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浄土真宗本願寺派僧侶 細かすぎて伝わらないモノマネが好きです。

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浄土真宗本願寺派僧侶 細かすぎて伝わらないモノマネが好きです。

マガジン

  • 僧侶は世間知らず?

    僧侶の間で「世間知らず」「社会に出て,苦労した方がいいよ」ということがしばしば言われています。「常識」「苦労」「世間」という言葉について,改めて考えてみたいと思います。お急ぎの方は,(6)まとめをご覧いただきますと,申し上げたいことはすべて書かせていただいております。ゆっくり読みたい方は,(1)から順番に進んでいただきますと嬉しく思います。

最近の記事

ウイルスで死ぬのではない 生まれてきたから死ぬのだ

本願寺からポスターが届きました 浄土真宗本願寺派では,「本願寺新報」という宗門の新聞があり,月3回発行されています。私の所属しているお寺でも定期購読しております。このポスターは,本願寺新報の7月1日号に印刷されていたものです(本願寺派の公式webページから,データがダウンロードできます)。みなさんはこのポスターをご覧になって,どうお感じになるでしょうか? お聖教をひらくこのポスターの文章の出典は,浄土真宗を爆発的に全国に広め,「中興の祖」といわれた蓮如上人のお手紙です。浄

    • 墓じまいにはお金がかかる?離檀料問題は本当に存在するのか(2)

      前回の続き前回のnoteでは, ・「離檀料」を請求されたという記事をしばしば見かける ・離檀料はその金額も位置づけも明らかに法外なものとしか考えられない ・お寺,僧侶の名前はほとんど公表されていない ・本山や教務所から注意,指導が行われるべき ・悪質なお寺を見つけたらご連絡ください ということを申し上げました。 「本当に離檀料を請求するお寺が存在するの?」と疑わしく思っているのが私の立場です。今回は,なぜ私が離檀料問題に疑いの目を向けているのか,離檀料問題が事実でないと

      • 墓じまいにはお金がかかる?離檀料問題は本当に存在するのか(1)

        明らかに法外な金額である今日から6月になりました。気が早いかもしれませんが,お盆やお彼岸の時季になりますと,こうした記事をしばしば見かけるようになります。 お寺の境内地にあるお墓をたたむ,いわゆる「墓じまい」をすると高額な「離檀料」を請求された,というものです。上の記事でいえば,みなさんはこの1000万円というのをご覧になって,どうお感じになるでしょうか? 離檀料ってなに?私の所属しているお寺には,「離檀料」というものが存在しません。ですので推測になってしまいますが,離檀

        • お坊さんをデリバリーする

          お坊さん便をご存じですか?少し前のことですが,インターネット通販のAmazonで僧侶をデリバリーできる「お坊さん便」が話題になりました。2013年からサービスが始まり,2015年にAmazonに登録したことをきっかけに多くのメディアで取り上げられ,広く知られるようになりました(現在はAmazonでの販売を終了し,こちらのホームページから問い合わせられるようになっています)。 仏教界からは,「宗教行為をサービス化している」「お布施はお経の料金ではない」と批判する声があがってい

        • ウイルスで死ぬのではない 生まれてきたから死ぬのだ

        • 墓じまいにはお金がかかる?離檀料問題は本当に存在するのか(2)

        • 墓じまいにはお金がかかる?離檀料問題は本当に存在するのか(1)

        • お坊さんをデリバリーする

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        • 僧侶は世間知らず?
          6本

        記事

          僧侶は世間知らず?(6)まとめ

          (1)~(5)のまとめこれまで5回にわたって「僧侶は世間知らず?」というテーマで,日頃僧侶の間でよく用いられる「常識」「苦労」「世間」について私の考えていることを申し上げて参りました。今回の(6)ではそのまとめならびに,第1回から書いている中で気がついたことを付け足して「僧侶は世間知らず?」をいったん閉じさせていただきたいと思います。 「常識」「苦労」「世間」の定義 ・僧侶に求められる常識 ①金銭感覚,②人とかかわるときの態度 ・僧侶に求められる(?)苦労 多くの場合,仏教

          僧侶は世間知らず?(6)まとめ

          仏法は元気なときに聞く(1)仏道はランニングである

          坊さんの話はつまらん私の友人が,「うちに来る坊さんはいつも同じ話ばかりでつまらん」と話してくれたことがあります。確かに,ご法話に限らず聞いている途中で「またこの話か…」「前にも聞いたな」という考えが頭をよぎると,急に聞く意欲がなくなってしまうことがあります(笑) なぜ法話がつまらないと感じるのか?お聴聞している方が,「僧侶の伝え方が悪い」と感じているのか,「仏法が根本的につまらない」と思っておられるのかを区別することが大切と思います。以前の記事でも申し上げましたように,仏教

          仏法は元気なときに聞く(1)仏道はランニングである

          僧侶は世間知らず?(5)僧侶ならおさえたい社会問題

          前回の続き前回のnoteでは,「世間知らず」の「世間」とはなんなのか,世間知らずにならないようにするためにはどうすればよいかについて,考えていることを書かせていただきました。 ・「世間」というのは多くの場合民間企業を指す ・世の中は広すぎる。世間をすべて知ることなどできない ・わからないことは正直に「わからない」と言う 私は,僧侶に求められている「世間を知る」というのは,今世の中で苦しんでいる,厳しい立場におかれている人の問題に関心を持ち,声をあげていくことだと考えていま

          僧侶は世間知らず?(5)僧侶ならおさえたい社会問題

          僧侶は世間知らず?(4)お寺や僧侶も世間の一部

          前回の続き前回の記事では,苦労をして何が得られるか,どうしたら苦労したといえるのか,ということについてお話させていただきました。 ・だれもがすでに大なり小なり苦労している。人に認めてもらわなくてよい ・苦労は必要ない。しなければならないのは努力 ・苦労しても何も得られない。マイナスの方が大きい。だからこそ苦労した人は「意味があった」と自分に言い聞かせる 繰り返し申し上げておきますが,苦労を自らすすんで探しに行くことは全くの無意味です。それならお経や字の練習をしたほうが自分

          僧侶は世間知らず?(4)お寺や僧侶も世間の一部

          僧侶は世間知らず?(3)苦労すると何が得られるか

          前回の続き前回の記事では,どうすれば僧侶に求められる常識①金銭感覚,②人とかかわるときの態度 を身につけられるかについて書かせていただきました。 ①金銭感覚を身につける ・門信徒の方と同じか,それより安いものを購入し,使うように心がける ・お金は使わない方がよいというのは間違い。地域経済が衰退する。地元商店を利用する ・お布施はお寺,仏法が続いてほしいという願いで包まれたものだということを忘れない ②人とかかわるときの態度を身につける ・常にみられている,仏様の前では誰もが

          僧侶は世間知らず?(3)苦労すると何が得られるか

          僧侶は世間知らず?(2)常識を身につけるために

          前回の続き 前回の記事では,「僧侶は世間知らずだ」という声があがっていること,僧侶にはしばしば「常識」「苦労」「世間を知る」ことが求められるということを書かせていただきました。そして,「常識」「苦労」「世間」が一体どのようなものかを改めて明確にし,私なりの定義を申し上げました。 ・僧侶に求められる常識 ①金銭感覚,②人とかかわるときの態度 ・僧侶に求められる(?)苦労 多くの場合,仏教やお寺以外での苦労を指す。苦労が必ずしもプラスに作用するとは限らない。他者に要求するもので

          僧侶は世間知らず?(2)常識を身につけるために

          僧侶は世間知らず?(1) 「常識」「苦労」「世間」を定義する

          僧侶の常識,人間としての常識京都で学んでいたころ,「お坊さんは世間知らず」「社会に出て,苦労した方がいいよ」という話を同期や先輩から聞かせてもらいました。「世間」「常識」「苦労」といった日ごろ何気なく使っている言葉について,改めて考えてみたいと思います。 僧侶に求められている常識とは,①金銭感覚,②人とかかわるときの態度 だと私は考えています。 「常識」を定義する①金銭感覚お布施=寺族の給料ではないことを再確認するべきではないでしょうか?ピンからキリまである声明,法話をし,

          僧侶は世間知らず?(1) 「常識」「苦労」「世間」を定義する

          お寺と病院,なくなったら困るのはどちらですか

          というご法話をされた先生がいらっしゃるそうです。 地域社会に必要とされる寺院,僧侶をめざして研鑽しなさい,今のままではいけないというメッセージの質問だと感じます。 しかし,この問いの立て方にはいくつか疑問を感じます。 ①どちらかを選ばなければならないという前提がおかしい どちらも必要!ではいけないのでしょうか?病院に行ったらお寺に参ってはいけないというわけではなく,その逆ももちろん成り立ちません。病院が生活に不可欠だからといって寺院が必ずしも不要とはいえません。もし,「

          お寺と病院,なくなったら困るのはどちらですか

          コロナウイルスでなくても人は死ぬ?僧侶にできること(2)

          前回の続き前回のnoteでは, ・「コロナウイルスでなくても,人はいつか必ず死ぬ」という発信を今行うことは控えるべきである ・困っている,苦しい立場におかれている方々に何かお役に立てないかと動き始めている僧侶がいる ・ご法話はどちらかといえば耳の痛い話が多く,中には自己責任論に聞こえてしまうものも含まれており,内容によっては苦痛を強める危険性がある ことをお話させていただきました。 今回の(2)では,今僧侶にできることについて,考えていること,私が実践していることを申し

          コロナウイルスでなくても人は死ぬ?僧侶にできること(2)

          コロナウイルスでなくても人は死ぬ?僧侶にできること(1)

          はじめにこの度の新型コロナウイルスで亡くなられた方,ならびにご遺族のみなさまに謹んでお悔やみ申し上げます。また,コロナウイルスに感染し病院や隔離施設で闘病しておられる方々,感染拡大により影響を受けておられるみなさまに心よりお見舞い申し上げます。 それは今言うことか?あるSNSにおいて,「コロナウイルスにかからなくても,人間はいつか必ず死ぬ」という真宗僧侶の投稿を目にしました。みなさんは,この文章をみてどのようにお感じになるでしょうか? コロナウイルスで大切な方を亡くしたり

          コロナウイルスでなくても人は死ぬ?僧侶にできること(1)

          法要儀式と災害,貧困格差

          法要はいらない?宗門,本山に対して「華美な法要にお金を使うのではなく,社会で貧困などに苦しんでいる人に役立ててほしい」という意見があります。本願寺の法要は期間も長く,一般寺院には賦課金(宗門の税金のようなもの),懇志が求められるため,厳しい声があがっているのだと思います。 2011年の親鸞聖人750回忌法要の年には東日本大震災,伝灯奉告法要が勤修された2016年には熊本地震が起こり,法要と災害が重なったことで「自粛すべきでは」「法要費を被災地のために使えないのか」という意見

          法要儀式と災害,貧困格差

          はじめまして

          浄土真宗本願寺派僧侶のmoriと申します。 まだまだ勉強中の身ではありますが,仏教,浄土真宗について感じたこと,考えていることを言語化し,記録する目的でnoteをはじめました。 細かすぎて伝わらないモノマネをみるのが好きです。個人的なベスト3は 1. 辻本清美議員 (しまぞう) 2. 宝塚音楽学校の受験生 (森田まりこ) 3. 日本ハムファイターズのイースラー (杉浦双亮)  です。 近年では,各ご寺院がInstagramのアカウントを開設されたり,YouTuber僧

          はじめまして