デジタルのハーバード大と言われるHyper Islandでマスター(修士)を取るまでのお話8
HIWW期間中、他にも様々なアクティビティがありました。
各プログラムに入る前に、クルーのメンバーと様々な関わりをすることで、チームビルディングにおける信頼関係構築を行っていたと思います。
これらの活動を指揮してくれたのは、Hyper Islandのイネスというスペイン人ファシリテーターでした。ファシリテーターという職業そのものに、これまであまり馴染みがなかった私ですが、先生でも生徒でもない、しかしメンバー全体を目的に向かってメリハリを保ち促進しながら、ひとりひとりの感情やモチベーションを汲み取り、一体感を作り出してくれる存在というものに、とても感銘を受けました。
イネスには何度助けられたか分かりません。例えば、もう夕方頃になると頭が疲れちゃって、英語話すどころかぜんぜん聞き取れなくなったりするんです。そうするともう心も疲れちゃって何も出来なくなったりするんですよね。そんな時、「私だってスペイン人だから英語ネイティブじゃないわよ。でもあなたは絵が描けるじゃない。言いたいこと、言葉じゃなくても伝わるよ。」と言ってくれました。もう折れそうになっていたのに、「そっか、言いたいこと描いてみよう」って思えると、自然と人の話をもうちょっと頑張って聞いてみようかなという気持ちになれました。
次々にやってくる課題やアクティビティに必死に取り組んでいるうちに、だんだんとそれぞれの個性なんかがわかってきます。私たちクルー7は全部で20人ですが、様々な人種、バックグラウンドを持ったメンバーで構成されていました。
いわゆる地元の中華系シンガポール人、マレー系シンガポール人、インド系シンガポール人に加え、イギリス人、オーストラリア人、南アフリカ人といったシンガポール在住の外国人。それとシンガポール外から通ってるバングラディッシュ人、オーストラリア人、日本人。途中でNYに引っ越したり、香港に引っ越した人もいたな。あ、ひとりだけ最後まで国籍不明の人がいました。年齢も20代から60代まで。役職としては組織の中堅層がメインでしたが、ファミリー企業の社長さんもしたし、スタートアップで成功し20代ですでにセミリタイアって人も。世界中探してもこんなにダイバーシティな環境ってめずらしいんじゃないの?
これだけ色んな人がいると、理解に苦しむ考え方や、瞬間的にムカつくことなんかもたくさんあります。なぜそういう発言をするのか、本当のところどう思っているのか、色んなコミュニケーションを通じてわかったことは、誰もが尊敬できる部分を持っていて、とても優しいということでした。
そして1年半の苦楽を共にしたこのメンバーは、私にとって家族のような、宝物です。みんなが私をどう思ってるかは、知らないけどね。