見出し画像

【軍歴証明】第4話:兵籍簿が届いた!

申請書を送って、約1週間後、
実家の母から兵籍簿が届いたとの連絡があった。

【「軍歴証明書」と「兵籍簿」という記載の併用について】

両者とも、記載内容に違いはない。
元々は、すべて手書きの「兵籍簿」で、
自治体によっては、「兵籍簿」の内容をデータ化し、現在の戸籍や住民票と似たようなフォーマットで印刷して発行されているので、それを「軍歴証明書」と呼ぶ、とのことらしい。

岐阜県の場合は、「兵籍簿の写し」という表現をしており、実際に送られてきたものも、手書き兵籍簿のコピーだった。
そのため、これからの記事本文では、主に「兵籍簿」と記載する。
ただ、タイトル冒頭は、一連の記事が統一テーマであることを示すため、【軍歴証明】を引き続き用いることとする。

ちなみに、わたしが最初に県庁に問い合わせた時は「軍歴証明書」という言葉を使ったが、先方も理解してくれたので、
担当部署が相手であれば、どちらの言い方でも差し支えないと思われる。

開封し、先に書類を見た母。

「おじさん(祖父の弟)の死因が、栄養失調だった。
銃に撃たれて 痛い思いをせず亡くなったと思うと、少しほっとしたのは私だけ?」

なんとも母らしい感想なのだが…
わたしが気になったのは、そこじゃない。

私は祖父から、祖父の弟は空襲で死んだと聞いてるぞ!?

母の見ている兵籍簿が、気になるではないか!

母のつぶやきをそっちのけで、
聞き取りと事実の相違に思案を巡らしていると、
兵籍簿の一部の写メ送られてきた↓

記事最後の有料部分にて、兵籍簿原本を公開しています。
ご興味ございましたら、ご覧ください。

キタ━(゚∀゚)━!

こうゆう古文書みたいなの見ると、ワクワクするよね!←わたしだけ?

確かに栄養失調らしいが、入院日、病名確定日が空欄。
そして、いきなりの戦病死。

昭和20年代の混沌期に、これだけでも記録を残していただけて、ありがたいとも思うし、
知識不足のせいもあるが、不審な点も残る。

これは、いろいろ調べる価値がありそうだ。

軍歴証明書申請をしてみた、個人的感想を記録しておく。

申請書の記入自体は、シンプルで簡単。

家庭状況や、家族・親族との付き合いの程度によって大変になる人もいるなーと感じたのは、戸籍原本を取得する手間。

自分の戸籍を取るのは、本人が役所に行けばすぐ取得できる。
ただ、2親等ではなく3親等にあたる人であったりすると、戸籍が複数枚必要になるし、

婚姻などで世帯を別にしていたり、故人だったりすると、おそらく
申請したい人が取得できず親族が取得してもらう、委任状を用意する、申請書以外に何か一筆書く…という作業が出てくるんじゃないかと想像する。

すべての戸籍が自分の住んでいる市町村で取得できればいいが、
引っ越ししている、祖父母の実家が遠方…という事情があると、

戸籍取得で、その自治体の市民課と電話と郵送でやり取り
  ↓
軍歴証明取得で、担当課と電話と郵送でやり取り

という二度手間が生じるだろう。

あとは、費用面。

軍歴証明を取得するのに申請料は不要。(岐阜県の場合)

わたしの場合、必要な戸籍がすべて実家に揃っていたが、
戸籍から取得する場合は、そっちで手数料がかかる。

申請書を役所に郵送する場合、役所に直接出向く場合、
いずれも郵送料や交通費など、何かしかの費用もかかる。

戸籍取得が不要だったわたしの場合でも、
・実家から必要書類の郵送・・・370円(レターパックライト)
・返信用切手・・・534円
・県庁への申請書等を郵送・・・370円(レターパックライト)

合計:1,274円

軍歴証明取得に必要なのは、時間的余裕と金銭的余裕。

または、
時間的労力的手間と金銭負担を乗り越えてでも、取得したい!という熱意。
もしくはわたしのような変態性(?)。

変態の熱弁にもう少しお付き合いいただけるのだとすれば、

この兵籍簿は大変貴重な資料だと、改めて実感した。
県庁の書庫に眠らせておくには、もったいなさすぎる。

わたしこそ、祖父に戦争体験を聞き取りしていたものの、インタビューとしてはまったく不十分で、後悔の残るものだった。

が、今回の兵籍簿だけで、新事実がいくつもあった。

もう決して聞くことのできない戦争体験を、
10年以上の時を超えて、
このコピー用紙数枚が語ってくれた。

仮に、あなたが、
あなたのおじい様やひぃおじい様の戦争体験を聞いたことがない、
戦争(国外)へ行ったことは知っているが、それ以上のことは知らない、
ということであれば、ぜひ兵籍簿を、今のうちに、取り寄せていただきたい。

今の、これからの子どもたちへ、
「家族や親戚の戦争体験を聞いてくること」という宿題は、もう直に出されなくなる。

もし戦争体験者がご存命ならそれに越したことはないけど、
そんな人まわりに誰もいない、と言って諦めるのはまだ早い。

兵籍簿は本人に代わって語ってくれる。
声なき声が聞こえてくる。

自治体にもよるが、申請者は3親等まで、というところが大半のよう。

役場の書庫に眠り、永遠に起こされないままにならないよう、今、行動することが必要なのだ。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。

このトピックで書く投稿全般について
・祖父たちの戦争体験や人生
・戦争体験の収集の記録
・「戦争体験を語り継ぐこと」を考える
について、記録と情報発信を目的にしたnoteです。
歴史批評や政治的発言、歴史認識問題についての言及をする意図はございませんので、ご理解ください。

以下、有料部分にて、兵籍簿原本をご覧いただけます。
故人・旧住所ではありますが、個人情報にもなり得るため、住所や氏名の一部は隠してあります。

なお、この記事自体をオススメしたり、シェアしていただくことは大歓迎ですが、兵籍簿だけを切り取り、ネット上に放つことはお控えいただきますようお願い致します。

ここから先は

59字 / 6画像

¥ 300

期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得

サポート、ありがとうございます!いただいたサポートは「平和」「貧困」「難民」をキーワードとして活動している国内外の団体への寄付に充てさせていただきます。みなさんのサポートが巡り巡って、世界平和につながりますように☆