名付けの呪い

性別も名前も、すべてが社会的に規定されるのだとすれば
私の名前は私にかけられた一生消えない呪い
だから私は子を持つということを考えていなかった
私はその子に一生分の呪いをかけることになる
けれど その子が生きることを許してほしい
どんな呪いをかけられようとも
その子が生きることを否定したくはない
その子はいつか、呪いを解くべく奔走する
今の私のように
私は私に囚われているけれど
どうにかしてそこから抜け出す それをするための力はもう、ここにある
私は子どもに呪いとは思えぬ呪いをかけるだけ
名付けの呪い 帰る場所はあなた自身
その道しるべとなる名を あなたに付けるだけ
あなたは無名のあなたのまま 生きてゆくの 死んでゆくの
私があなたにたどり着くための道しるべを あなたに植え付ける
その行為を、どうか許してほしい
その名前があなたに馴染んで、透明になるくらいの
あなたの中に溶けてゆくような名前を
あなたにあげる

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