ギターと孤独と”ユートピア”
ぼっち・ざ・ろっく!を観ました。リアルタイムで放送している間も、Twitter上でよく話題に上がっていたので存在は知っていましたが、知り合いに勧められたこともあって、観てみました。
このままじゃ終われない
実際に視聴を始めてから数話は、主人公の”ぼっち”な言動にフォーカスして、奇をてらった作品かなという印象でした。
その感想がひっくり返ったのが、5話のオーディションシーンでした。ぼっちちゃんが虹夏の想いを知り、また、自身もギターで名を馳せたいという野望があり、それらのくすぶった感情と”このままじゃ終われない”という強い意思が一気に発散された爽快な場面でした。
振り返ってみると、この作品にあっと思わされて、全身の血が沸騰するような感覚になったのは、どれもぼっちちゃんのライブシーンでした。6話での、きくりさんとのセッション、8話のライブ、最終話の文化祭ライブ。
不思議なことにライブシーンが始まるたびに、観ているこちらも自然と”ライブ成功してほしい…!”という気持ちにさせられていましたし、その度に、ぼっちちゃんが何か魅せてくれるのでは…?!という期待感を持たずにいられませんでした。
また、ぼっちちゃんは自他ともに認める陰キャとして描かれていました。多くの人が学校生活をそれなりに謳歌し、陽の当たる道の真ん中を歩いているのに対して、常に端っこの暗い方を歩き続けていました。
劇中のライブシーンでは、そうしたつまはじきにされた者のプライドが底の方に、にじみ出ているようで、一層胸を熱くさせられました。そして、壁を超えるごとに、新しい景色が開けていく感覚は爽快でした。
ユートピアをさがして
ぼっち・ざ・ろっく!の視聴とは関係ないところで、たまたま学園祭学園というバンドの曲を聴いていました。その中の「ユートピアをさがして」という曲が、ぼっちちゃんの心情と重なる部分があり、より一層のめりこむきっかけになりました。
この曲も、どちらかというと暗めの青春(のようなもの)を過ごしてきた人が、自身の中にある大切なものを手に前を向いていく様を、軽快なサウンドで歌っています。良い曲なので、ぜひ聴いてみてください。
ぼっちちゃんが一人でギターを弾いていた時代から、結束バンドと出会い、自分の中にわだかまっていた感情と向き合いながら、新しい景色をみつけにいく。それは、まさにぼっちちゃんにとっての”ユートピア”のように思えました。
星座になれたら
最終話の文化祭ライブで演奏された「星座になれたら」。
孤独だったギタリストが、一バンドのギタリストへと変わっていく様が歌われていて、屈指の名曲のように思います。ぼっちちゃんは結束バンドの作詞を担当していて、この曲もそうだと思っています。
そうであればこそ、尚の事ぼっちちゃんの移り変わっていく心情が伝わってきます。そして、そうしたメッセージ性に加えて、ベースとドラムを中心としたリズム隊の奏でるメロディラインが爽快で、自然と感情が昂ってくる曲です。
終わりに
面と向かうと言葉が出てこないけれど、歌詞やギタープレイ、音楽、バンドを通じて、こんなに雄弁に自分を語れる後藤ひとりさん、大好きです。