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2024年 もるげん的「次にくる」マンガ大賞

先日、今年の「次にくるマンガ大賞」が発表されました。
1位にはカグラバチ。SNSでも話題沸騰中の作品がトリプルスコアを付けてランクインしました。

発表の少し前に既刊3巻を読んでいたのですが、いやあ、こいつは面白い。
少年の復讐譚と剣のアクションに妖術。男の子大好きハッピーセットですよ。
何より1枚絵の美しさ。剣劇のカッコよさを存分に引き出しています。
間違いなく今後アニメ化もされることでしょう。
あと、どっかのやべーやつもランクインしてましたね。誰か止めろ。

今回はもるげん的「次にくるマンガ」を紹介していきます。

逃げろ松本

タイトル通り。松本が逃げるだけのお話。分かりやすい。
現在ジャンププラスで連載中の作品。
シナリオとしては「元ロードレーサーの松本が、殺人犯に間違われてしまい、真犯人を探しながら自転車で逃げる」という、サスペンスアクション的な内容です。

この漫画、とにかく自転車の描写が熱いし、松本の技術がヤバイ。
ぴょんぴょん飛び跳ねるし、壁だって走る。
自転車アクション漫画として手に汗握る展開ばかりなのです。
他方、松本は逃げながら真犯人と思われる人物に「イベント」目的に利用されます。
彼の逃亡劇をSNSで生配信させられてしまっているのです。
果たしてそれはなぜなのか、真相を追いながらも彼は追われ続けます。
生配信を見ている視聴者と我々がダブり、緊張感の中で物語は展開していきます。
また松本が自転車に乗っているとちょっと様子がおかしくなるのも見どころです。
ひゅんひゅんひゅーん」とか言いながら快速で走り抜ける奴、怖すぎる……。

あとレーサーの「逃げ切る=勝つ」の執念がかみ合うところも押しのポイントです。
とある理由からレーサーを辞めさせられた松本。
けれど彼は根っからのレーサーだから、ほぼ条件反射的に警察から逃げてしまったり、諦めることのない逃亡劇を繰り広げます。
そんな姿に、気付いたら自分も応援してしまっているのです。

CHANGE THE WORLD

まったく最近、9/2にマンガワンで配信が開始された新作です。
演劇の漫画だというあおりを聞いたとき、どうやって描くのだろうかと純粋に疑問でした。
とにかく読んでみてほしい。
最初の数ページでぐっと引き込まれてしまうだろう。

まだ1話しか書かれていないが、その1話が読み切りレベルの単体完成度なんですよ。
ふつう、面白い漫画かなと思っても3-5話くらまで様子を見るものです。
しかしこの漫画は違う。1話目から物語として完成されています。

主人公は小学校時代の親友がいます。主人公が演劇に進もうと思ったきっかけを与えた親友です。
ボクシングをやっていたその親友は中学入学後にボクシングを辞めてしまうのです。
それを惜しいと思った主人公は中学校の演劇大会で、彼を題材にした脚本を書き、演じる。
これだけ書くと、なんとも陳腐なあらすじのように思えるのですが、これを読み切れではなく、連載の1話目に持ってきたのです。
普通、「親友に自分の演劇を届ける」ことを主軸にして話を展開してもいいのに、この漫画では1話目のトピックスにして終わりにするのです。
余りに潔い構成に思わずうなってしまいました。
ちなみに、先読みで2話目まで読めるのですが、2話もめちゃくちゃ面白かったです。

構成もそうなのですが、この漫画に漂う「演劇的」な空気感がまた、魅力として引き込まれてしまいます。
つまり、どのキャラもどこか「演じている」ような空気感なのです。
どこか狐につまれるような、空想的ながらも現実的な空間が展開されています。
演劇的な台詞回しも意識されているのか、彼らの一つ一つの挙動に自然と目が追っていってしまうのです。
まだ連載されたばかりの作品ですが、今後の展開が今から楽しみな作品です。

勇気あるものより散れ

男の子の好きなもの。
銃、少女、復讐劇。
そんな好きなものセットをミキサーにぶち込んで人間ドラマを加えたのが相田裕先生の名作、「GUNSLINGER GIRL」。

絶望的な物語と倫理観のなさ、なによりも胸を締め付けるドラマが最高の漫画です。
そんな相田先生の最新作、「勇気あるものより散れ」はまた、別の男の子ハッピーセットです。
つまり、剣、時代劇、異形の少女
時代は明治へと移り変わるとき。主人公である春安は旧幕府の人間として死に場所を探していた。
ある政府重役を暗殺しようとした折に不死身の少女、シノとであり彼女から主従の契りとともに次の願いを託される。
つまり、「母親を殺すのを手伝ってほしい」と。

あらすじから倫理観がちょっと緩そうだなあ、とお思いになられるでしょう。
安心してください。ちゃんと倫理観がない描写があります。
ただ、この漫画は別に倫理観がないことが売りではありません。
しっかりとした時代考証とともに時代を生き抜いた人たちの生きざまが生き生きと描かれています。
相田先生、前作の「1518」もそうですが、群像劇と人間ドラマを描かせるとグンバツな、素晴らしい漫画家なのです。
「勇気~~」はそのドラマと、不死性の葛藤、兄弟愛などがこれでもかと描き出されています。
現在6巻まで出ていますが、まだまだ面白くなっているところです。
人外少女と堅物剣士の歯がゆい恋愛(?)模様も読みどころです。

もるげん的「次に来るマンガ」を紹介してきました。
これら以外にも、「ごぜほたる」や「黄泉のツガイ」など推している作品はあります。
特に「ごぜほたる」は面白いので、今回は紹介できませんでしたが別の機会に語ってみたいと思います。
もしオススメの漫画があれば、コメント欄で教えてください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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