福田村事件(映画)
戦時中、関東大震災の時「朝鮮人が井戸に毒を…」といったデマが流れ、自警団による朝鮮人大虐殺が行われた事は有名だと思います。
その頃、福田村に訪れた四国の行商人がその方言故に「朝鮮人ではないか」と疑われ自警団により虐殺された、それが福田村事件。
その自警団は逮捕されたものの、恩赦により釈放されたそう。
戦争を描いたものであっても加害の歴史を描いたものが無い邦画としては、けっこう挑戦したものだと思いました。ただでさえ、邦画は政治的要素を避ける傾向がありますからね。そしてこの映画は、被差別部落問題にも切り込んでいる。
忘れてはいけない、知っておくべき歴史が描かれているし、右翼からの批判を恐れず明確に主張している点は良かった。
しかし台詞として言ってるだけで、映画というエンターテイメントとして描かれていない気がした。
エンターテイメントとしての味付けが薄いんですよね。「こういう事ありましたよ~」という情報だけを流している感じで、こうした悲惨な事件への怒りや悲しみがあまり伝わってこない。
クライマックスで、行商人が「朝鮮人やったら殺してもええんか?!」と叫ぶシーンは良かったですが、そこだけです。
最近観た「復讐の記憶」程の表現力というか、映画として伝える技術が大幅に欠けている気がしました。
そしてこの映画の半分以上を占めるのが事件と関係の無い男女のアレコレで、多分それがこの映画のエンタメ要素なのでしょう。
エンタメのバラエティーが乏し過ぎない…?
あとそういうのもう飽きたというか、食傷気味なのでもう良いよというか、古くない?
加害の歴史を描いた邦画という意味では作られて良かったと思うけど、映画としては個人的に残念な出来でした。