「止まらない涙の向こうに」
冷たい冬の夜、僕は一人、部屋の片隅で膝を抱えていた。暗い窓の向こうにはちらちらと雪が舞い落ちている。手元のノートは、書きかけのままペンが止まった。君との思い出を書こうと決めたのに、なぜか涙が次々と溢れ、文字がにじむばかりだ。
君と出会ったのは、ちょうどこの季節だった。
街のイルミネーションが輝く中、偶然立ち寄ったカフェで、僕はふと目が合った君に声をかけた。あの時の僕は、こんな未来を想像できなかった。ただ、君の笑顔が雪のように透明で温かくて、それに惹かれただけだった。
僕らは一緒にたくさんの場所を訪れた。映画館、図書館、海岸線の長い道路。君が笑って、「次はどこ行こう?」と聞くたびに、僕の胸は喜びでいっぱいになった。君となら、どこにだって行ける気がした。
でも、「永遠」なんてものはなかったんだね。
君が僕の前から去ってしまったその日、時計の針が止まる音が聞こえたようだった。君は泣きながら言った。「これ以上一緒にいると、君の未来を縛ってしまう。」その言葉は、僕の胸に深く突き刺さった。でも、君の涙が何よりも本当の気持ちを伝えていた。
ノートに戻る。君との思い出を一つ一つ思い出して、言葉にしていく。
「君と未来を作りたかった。」
ペン先が震え、また涙がこぼれる。けれども、今回は止めない。涙が落ちたページは、君と僕が確かに生きた証になる気がした。
思い出の中の君は、いつも笑顔だ。その笑顔が、僕の心に小さな明かりを灯す。たとえ現実の君はもういなくても、この明かりが僕を前に進ませる。
窓の外には、相変わらず雪が降り続けている。その白さが、過去を包み込み、新しい物語を紡ぐ準備をしているように思えた。僕は涙を拭き、ノートに次の言葉を書き加える。
「君がいなくても、僕は君と紡いだ未来を信じて歩いていく。」
夜明けが近い。明るい朝日が差し込む頃、僕は新しい一歩を踏み出すだろう。君の笑顔を胸に抱いて。