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やってはいけなかった医療⑨
おわりに
森仁と家族に起きたことを著す。
長年、使命のように思っていたこと。
しかし、いざ書き出してみると「20年も前のことを発信しても意味がないのではないか。」と、何度も挫けそうになりました。
そのような時、広島平和記念資料館で目にした言葉を読み返しました。
「こんな思いを他の誰にもさせてはならない。」
これは、被爆者が辛く悲しい境遇の中で思い悩み、「憎しみ」や「拒絶」を乗り越え、紡ぎ出した悲痛なメッセージです。
その心には、人類の未来を見据えた「人類愛」と「寛容」があります。
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絵にも文章にもできない
「体験した者にしか分からない」「どんなに描いても描き尽くせるものではない」絵の中に書き添えられた作者の言葉には、このような表現がしばしば見られます。
おそらく、どの作者も同じ思いを抱いたことでしょう。
葛藤の末に描かれた絵であるからこそ、何とかして伝えたいという強い意志が感じられるのかもしれません。
原爆投下から80年近くの歳月が経過しても、心にしまい込んでいた悍ましい記憶を表現する生みの苦しみが、見る者の心に届き、犠牲になられた方へ思いを馳せることで戦争を抑止する大きな力となる。
森仁が受けた誤った医療も、言葉を紡いで発信することで、
患者側には「自分と大切な人を守ること」
医療側には「安全な医療を提供すること」
それらに少しでも繋がるきっかけとなり、「やってはいけない医療」を防ぐことができれば…と願っています。
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最後に、森仁に関わってくださった方、闘病を支えてくださった方、過誤の件でお世話になった方へ、もしもこの文章が届いたとしたら…
本当にありがとうございました。今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
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