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一緒にごはんをたべるだけ(大町テラス)
基本的にラブロマンスには興味が無いのですが、珍しく面白いと感じ読み続けているのが、コミックデイズで連載中「一緒にごはんをたべるだけ」という漫画。
内容を簡単に説明すると、精神的なダブル不倫。
肉体関係は持たず、一緒にごはんをたべるだけにとどめている、そんなお話です。
内容がアモラルなため、X(旧Twitter)で感想を散見すると「登場人物皆●んでほしい」「主人公を好きになれない」等、マイナスな感想が多いように思うのですが
それでも皆、読み続けちゃうんですよね、きっと。
フィクションて、クズい人間ばかりな方が面白いんですよね😊
しかしよく考えてみると、主要人物は皆4人共、決してクズではない事が分かります。
皆、いわゆるちゃんとした社会人なんですよね。現実にいて、仕事相手や友人知人として出会ったら、確実に殆どの人は「良い人だな~」で終わるはず。
そんな、ちゃんとした善良な普通の人たちなんです。
しかしそんなよくできた人達でも、至近距離でじっくり見たら「●んで欲しい」とまで言われる程、欠点だらけに見えるという事。
不思議なものだな~、と思ったのだけど、全然不思議な事ではなくて、人間てそういうものなんでしょうね。
なくて七癖、って言いますが、どんなに上出来に見える人でも欠点があるもので、完璧な人間なんていないし
よ~く観察されたら、人間誰しもがクズに見えちゃうものなのだろうな。
そんな事を思いました。
作者さんもツイートで「難の無い人間なんていないので、どっちの駄目さも人間だね!と思って…」と仰っているので、そういうつもりで描いているのでしょう。
主要人物は皆各々個性豊かな欠点があるのですが、私は今のところ主人公のタキのキャラクターがすごく好きです。
多分タキは、多くの男性が「可愛い」「好きだな」と感じるタイプだと思います。
朗らかで感情表現豊か、いつも機嫌が良い、家庭的で配偶者が家事を分担しなくても文句言わない、そもそも不満を持たない。
正に、理想のヨメ。
しかし誰に対してもそんな調子なので、他の男も魅了しちゃう。そして社交性が高いので他の男とも仲良くなって、好きになっちゃう。
独り占めができないのですね。
この「思い通りになる他人なんて、いないもんだよな~」とつくづく思わされる、一筋縄ではいかない感じが、すごく良い。
欠点は長所になり得るとよく言いますが、本当にこの二つは紙一重というか
一長一短というか。
坂口安吾が「悪妻論」にて「妻が多情淫奔である事を理由に別れた男は、そもそも多情淫奔である所に惹かれていたものだから、別れた後往々にして後悔している。だったら別れなきゃ良いのに。」と書いているのですが
タキは正にこのタイプであるなぁ、と。
現在12話まで読んだ感想なわけですが、今後他の人物像も掘り下げられて、色々と発見があるのかな?と期待して読んでいきたいと思います。