その国のパートナーがいたら、その国の言語が上手くなるか
自分の場合は、「今はそんなに」です。
私はベトナム人の妻がいる、28歳の日本人ベトナム語学習者です。ベトナム語力は、日本語で言うところのN3~N2レベル。
「4年前にベトナム人の方と結婚した」と話すと、「だからベトナム語を話せるんですね」と言われます。ただ、それに対してちょっとした違和感を抱いていました。「ベトナム人のパートナーがいることって、本当に自分のベトナム語上達のプラスになっているのかな?」と。
過去の時系列は、ざっくりこんな感じ。
2014年:ホーチミンで5ヶ月間留学
2015年:ダナンで1年間インターン(妻と過ごし始める)
2019年:結婚
2021年:ホーチミン移住
2022年:1年間ベトナム語レッスン
ベトナム語上達の角度が大きかったのは、2014年と2022年。上達効率だけで言うと、妻と過ごしたことはあまり関係ない気もします。
2014年の留学時は発音や基本表現など覚えるべきことが多く、当時は十代で吸収が速かったのでしょう。2022年は1年間、腕のある先生にレッスンしてもらい、新出2,000語彙に出会いました。
2015~2021年は、ベトナム語の勉強はしていなかったです。大学の講義は英語が多く、他の国でインターンしたり、東京での仕事は日本語だったり。
パートナーとのベトナム語は限定的
妻との会話は、日本語とベトナム語が半分半分。
妻がよく使う言い回しや生活の言葉は自然に覚えますが、8年経つと、相当な向上心がないと、日本語もベトナム語もいつもの言い回しをリサイクルすることになります。
妻は自分の機微を読み取って、1言えば10理解してくれるし、外で複数人で話している時は、ネイティブに対して言いたいことを自分の代わりにベトナム語で代弁してくれちゃうので、努力する機会が少なくなります。そもそも、二人で一緒にいると、日本語ネイティブは基本的に対自分中心に話しかけるし、ベトナム語ネイティブは対妻中心に話しかけます。
正直、妻がいない時の方がベトナム語をよく話すし、上達している感覚があります。
自分は反射的に自然なフレーズを返せない場面も多く、その時は日本語と英語をベースにしてベトナム語を考えます(例:過去形に囚われて”đã”を不必要に使ってしまう)。
それを正面から指摘してくれるのは先生です。
例えば、実態のない会社を”công ty ma”と表現するとか、広告のキャンペーンを”chiến dịch”と言うなんて、パートナーとは話しません。
自分も自分が理解できればそれでいいので、妻が使う日本語がネイティブ的に変でも、それをわざわざ正そうとしたり、自然な表現を伝えようとはしないです(昔はしてた気もする)。
インセンティブが少ないベトナム語学習
そもそもベトナム語学習は、英語や中国語を学習するよりインセンティブが少なめです。
ベトナム語経済圏のサイズは日本語の十分の一、英語の百分の一(適当な感覚ベース)なので、外国語学習で大事な「風潮としてのインセンティブ」が小さいです。経済的な見返りがまだ小さいです。「ベトナム語が上手なことが理由で売上を上げている」例を、自分はあまり知らないです。
もう少しミクロに言うと、ベトナム語学習者は学校でも、職場でも、スケジュールと一緒に必要に迫られる場面が少ないはずです。
ローカルとの関わりが超大事なのはそう
自分のベトナム語での経験を「言語とパートナー」とするのは一般化しすぎで、もちろんパートナーが日本語を使わないケースは多いでしょう。ただ、今は日本人の20分の1が国際カップルらしいので、共感してくれる方もいるのではないでしょうか。
外国語が机上の勉強だけで上手くならないことは間違いなく、いかに関心を持ってローカルと関わる機会を多く持つか、いかに外圧をつくってコミュニケーション量を増やすかが大事です。
日本語を学習する外国人も、N1とN2の違いは、歴史なりアニメなりビジネスなり、何かに特化した関心があるかが差になっているケースも多いと感じます。
パートナーがいるときっかけやモチベーションにはなるかもしれませんが、もちろん、それだけで上級者になれるわけではありません。