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#メルヘン

ノヴァーリス『青い花』における物語の重層的な照応関係

ノヴァーリス(フリードリヒ・フォン・ハルデンベルク、1772-1801)の『青い花(ハインリッヒ・フォン・オフターディンゲン)』は、ドイツ・ロマン主義文学を代表する傑作として知られています。 『青い花』は、中世ドイツを中心舞台とし、主人公ハインリヒの詩人としての成長をテーマにした物語です。 その形式は、教養小説から徐々にメルヒェンに移行していきます。 また、「枠物語」という形式で書かれていて、物語の中で多数の物語が語られます。 これらの作中物語は、『青い花』の物語と、複雑

ノヴァーリス「クリングゾールのメルヒェン」

ドイツ・ロマン主義を代表する作品であるノヴァーリスの『青い花』は、教養小説であり、メルヒェンなのですが、「枠物語」という形式で、作中にたくさんの物語やメルヒェンが語られます。 詳しくは、以下を参照してください。 中でも『クリングゾールのメルヒェン(エロスとファーベル)』は、作中物語の中で最も長く、重要な物語です。 これは『青い花』全体の青写真のような物語であり、『青い花』の登場人物とこの登場人物には対応関係があります。 そして、ここには、ノヴァーリスの思想の核心が表現さ

ゲーテ「メルヒェン」とシュタイナーの解釈

ゲーテの「メルヒェン(緑の蛇と百合姫のメルヒェン)」は、ゲーテの「ドイツ避難民閑談集」(1795年)の最後の物語です。 「ドイツ避難民閑談集」は、物語の中で多数の物語が語られる枠物語という形式の物語です。 「メルヒェン」は、非常に謎に満ちた物語です。 ゲーテ自身は、「わたしの黙示録である」とか、「100通りの解釈ができる」と語りましたが、それ以上の具体的な解釈については語りませんでした。 また、物語中では「物語は解釈してはいけません」とも語られます。 そのため、「メルヒェ