講師インタビュー 安部顕(へいなか)さん
今回は安部顕(へいなか)さんにインタビューさせていただきました!
ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです!
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では、早速インタビューしていきましょう!
3月まで少年院で教官をやっていました。
今は退職して、放課後デイサービスの手伝いをしたり、個人で相談を受けてカウンセリングをしたり、子育て相談を受けていたり、そんな形で仕事をしています。
最終的には、非行少年を地域の衰退産業や中小企業の人材不足の切り札にしていければな、と考えているので、少年院を出た子たちが地域で定着していけるような支援事業をやりたいなと思っているのですが、今はそれに向けた修行中というような感じです。
学校の先生は夏休みでイベントが多いので、その回に合わせて依頼を受けてお話をすることが多いですね。
あとは本当にちらほらと、「実は息子が、、、」「家族に非行して逮捕されました」といった相談を受けることもあります。
なので、本当にいろいろなことをやらせてもらってるという感じです。
少年院の教官になったのは、僕は本当にレアなケースだと思います。
最初からなりたいと思っていたわけではなくて、受験する直前くらいにたまたま知って、教員採用試験と一緒に受けてみたら、ぐらいのすすめにのっかって受けたんです。
法学部でもないし、教育学部でもなかったんですけど、もともと中学校の社会科の教員志望だったので、それを教員採用試験と並行して受けて、幸運にも採用されて、というかたちです。
少年院の教官というのは本当にいい経験をさせてもらったなと。
やめた経緯は、自分のキャリアを色々考えてですね。
一つにはわかりやすいところで言うと、公務員でいつ転勤になるかわからないということと、自分の子育てを含めた家族の状況とかを考えたときには、いつかはこのキャリアは閉めた方がいいなと言うふうに思っていました。
そのタイミングがたまたまこの3月にきたということなので、決して少年院の教官が嫌でとかではなく(ただ、転勤についてはちょっとなと思うことはありましたが)仕事内容自体は充実してましたし、今でも本当にやらせてもらってよかったなと思っています。
法務教官自体は9年やっていました。
その前は、大学を2003年の3月に卒業してから、東京の民間企業で営業マンを2010年までやっていましたね。
民間企業を退職してから、ボランティアなどに参加しながらフリーターして採用試験の勉強をしていました。
はい、国家資格です。
当時の名前だと法務省の法務教官採用試験ですね。
今は法務省人間科学専門職という名前の採用試験になっています。
法務教官や法務技官などが一緒に採用試験を受ける形になっていますね。
当時は法務教官だけの採用試験だったので、本当に教員採用試験と並行して受けていました。
ちょうど3.11の震災があった年だったので、震災による収入減を補填すべく教採と法務教官採用試験の時期は月に28日くらいアルバイトをしながら、数少ない休みを採用試験にあてていました。
法務教官は原則こちら側から出院した子どもたちにアクセスできない仕組みになっています。
なので、彼らが、少年院に対して手紙を出してくれたり、電話をしてきてくれたりすると近況が聞けたりします。
僕の場合はTwitterに時々卒業生が挨拶してきてくれますね。
前は、へいなかというアカウントだったので、「安部先生ですよね?」と聞かれても「違います」と嘘をついていたので、実名を晒したときに、noteでみんなに謝罪しました。
彼らからすると、僕に限らず法務教官が人生で初めての信頼できる大人であるパターンってあるんです。
連絡をくれる子も、必ずしもいい報告とは限らなくて、、、(今仕事辞めちゃって悩んでるとか)
そういうときに他人のふりをして相談にはのっていたけれど、これが、安部からの言葉なのか、そうではないへいなかという法務教官からの言葉なのかで、ひょっとしたら響き方が違っただろうなぁとかは思います。
あと、「安部先生ですか?」と聞かれて「違います」といったことで連絡が来なくなった人もいたので、そのタイミングで僕が名乗り出ていたら何か言いたいことはあったのかもしれないなとか思うと、心苦しいです。
そこで悩みを言えなかったためにもしかしたら再犯していたとしたら、防げるものを防げなかったんだろうなぁと。
仕方ないですけど。
際限なく卒業生は増えていくので、そこにサポートの手を入れようというのは、おこがましいことでもありますし無理なもあると思います。
だからこそ、発信が大事な気がしていて。
学校の先生でも、FacebookやTwitterで発信をしていることで、「あぁ、あの先生も頑張っている」というのが、送り出した卒業生の励みになっているということもあると思うんです。
そういう意味でも、発信を通してこれを見て頑張ろうと思っている人が、元非行少年の中にいたらいいなぁというふうに思っています。
あんまり大きく日本の性教育については語れなくて、やっぱり僕は少年院の中でしか教育してこなかったので。
ただ、そこから見た話として確実に言えることは、キラキラした性教育なんてとっくに当てはまらない子達が既にいるということですよね。
命の大切さとか生命の神秘みたいな話とか、コンドームの使い方をきちんと覚えましょうとか、という段階はとっくに終わっていて、小学生の時から離婚した母親や父親が毎日のように新しいパートナーを家に連れてきていて、隣でセックスをしているみたいなことが日常的に繰り返されているのに、生命の神秘とか男女の性の尊さとか相互尊重とか言っても、なにを言っているのかわからないと思うんです。
その一方で、そういうことが日常的に行われていたり、交友関係の中に性体験が早い子がいるので、総じてみんな少年院来る前には初体験は終わっているという状況だし、僕は女子の少年院は経験していないけれど、女子の少年院の場合、多くの場合に性的な被害を受けている子達だったりすることもあるから、そこに対する支援や指導というのは一般的な性教育とはそもそも前提が違うんですよ。
いいことも悪いことも経験済みというところに指導をしていくのは難しいだろうな、と思っています。
やっぱり、性教育という切り口は面白いと思います。
講演でも、少年院の全体像の話を求められることが多いので、そもそも少年院がどんなところなのか全くわかっていないし、どんな子どもたちが来るのかがわかっていないので、少年院で性教育をやっているなんて一般の認識の3歩、4歩先じゃないと出てこない話題だったりするんですよね。
性教育の話をしてほしいといってくる人は激レアなので、そこの切り口で考えたこともありますし。
でも僕は現場の中ではやっぱり同僚と「性教育の話はめっちゃ大事だよね」と、ここ2~3年はしていたので、大事な切り口だなぁというふうに思っています。
少年院は、どんな罪で入ってくるか・どの子どもを担任するかなどは選べないんです。
薬物・道路交通法・傷害・詐欺など色々な非行をしてきた子どもたちと関わっていきますが、多くの場合、性体験は偏っているということも含めて豊富な子どもたちが多いです。
性非行の子どもたちに限らず、性の話は必須だなと思うし、少年院に来た時点で奥さんがいるとか、内縁の妻との間に子どもがいるとか、少年院に在院している間に子どもが産まれたとかもあります。だから、手紙のやり取りで子どもの名前考えたりする子もいます。
多くの子が、問題はそれぞれ違うにしろその中の一つに“性”に関する課題がありますね。
他者と繋がる、特に異性と繋がるの手段としてのセックスになっているんですよね。
人によってそこの感覚が違うのは当たり前だけど、2人で会ったらセックスするのが当然という感覚がある子もいます。
「ゴム付けないのがセックスって言うんじゃないですか?一度もつけたことないし、周りにもつけてる人いないですよ」みたいな子も割と普通にいます。
これを言ったらアレかもしれませんが、モテない法務教官は子どもにマウント取られることもありますよ。
「僕セフレきれたことないですけど、先生います?」みたいな感じで。
事務処理と職場内の政治も仕事だという前提で現場に入れるようにしたほうがいいと思います。
本当は、そんなものなくていいし、フラットにいい意見かよくない意見かというところで通ればいいし、事務処理ももっと円滑にすべきであることは間違いないとは思うけれど。
でも、事実としてそれがあるということはわかるわけで。
あるってわかってるのに「それがあるほうがおかしい」と文句を言いながらそれを乗りこなす実力もない人が偉そうに文句を言うのは筋違いだと思っています。
今あるものを前提にそこで戦う力をつけなきゃいけないのに、教材研究や教授法、教育心理学だけを学んでおけば教員として働けると思っているのは、そもそもゲームが違うと思ったほうがいいと思います。
まずは呼んで頂けて嬉しいので、精一杯頑張りたいです。
特に、若い人たちが作ったプロジェクトに協力できるのは光栄だなと思っているしこれが極端な話コケたってやる意味はあると思っているので、そこに関われることが嬉しいです。
あと、僕は教育実習が足りないとか本質的ではないとかの議論が大嫌いで、足りないと思うなら自分で学べよ!と思っているし、学ぶツールなら今時どこにでもあるだろ、と個人的に思っています。
学校で学ばなくても、学校のことは学べると思っているので、その中の一つとしてもあふるが機能したらとても素敵なことだなと思うし、特に学校の性教育を事前に学ぶためのというよりも、より実社会に近いところを講師として呼んでいると思うので、そういう切り口は斬新でいいなぁというふうに思っています。
頑張って欲しいし、頑張りたいですね。
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