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NOTEでのオリジナル記事

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#後期密教

妖怪を二元論から解放する2:昇格

「妖怪を二元論から解放する1:零落」の後編に当たる投稿です。 この前編では、「妖怪」や「悪鬼」の類は、「高次対称性」を持っていたアニミズムの「スピリット」が、非対称な二元論的によって抑圧された存在だということを書ました。 本稿では、「妖怪」を解放・昇華したことがある中世インド、日本の歴史と、「妖怪」と後期密教の尊格の関係、「妖怪」を解放・昇華する実践のための「ドリーム・ワーク」の具体的な方法について紹介します。 インド・チベット密教における悪鬼の昇格 インド中世に興っ

仏教諸派の哲学と瞑想実践の違い

仏教各派、具体的には、部派仏教(=声聞乗、特に上座部)、大乗顕教(=菩薩乗、特に中観派、唯識派)、密教(=金剛乗、特に後期密教)、ゾクチェン(=大円満乗)、という4派における、哲学(教義)と瞑想法(実践)の違いについて、簡単かつ分かりやすく、まとめて紹介します。 また、釈迦の思想に近いと思われる最古層経典(スッタニパータ4・5章)や、すでにそこから離反している初期仏教(原始仏典)についても、少し触れます。 短くまとめたものですので、アバウトな記述になります。 目的の違い

3つのレベルの意識と瞑想

意識の3つのレベルという観点から、それぞれのレベルの意識を変えるプロセス、方法についてまとめます。 具体的な部分では、仏教、人智学、プロセス指向心理学の理論と実践について触れます。 意識の三つのレベル この稿では、意識に「合理的意識」、「夢的意識」、「直観意識」という3つのレベルがあるという図式で考えます。 この3つのレベルの意識の大まかな特徴は、思考の観点からは、「論理的/連想的/直観(直感)的」です。 それぞれの意識で使用されている重要な要素は、「概念的言語/象

意識について 3(瞑想、インド思想、神秘主義、心理療法の観点から)

「意識について」の第3編です。 今回は、瞑想や、インド・仏教思想、神秘主義、ラディカルな心理療法の観点からの考察です。 瞑想的な状態で体験される特殊な変性意識を考えて、意識のマトリクスやメタ意識の意味について考えます。 かなり長めの投稿です。 瞑想における変性意識状態 脳科学で注目されている意識論に、「注意スキーマ理論」というのがあります。 これは、主体としての自己の内部モデル(の表象)と認知対象を関係づける注意スキーマが存在するとする理論であり、自我意識、自己認識が