一歩踏み出してみた!
「早寝、早起き、朝ごはん」
これまでの人生はこの3点を守り、比較的まじめに生きてきた。徹夜したことはないし、昼の12時過ぎまで寝るなんてこともほとんどなかった。お腹がすいていなくても、朝ごはんはしっかり食べた。
社会人になってもこの習慣は続く。決まった時間に起き、朝ごはんは大好きな白ご飯を我慢して腹持ちのよいお餅を食べる。そして、毎朝同じような景色を見ながら出勤し、夜は早く寝る。ああ、なんて規則正しい生活…
社会人3年目を過ぎた頃、この生活は急に終わりを告げた。
ドイツでワーキングホリデー。
初海外、初一人暮らし。
ドイツ語も英語も話せない中、挑戦が始まった。
最初は語学学校でドイツ語を学ぶことにし、学校の寮に入った。
初日の出来事。寮の鍵を渡され、英語で何やら説明をされている。最後に「わからないことはある?」と聞かれたが、わかったことの方が少ない。質問する語学力がなく、とりあえず鍵を受け取りその場を去る。そして、寮の入り口を探して彷徨う。
初めての場所、言葉が通じない世界。パニックで泣きそうになった。そんな私を助けてくれたのはアラブ系の学生二人組だった。彼らは寮の場所を教えてくれるだけでなく、私の部屋の前まで案内してくれた。外国人への恐怖心はこの時なくなった。
助けてもらったエピソードをもう一つ。
初めて街のコインランドリーを使った時のこと。使い方がわからず、スマホで操作方法を調べていた。結構手順が多く、難しい。困っていると「何か助けがいりますか?」と話しかけてくれる人が現れた。韓国人だった。「僕も最初の頃は使い方がわからなかった」と言い、日本語で使い方を説明してくれた。本当にありがたかった。彼は会社の研修でドイツに来ており、日本語はアニメを見て習得したそうだ。ドイツで日韓交流。韓国がより好きになった。
ドイツに来てすぐの頃は慣れないことが多かったが、困ったことがあった時、いつも誰かが助けてくれた。手を差し伸べてくれる人にたくさん出会い、人助けが自然と身についた。知らない言語で電車の行き先を聞かれても、スマホの翻訳機能を使って冷静に対応できる自分がいる。こんな姿、昔の自分からは想像できない。
海外は危なくて怖い場所だと思い込んでいた昔の自分に言ってあげたい。
「一歩踏み出せば、すばらしい世界が待っているよ」
それからもう少しだけ昔の自分へメッセージ。
「早寝、早起き、朝ごはん」も大事だけど、全部守れなくても大丈夫。遠出して深夜に帰り、朝はゆっくり起きてブランチを食べる。そんな日があってもいい。明日の予定も決まっていない、そんな毎日を楽しめる才能があなたにはあるから。
言葉が話せなくても何とかなるし、ひとりじゃない。
一歩踏み出した自分、ありがとう!