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あなたにとっての「写真」って何?

写真を「目的」としている人と、「手段」にしている人がいると思う。
大雑把に分けて。

誤解されたくないのであえて説明すると、「目的」派は単純に写真が好きで、良い写真が撮りたい(あるいは写りたい)ってモチベーションで活動している人たちで、「手段」派は写真そのものというよりは、写真によって得られるであろう自身の評価だったり、コミュニケーションにより承認欲求を満たす事を主眼としている人たちと考えます。

どっちが良いとか悪いとか、上とか下とかの話をしたいわけではなく、自分のポジションを明確にしておいた方が良いよね、って話です。

要するに価値観の話なんだけど、自覚のないままモデルさんとカメラマンさんでアンマッチな状況にいたりすると、割と苦しいんじゃなかろうかと思われます。

例えばの話、「目的」派のモデルさんが頑張って良い写真が撮れて、みんなに見せたいと思っても、審査や展示が終わるまで公表できない!なんて「手段」派のカメラマンに言われて「ん?」なんて思ったり。

逆に俺みたいにSNSでの評価に無頓着だったりすると、「手段」派のモデルさんからすれば、せっかく知名度上げて依頼を増やしたかったのに、なんだよ「いいね」一桁って!この役立たず!時間返せ!ただのタイムラインの無駄遣いじゃねーか!地球に謝れ!みたいに思ったり。

これはお互いあまりよろしくない。

なんとなくSNSを眺めていて、なんかモヤっとした違和感を感じたりします。
たまにイラっとする事もあります。

これってたぶん価値観の違う人が混在する中で、一方的な物言いを目のあたりにすると発生する感情なんだろうけど、相手の考え方を理解して、自分との違いを明確に認識できれば「まぁそんな考え方もあるよね」くらいで気分的には軽くいなせるようになるので健康的です。

というわけで、自分の立ち位置については認識しておいた方が良いと思う。
と同時に相手のモデルさんなりカメラマンさんの属性もある程度把握しておいた方が良いと思います。

とは言え二元論的に白黒はっきりできるものではなくて、両者の間には無数のグラデーションがあるわけだから、だいたい俺はこんな感じかな?くらいの認識で良いと思いますけど。

ちなみに「良い写真」の定義も立場によって違ってきます。
「目的」派からすれば「自分の好きな、気に入った写真」だろうし、「手段」派からすれば「審査を通ったり、雑誌掲載や写真展で賞を取れる写真」なんでしょうね。

そんな目で写真展やSNSの写真を見てみると「なるほどなー」と思えます。

あ、この人はほんとに写真が好きで撮ってるんだなぁとか、この人は周りの評価を意識して作ってるなぁとかなんとなくわかって面白かったりもします。

写真展で「おおっ、上手いなぁ、凄いなぁ」って思う作品に良く拝見しますが、会場を出てちょっと先のとん汁屋さんあたりで「うまそー」って思うのと同時に忘れちゃう写真もあるし、なんの変哲もないありふれた日常の写真なのに、いまだに鮮烈に覚えてる写真もある。

だから、たとえコンテスト系の写真展で思った賞が取れなかったとしても、がっかりする事はないし「自分の力不足のせいで」なんて気に病まなくても良いと思いますよ。
あるモデルさんが「自分を写してくれた写真はみんな大好き」ってツイートしてましたが、あれは慰めでもなんでもなくて、本心だと思います。
まぁ中には、てめぇのせいで恥かいたじゃねーか!って思ってる人もいるかもだけど(怖い)

自分を振り返って考えてみると、最初は良く分からないまま好きに写真を撮ってたんだけど、ある時期から「こうしたらカッコ良いんじゃないか」とか「モデルさんに喜んで欲しい」なんて自分より他人目線で撮るようになってたなぁと思う。
でもそのお陰で基礎的な事も学んだし、テクニックもある程度わかるようにはなりました。
向上心は大事だよね。

ただ、最近は半分隠居の身なので、他人の評価よりは自分が好きな写真を撮れればいいやと思うようになりました。
もしかすると「もりくま最近下手になったよな」と思われてるかもしれませんが、そういう事です。
え、昔からずっと下手じゃんって?(汗)

そう言えば、とあるモデルさんに「これからはもうちょっとラフに撮ろうかなぁって思うんだよね」って言ったら「え?」って顔されました(笑)

結局のところ好き嫌いでしかないんですよね。
なので、自分が見たいと思える写真を撮ろうと思います。
これからも写真が好きで写るのが好きなモデルさんと出会えると良いなぁ。

創るのが好きな妄想系中年。写真、旅、映画