あの頃欲しかったもの
先日西武池袋線の池袋から西武秩父駅まで走っている「特急ラビュー」に乗りたくて、50歳を目の前にして乗り鉄に目覚めてしまった私は、時間の都合もあり、とりあえず飯能駅まで乗車しました。
独特のアルミで纏ったフォルムがめちゃくちゃカッコよくて、コリャ写真撮らなきゃでしょ?と、思いながら先頭車両へと向かいました。
そこで予期せぬシーンに出くわしました。
4歳くらいでしょうか、かわいい男の子がお父さんに手を繋がれ何かを待っている様子です。
そこへ現れたのが特急ラビューの運転手さん。
すかさず男の子は言いました、「運転手さんバイバ〜イ!」って。
とにかく可愛かった。そしてそれに戸惑うことなく対応する西武鉄道の職員さん。
なんとも微笑ましい場面に出会うことになりました。
4歳
自分が4歳の頃
何してたっけかな?
さて、今日お伝えしたい大事なことです。最近自分自身に起こったスゴい発見についてお話しさせてください。
私は4歳の頃、埼玉県の浦和市に住んでいました。そう、埼玉県の県庁所在地です。1974年当時はまだまだ田んぼが青々と一面を覆い、そこかしこに森がある長閑な風景だった頃です。
両親は牛乳屋を営んでおり、忙しい毎日を過ごしていました。私は聞き分けの良い子だったらしく、忙しい両親にしてみれば手の掛からない子であった様です。
ある日、当時としては珍しい「スーパーマーケット」が北浦和の駅近くにオープンしたばかりで、母親と2人で買い物に出掛けました。
店内はガラガラで、母は必要な食材などをカゴに入れながらあちらこちらに移動していました。
その時私は1人で物静かにある行為をしていました。
陳列されていた会計前の白いチョコレートを食べていたのです。
遠くで見つけたのでしょう。母が駆け寄って来ました。美味しくチョコレートを食べていた私に母は言いました。
「家に帰ったら覚えておきなよ!」
その時の母の形相は鬼のようで、そんな顔は見たことがありません。
生まれてはじめて感じた恐怖でした。
本当に怖かったのです。
母は鉄拳制裁タイプ(のちのちエスカレートしていく)なので、家に着くや否や思い出したくもない恐怖を味わいました。
それから間もなくして、家業はスーパーマーケットの普及に押され売り上げも伸び悩んだのでしょう。廃業し、埼玉県の両親の実家がある鴻巣市へと引っ越しました。
そこでも両親は共働きの毎日を過ごしていました。
幼稚園に通っていた私は、ここでもある許されない行為に手を染めてしまいました。
万引きです。
日に日に増えるオモチャの数を不審に思った友達の祖母がその異変に気づきました。
当然母の知れることとなり、その時は祖父にまで後ろ手に縄で縛られ、身体で覚えなければならない躾を受けました。
何でそんなことをしたのか…
今だからこそ理由は説明できます。
怒られることが嬉しかったんです。
忙しい毎日の中で「この子は聞き分けの良い子だから大丈夫」と思われたまま放ったらかしにされていました。
しかし、自分の方に意識が向けられたんです。
悪いことをして怒られることによって。
それは既に4歳の時に、お金を払わずにチョコレートを食べてしまえば怒られるんだ、悪いことをすれば簡単にお母さんの気を引くことが出来るんだ。
そう理解してやった訳では無いけれど、無意識に「悪い方の」成功体験をしてしまっていたからなのです。
飯能駅で運転手さんにバイバ〜イ!と言っていたあの子。愛されて育っていることでしょう。
もしかしたらその子に自分を投影させてたのかな?
あの時に本当に欲しかったものを……。
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