の私を
一流のママと呼ばれる所へ連れて行った
はぁ?
私はこれには唖然となった
私に女性の相手がつくのだ
これのどこが面白い?
あまりにも時間の無駄と思い
その場を立ち去った
年度末のゴルフコンペに誘われた
社長と妾、そして人事のメンバーだったが
スコアもドライバーもトップを出したら
後で一言
xxさん、社長を追い越したらいかんよ
と言われた
その夜
芸者達が座敷に来て
私にも一人つく
なんという光景や
でもこれはお坊さん方のツアーと一緒や
汚い
醜い
これのどこが面白い?
私は女だ
たとえ男性がつこうとも
何が面白いのかわからない
自分は実家に帰った
祖母に話をした時
祖母がぼそっと呟く
不動産は水商売
そうだ
この言葉が全てをクリアーに紐付け
私の心を洗い流した
次の日
私は辞表を出した