デジタルのハーバード大と言われるHyper Islandでマスター(修士)を取るまでのお話7
HYPER ISLAND WAY WEEK(HIWW)では、9月から参加する生徒12名に対し、Hyper Islandの理念や学習に対するアプローチ、各プログラムの概要などを説明してもらいました。明らかに日本人ではない国籍不明のみなさんと、ソファやビーンズクッションに座って、リラックスしたムードで話を聞きます。海外の学校に来ちゃったって感じー!!
そしてHyper Islandの創業者であるジョナサン・ブリッグス氏が登場し、アカデミック水準におけるM-Level Thinking、つまり「マスターレベルの思考」とはどういうものなのか、について理解を深める対話がありました。
まずいきなり、「SPH(シンガポールプレスホールディングス)は、デジタルネイティブを中心にビジネスを再編成すべきか?」という問いに対し、全員で議論をするように言われました。
私は「SPHって何やねん」状態なので、オロオロしながら企業概要をググったりして、他のメンバーの意見を必死に聞き取りながら、SPHってなんか手広くやってるけど要するにメディア大手企業なんだから、やっぱりデジタルネイティブに合わせて変容するしかないよなーなんて思ったりしてました。
実際のところ、目の前にいるジョナサンのオーラと愛らしい容姿に目を奪われ、参加者のシングリッシュ(シンガポール訛りの早口な英語)圧倒されて、ほとんどなんにも考えてない状態っす。
するとジョナサンがこう言いました。
「君たち、そもそもデジタル・ネイティブって誰なんだい?」
あ、そっち?ビジネスの再編がどうのこうのじゃなくて、そっち?
んー、なんかデジタルネイティブって、物心ついた時にはiPhoneが存在してました、みたいな世代のことじゃない?ウチの子とか教えてないのにタブレット操作してYoutubeガンガン見てたし。あれ、iPhoneが発売したのって2006年くらい?てことは今10代半ばの世代?いわゆるミレニアル世代ってやつ?企業に影響を与えるには若いのかな。んー。。
そしてジョナサンはWikipediaのデジタルネイティブのページ、2011年に発表されたマーク・プレンスキーによる学術論文、「デジタルネイティブは存在するのか?」というタイトルのYoutubeチャンネルを見せてくれました。
うわー!Wikiに書いてあることはぜんぜん根拠にならない!「デジタル移民」って単語、初めて聞いた!デジタルネイティブの定義って難しい!てことは漠然と「デジタルネイティブ」って単語使ってビジネス再編成の議論なんかしちゃダメじゃん!まじかー!
たった3つのインプットによって、カオスような思考感覚が押し寄せてきました。カオスの発音は「ケィオス」です。
そう。これがHyper Islandの入り口なのです。ジョナサンをはじめとするHyper Islandの人々は、思考や学びのきかっけとなるような小さな刺激を与え、自らが考えて答えを見つけるように仕向けてきます。仕向けるって言い方悪いか。もとい、いざなってくれます。だから、相手が誰であれ、「デジタルネイティブって要するに何ですか?」みたいな質問には、絶対に真っ向からは答えてくれません。いじわるしているのではなくて、答えは自ら掴み取るものだからです。
そしてマスターになるためのとても大事な心構えとして、
・M-levelの思考力を発揮するのためにふさわしい問いかけとは
・論拠を示すとはどういうことか
・クリティカル・シンキング(批判的思考)の重要性
・思考における悪い習慣を断ち切る方法
・ヨーロッパ式の評定方法について
等々をお話していただきました。
今思えば、マスターになると同時にHypersになるための、とても大事な心構えを最初に、丁寧に伝授して貰ったと思います。でも、これから自分が取り組まなければいけない事柄、その幅広さと深さが明らかになるにつれ、プレッシャーでお腹いっぱいになり、今にも吐きそうな状態になりました。