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NOTEでのオリジナル記事

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#虹の身体

虹の身体と光の脈管:仏教における身体の錬金術的変容

昨年末に『虹の身体』長沢哲(ビイング・ネット・プレス)という書籍が出版され、私にとって新たな知見があったので、改めて、「虹の身体(以下、虹身と表記)」に関する当稿をまとめます。 後期密教では、経典や宗派によって、様々な霊的身体を獲得したり、肉体を霊的身体に変容させたりすることが目指されました。 それは、現代に至るまで実践され、実際に実現されてきたようです。 中でも、「光の脈管」と表現される特別な脈管(ナーディ)を使って、肉体を虹の光のような「虹身(光身)」に変容させるゾク

光の神秘主義2:インド、エジプト、プラトン主義、ユダヤ・キリスト教

前編「光の神秘主義1:有史以前、イラン」に続く後編です。 当稿では、ヒンドゥー教、仏教(密教)、古代とヘレニズム期のエジプト、プラトン主義、キリスト教のギリシャ正教のヘシュカズム、ユダヤ教神秘主義のカバラ、西洋魔術の黄金の夜明け団などの、「光の神秘主義」についてまとめます。 古代インド、ヒンドゥー教 古代インドの「ヴェーダ」の奥義書「ウパニシャッド」の哲人、ヤージニャヴァルキヤは、ブラフマン=アートマン=光、と主張しています。 そして、太陽の光が5色の微粒子として、ア

インドと中国の霊的身体論の比較

インドのタントラ(ヒンドゥー・タントラ、後期密教)には、霊的身体論と、それに基づく瞑想法(ハタ・ヨガ、究竟次第)があります。 プラーナ、ナーディー、チャクラなどを含む霊的身体論と、クンダリニー・ヨガやピンダグラーハなどの行法です。 一方、中国の道教の仙道にも、それに似たものがあります。 気、経絡、丹田などを含む気の身体論と、周天法などの内丹法の行法です。 両者の間の共通点と相違点を簡単にまとめて、見てみましょう。 プラーナ/気の階層 インドでも中国でも、物質より微

チベット仏教の死と死後観

後期密教やマハームドラー、ゾクチェンといった仏教思想に基づく、チベットの死と死後観についてまとめます。 後期密教では、死、死後、転生という輪廻のプロセスについて、その生理学理論に基づいて説明します。 また、後期密教、マハームドラー、ゾクチェンの修行をした者は、その達成度合いに応じて、「虹の身体」、「トゥクタム」などの特別な死に方をします。 死のプロセス 最初に、後期密教で霊的生理学理論から説明される輪廻のプロセスについて紹介します。 死に際しては、順に、以下のような