【INTERMISSION】 Tokyo Happy Coats Archives
■Television Appearances
1)The Ed Sullivan Show
上記動画『The Ed Sullivan Show』への出演は1966年2月27日の放送。
子供ながらも著名なナイトクラブでそのテクニックを披露し、当時名うてのプロたちを唸らせたKeikoさんのドラミングも堪能できる。
サイト『INTERNET ARCHIVE』で確認したところ、同年発行の雑誌『TV GUIDE』2月26日付に記載されたこの回の出演者は下記メンツ。生ではなく事前収録された素材が放送されている。バンド紹介には”a girls’ jazz band”とある。
同じ年の『TV GUIDE』9月4日付にもTHCの名前があるが、出演者に若干の異同がある。一部の収録分を差し替えた再放送だったのだろうか。こちらの紹介では”a vocal-instrumental group”だ。
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2)『Steve Allen Show』
1969年7月22日放送の『Steve Allen Show』にも出演していたようだ。こちらでの紹介は”Pop group”。
この番組については、以前Frank Zappaが出演した回をyoutubeで観たことがあったし、Bob Dylanなど有名アーティストのシーンもアップされている。ところがTHCについては見当たらなかった。
THCの出演映像について、Baugher氏に観たことがあるかどうかメッセージを送ってみた。以下が彼からの返信である。
アメリカは東海岸に面したある州にお住まいのBaugher氏が西海岸に位置するカリフォルニア州に出向くには、大陸の端から端へ約3,700㎞を移動せねばならない。東京から約1,000㎞離れた場所に暮らす私の移動距離の3倍以上もある。
さすがアメリカ、スケールが違うのだ。
■7月5日追記:Baugher氏がUCLAに残っている最後の25分について、その中にTHCのシーンがあるかどうかをUCLAに確認したところ、以下の返答を得た。
『Steve Allen Show』の映像については永遠に失われたようである。
3)『Fanfare』
時代は遡るが、THC渡米翌年の1965年8月14日には『Fanfare』という音楽バラエティにも出演していた。
この『Fanfare』については、Baugher氏がFacebookに音声をアップしてくれている。
現在判明しているTHCのTV出演は以上の3番組である。
■7月12日追記:日本でもGay Little Heartsがテレビ番組に出演したことが確認された。
■9月11日追記:書き漏らしていたが、「【B-1】謎の”女ビートルズ”を追っかけろ!」でご紹介した奥田宗広氏の記事の中に、GLHがNHKテレビ『私の秘密』(1955年放送開始)に出演したとの述懐がある。
奥田氏の記事が載った誌名不詳の雑誌は1964年初夏頃に出版されたと覚しいことから、「数年前」となると1960年頃だろうか。当時はビデオテープの上に上書きされての収録だったようで出演映像は残っていないと思われる。
■Studio Recordings
1)「FOREVERMORE "KINIO ITSUMADEMO"」
”若大将”こと加山雄三の「君といつまでも」(1965年)のカヴァー。オリジナルは東宝映画『エレキの若大将』挿入歌として300万枚を超す大ヒットとなった。エレキ(ギター)ブームとともに、高度経済成長期の昭和時代を象徴する曲として今も愛されている。
レーベル面にある曲名のKINITOは誤記、KIMITOが正解なのはよく指摘されるところ。
加山盤の方だが、Wikiに以下の記述があった。
と、THCの英題とは異なっている。さらに、同様にスペルミスも発生しているのが面白い。
2)「Here Is Happiness」
オリジナルは大津美子が1956年に発表した松竹映画『ここに幸あり』の主題歌でこれまた大ヒットを記録した曲。70年後のいまもスタンダードナンバーとして歌い継がれている。
大津美子のwikiには、こう書かれている。
THCがこの曲を選んだのは、このような日系社会での人気を意識したこともあるだろう。しかしなによりも、この曲がアメリカでの人生を選択した彼女たちの心情そのものだった、それが理由ではなかろうか。
3)「Tea-A-Wanna Whistle」
シングル「Here Is Happiness」のb/w。THCがレコーディング契約したというレーベルのオーナーかつプロデューサーBob Marsanoの作品。契約と音盤リリースについての複雑怪奇な事情はこちらに詳しい。
個人的な印象としては、アルバムの埋め草的かつプロデューサーの印税確保的なインスト曲という感じ、ですかね。
4)「He Don't Love Me Anymore」
June Carterにも同名の曲があるが、こちらはプロデューサーBob Marsano作の異曲。スタジオアルバム『Forevermore』の10曲のうち、Marsano作品が4曲含まれている。
5)「Uptight」
Stevie Wonderの初期代表作のカヴァーで、オリジナルのオケが粘っこいアレンジよりもアップ気味。ステージではこれくらいスピード感があった方が客を惹き付けやすいよね。Keikoさんの的確なドラミングが冴えた一曲で、ボーカルもとてもイイと思う。
”レーベルメイト”であるJames Brownの「I Got The Feelin’」が途中でひょこっと顔を出すのも一興。
6)”Outtakes”
これはスタジオ録音時のコンソールの音声も入ったアウトテイク。レコーディング時の関係者からアップされたもの。
動画の解説には、こうある。
■Live Paformance
1)「Bala Bala Bala Bamba」
Ritchie Valensの「La Bamba」(1959年)と「The Peanut Vendor」(『南京豆売り』、オリジナルは1928年)という、チカーノロックとアフロキューバンの2大スタンダードを軸にバラバラの要素をひとつに結合させたアマルガムなライブ・ヴァージョン。
アレンジがなかなか良く出来ていると思う。ボーカルや演奏も隙がない。客とのコール&レスポンスも盛り込まれて、ステージでの客受けも良かっただろうなと実感。米軍基地サーキットで鍛えたエンタティナーとしての芸を感じる演奏。
2)「The Beat Goes On」
1967年にSonny & Cherが放った大ヒット曲のカヴァー。S&C盤のオリジナル録音にはスタジオの職人軍団The Wrecking Crewが関わっていて、ベースはあのCarol Kayeである。
THCのアレンジは、これもオリジナルVerよりもアップテンポにアレンジして、アンサンブルの妙をアピールする。特にkeikoさんのドラムをフューチャーする曲なのだろう、Buddy Richも褒め称えたという腕前のKeikoさんが刻むリズムが心地よい。
3)「Spinning WheelーThe Windmills of Your Mind」
1968年に大ヒットしたBlood, Sweat & Tearsの「Spinning Wheel」と、同年の映画『華麗なる賭け』の主題歌「風のささやき」のメドレー。それぞれ
”糸車”と”風車”を折り込んだ歌をひとつにして、どんな想いを伝えようとしたのか。
演奏はラスベガスでのショーを彷彿とさせる選曲とノリとでも言いますか。マルチプレイヤー集団なので、ステージでは楽器の取り回しなども見せ場のひとつだったのではないかと想像したり。