小さな世界 #4 【目覚めた夜に】
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目覚めた夜に
小さい頃から両親が共働きで、おじいちゃん、おばあちゃんと過ごす時間が長かった。
平日は両親と過ごす時間は朝起きてからと、夜の寝る前だけ。
もちろん週末には遊んでもらっていたはずなのだが、びっくりするくらい小さい頃の記憶がない。
毎年夏休みにはよく家族旅行に連れて行ってもらっていたことくらいだ。
ただ、小さい頃の記憶でお母さんについて鮮明に覚えていることがある。
あれは僕が小学校2、3年生の夜だ。
当時僕らは同じ家族で二台のベッドを並べて寝ていた。弟、妹もいてベッドから落ちるといけないから、ダブルベッドとシングルベッドを隙間のないようにくっつけていた。
広々としたベッドの端っこで寝るのが好きだった。
いつものように眠る。毎日9時頃には寝ていたのだろうか。
小さい頃から朝が弱い僕は滅多なことでは夜中に目覚めたりはしない。残念ながら今でも朝は苦手だ。
そんな中、ふと目が覚めた日があった。
部屋の奥にあるデスクのライトがついていた。
当時、お母さんは小学校の先生をしていた。
小学校の先生は過酷だ。
担任を持つと、毎日朝から夕方まで一人で授業をしないといけない上に、お便りを作ったり、教室の掲示物も自分で作ったりする。ピアノだって弾く。
もちろん授業の準備も大事な仕事だ。
これは僕が大人になってから知った知識で、小さな頃は何にも分かっていなかった。
この前実家に帰ってあらためて知ったことだが、僕が1年生になったときに、お母さんも別の小学校の1年生の担任をしていて僕の入学式には出れなかったらしい。
そういえばそうだったかな、というくらいの感じだが、確かに入学式はお父さんと写っている写真しか見たことがない。
自分が親になり逆の立場になって思う。色々と犠牲にしてきたのだろうな。
お母さんは夜遅くまで起きて、子どもたちが寝た後に仕事をしていた。多分、教室に貼る掲示物を作っていたのだろう。
眠い目をこすり仕事をする。
朝は早く起きてご飯を作り、大慌てで学校に向かう。きっとそんな感じだったんだろう。
遠い背中越しの姿だけだけど、なぜか鮮明に暗闇の中のお母さんの姿を覚えている。
お世辞にも器用な人とは言えない。きっと器用じゃない生き方をしてきている。
今になって思う。
いつか僕にも不器用だろうがなんだろうが、やらないといけない時が来るんだろうか。
子どもたちのためなら頑張れるかもしれない。
(つづく)
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