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Tokyo Happy Coats『奥の細道』 【B-5】名刺の謎の人物を同定せよ!

(Courtesy of Roy Baugher)

(本稿はアメリカのTokyo Happy Coats研究家Roy Baugher氏の許可を得て日本版サテライトコンテンツとして作成、画像や情報などを共有させていただいております。)

■謎に次ぐ謎、尽きぬ謎。謎の名刺がまた2枚。

前回ご紹介した元アメリカ空軍の軍人で日本に赴任していたWilliam "Bill" Bickel氏。GLH/THCの熱烈なファンであった氏が現在も大切に保管している関連資料の中に、2枚の名刺がある。

GLH事務所前に立つ、William "Bill" Bickel氏(1964年?Courtesy of Roy Baugher)

この名刺、1枚(下記A)はマネージャー”Taku Hakomori”名義。

名刺A(Taku Hakomori名義 Courtesy of Roy Baugher)

もう1枚(下記B)は英語と日本語表記の表裏になっていて、”FUUKI HATA”+”秦(ハタ)風旗”名義、社名は旭興業(株)である。

名刺B-1(FUUKI HATA名義 Courtesy of Roy Baugher)
名刺B-2(旭興業(株) 秦 風旗名義 Courtesy of Roy Baugher)

つまり探索テーマの8番目、

8.GLHの渡米前にミリタリークラブでの出演を依頼していた米兵が、彼女たちのマネージャーの名刺を現在も保管していた。その名刺に書かれた人物と事務所所在地の同定。

が今回のお題。

■まず「人物」について、掘り起こす。

Bickel氏の記憶では、”Taku Hakomori”なる人物はGLHのマネージャーで、下記の、Bickel氏が1963年12月に撮影したグループの集合写真ではShokoさんの右隣に立っている人物がその人だという。

1963年12月、Bickel氏が撮影。(Courtesy of Roy Baugher)

This photo was taken by Bill Bickel in the Akasaka area in December 1963.
Taku Hakomori married Shoko. I think he took the Hakomori surname when he married Shoko. I don't know when he married Shoko.

この写真は、1963年12 月に赤坂エリアでBill Bickel氏が撮影したものです。
Hakomori TakuはShokoと結婚していました。Shokoと結婚したときにHakomori姓を名乗ったのだと思います。Shokoといつ結婚したかはわかりません。

Bill-san told me that Taku spoke English well. Bill-san said that Taku would be his interpreter sometimes when talking with the ladies before or after shows.

BillさんはTakuが英語を上手に話せたと言っていました。ショーの前や後に女性たちと話すとき、タクが通訳をすることもあったとBillさんは言っていました。

Baugher氏からのメッセージ、翻訳もご本人

ひとまず”Taku Hakomori”については判明した。で、もう1枚の「秦 風旗」という名刺は誰?

先のメッセージからしばらくしてBaugher氏から追伸が到着。読むと、2枚の名刺は実は同じ人物のもの、つまり”Taku Hakomori”と”秦 風旗”は同一人、というのである。え? 最初は別人かと思っていたのだ。〽ややこし ややこし ああ ややこし

Bill Bickel told me that Taku Hakomori told him (Bill-san) that Taku used the name "Fuuki Hata" too. Bill-san remembers Taku telling him this when Taku gave him the business cards.

Bill Bickelさんは私に言うには、TakuがBillさんに『自分は”Fuuki Hata”という名前(の名刺)も使っている』と言ったそうです。TakuさんからBillさんが名刺を渡される際、彼からそう言われたことを覚えているそうです。

I discussed this with Saori M. She thinks "Hata" was the surname. She thinks "Fuuki" was a stage name or alias. Maybe "Hata" was the surname, since he gave this card to Americans. Americans would read the second name as the family name.

この件についてM-Saoriさん(*)と話し合いました。彼女は「Hata」が苗字だと考えています。「Fuuki」は芸名か偽名だと考えています。彼がこのカードをアメリカ人に渡したので、「HATA」が苗字だったのかもしれません。アメリカ人はセカンドネームをファミリーネームとして読みます。

Baugher氏からのメッセージ、翻訳はご本人だが引用者が加筆修正している
※M-Saoriさん:アメリカでBaugher氏に協力しているTHCファンの日本人女性

名前に対する文化や習慣の違いで後段、あちらもこちらもちょっと混乱しているが、「秦」が姓、「風旗」が名である。ところで、これがなぜ”ややこし”なのか。

秦とハコモリ、どちらもGLH/THCの両親である秦玉徳・旭天華(ハコモリ・シメ)それぞれの姓であって、M-Saoriさんの論法を借りれば、どちらかが、もしくは両方とも”芸名”の可能性がある。

■秦・ハコモリ家の関係を整理する。

話を整理するために、私はGLH一家の関係を1枚にまとめてBaugher氏に送った。

文言を日本語に書き換えたもの。伯父となる「寺島玉章」氏については下記をご参照
https://kamigata-manzai-shi.com/terashima_brother/

そもそも何故に2枚の名刺が必要だったのか、それも義父の姓・義母の姓で2種類も。もちろん芸界、名刺に書いた名前が本名である必要はないが、マネージャーにも源氏名が必要なのだろうか、とも思ったり。

片方は英語表記のみ、片方は日英両表記ということに何か訳があるのかもしれない。Hakamori版は沖縄か米軍担当者との交渉用とか? 先のBickel氏の思い出話では、Hakomori名刺を渡した後にHata名刺の話をBickel氏に切り出している。

それに加えて、Taku氏が戸籍上、義父の姓・義母の姓どちらを選んだのかが、またまた謎。

とはいえ、他人の私がそこまで詮索するのは失礼というものだろう。秘すれば花。

余談だが。
この”秦 風旗”も珍しい名前で、ピンインではqín-fēng-qí、訓読みだと”はた-かぜ-はた”、まるで「上から読んでも山本山」。一種の洒落だろか?

クドい詮索だね、ほんとに。

ということで、ひとまず2枚の名刺の人物については、Shokoさんの夫兼マネージャーのTaku Hakomori/秦風旗氏だったことは確認できた。

さて、続けて旧浅草田島町界隈をそぞろ歩きするつもりだったが、名刺を読むのにえらく足止めを食ってしまった。

【B-6】浅草田島町、事務所所在地の現場を踏め!

”丁度時間となりました。チョト一息願いまして、またのご縁とお預かり”

(【B-6】へ続く)


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