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コラム2: 感情から生まれる理屈

人間は時に感情に対し、後からその行動に理屈をつけようとすることがある。特に感情的に結論を出す傾向がある人は、自分の感情に従って行動した後で、その行動を正当化するための理由を探し始める。こうした人は、感情が先に立つために、その感情を言語化して整理する力を持たないことが多い。

例えば、ある人物を生理的に好ましく思わない場面を想像してみよう。感情的な人は「なんだか嫌だな」という漠然とした「お気持ち」からスタートする。しかし、その「嫌悪感」を自らの中で言葉にして整理する力がないため、心の中にモヤモヤとした不快感が残ったままとなる。そして、その理由を探すための「パズル」が始まる。

この感情先行型の人間は、自分の感情を正当化するために、後から相手の欠点や都合の良い理屈をどこか取り寄せたり探したりして組み合わせ、自分の感じた不快感を「理性的な判断」として再構築しようとする。こうした人々にとっては、その理由が「自分に都合が良いもの」であることが重要で、そこには真実や公平性はあまり重視されていないのだ。

こうした人々がしばしば「自分の感情に他者が同意してくれるかどうか」に不安を感じている点である。感情的な判断を正当化しようとする理由は、内心では自分の感情に自信がないからだと言えるのかもしれない。自分が主観的に下した結論が、他者からも肯定されるかどうかを常に気にし、心の安定を求める。しかし、その不安を感じている限り、彼らの感情はいつも揺れ動き、不安から逃れることはできない。

感情先行型の人間は、自らの感情を言語化して整理する術を持たないがために、その感情に振り回され、自分の行動に後から理屈をつけることに精一杯になる。感情に引きずられる人生から脱するには、まずはその感情を自分で言語化し、冷静に俯瞰する力を身につけることが必要なのかもしれない。

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